気 分 探 偵落とし主誰だ
  
 B ドンデン返し−最後に笑うもの  (Internet Explorer で合わせています。) 
 
 鳥に詳しいYさんに写真を貼付して送ったメール,お忙しいところご丁寧にお返事をいただきました。そのメールのやりとり計12回,その通信記録です。スペースの都合上,私のメール,感想と合わせて主だった部分を再構成していますが,大体の順序,内容は実際と変わらないように注意しております。  
 さて,私の推理,Yさんのお返事,いかなるものでしょうか?  
 羽根はよくわからないわと言われるあなた,段々とミステリーっぽくなってきますので,ぜひ最後までご一緒にどうぞ。
まずは集合写真を見ていただく。 
 
Yさん 水鳥の羽,おそらくカモの仲間だと思います。 
羽の見分けはほとんど,風切羽,尾羽でおこなっていますので体羽では難しいですね。 
左上の模様入りの羽に近いものは多くのカモに見られるようです。右上の羽は先端部が緑光沢有りとのことですね。先端と言うことですので体のどこかにこの色が見えている鳥でしょう。 
一番決め手になりそうなのが下の段右から3枚目かな? 
でも,色がよくわかりません
 そういえばスキャナーで取り込んだ写真,データ数を調節しているうちに色が少しずつ変わっていったけ。これはもちろん送り直し。もう写真撮ってなんて言ってられない。大ざっぱな私,直接スキャナーに置いて取り込むという荒技をやってのけた。何だか良い色が出そう。 

Yさん ひょっとしたら水鳥という根本から間違っていたかも知れません。拾われた日と場所の環境を教えて下さい。全部一カ所で拾われたものですか? 

 おお,自然観察の基本,採集データを提示していなかった。周囲の様子,お詫びと共にお伝えしなければ・・・。でも,”一カ所で?”の部分,引っかかる。 

Yさんのお答を聞くと頭がそればかりになってしまいますので,先に私の推理を聞いて下さい。 

@あれはカモ  
 
朝,エサ場へ飛んで向かう途中で猛禽類に襲われた  
主だった羽根がないのは途中で逃げられた。  
もしくは他へ運んで食べた。  
(幼稚園の行き帰りではミサゴを2回きりしか見ていない)  

Aあれはキジ  
  
遠くの雑林でイタチが捕まえて持ってきて食べた。  
羽根に関しては同上。  
(イタチの行動範囲はそんなに広いのだろうか?)  
 

Bあれは家畜鳥  
 
ニワトリの一種。  
民家および保育園などで飼っていたものがイタチに襲われた。  
(飼っている民家無し,保育園までは遠い)  
(しかし前に近所でニワトリの頭転がっていた事件有り)  

Cあれはカモかキジ 
  
狩猟で捕まえたものをカモ鍋,もしくはキジ鍋にして  
食べたときに細かい羽根を小鳥の巣材用に戸外に置いた。  
主だった羽根は羽根バタキ。  
(かなり確率は低い予想) 

Yさん 年月日をお尋ねしたのは11月15日から翌年2月15日の猟期だったかどうか知りたかったからです。猟期には思いがけないところで鳥の羽根をたくさん拾うことがあります。 

え???  猟期ですって??? 雲行きがおかしくなってくる。  

Yさん 回目に送られてきた写真の茶色の羽根に,茶色の濃淡部とクリーム色の斑が3つ見えます。オスのキジにはこのような羽があります。また先端が緑色との羽のことを考えるとオスのキジの胸から腹にかけては,先端が緑光色の羽がびっしりとあります。緑の光沢部の長さが7mmから1cmくらいあるでしょうか? 

すぐに計ってみる。おお,まさに驚きピッタリの約8mm! 

Yさん さらにその羽根の先端が尖らずハート型の上部のようにくぼんでいるでしょうか? 

羽をきちんと伸ばして見ると・・・,そうそう,まさしく綺麗なハート型上部!! 
ということは,この羽根に関しては,キジの可能性が大ということ? 

Yさん それでは他の羽は?ということになり,そうなると?????? さて,ここからは推測の世界ですので私は遠慮いたします。 

その他の羽根ーそれは例のシマシマなど3種。 
これに関して,最近実は本屋で立ち読みをしてしまった。コガモの羽根を拾ったものの集合写真。何だか今回拾ったものにシマシマさが似ているし,他のクリーム黒線入りの羽根だってそうだ。ということは,これはコガモ? 

Yさん ちょっと待ってください。コガモと断定するにはこれだけではちょっと難しいでしょう。 

そうそう,あせりは禁物。早合点はいけない。総ては推測の世界である。 
主人と話す。 
「あれ,キジとコガモ両方の羽根だとすると,父さんの言うとおり鍋かな?」 
「いーや,そりゃキジとカモの”合いの子”の鳥の羽根だろう」 
「はーっ,やれやれ・・・・。」 

箸にも棒にも掛からない主人の冗談はさておき,私のここまでの最終的推測は,イタチ案もミサゴ案もやむなく却下され,自然界の出来事であって欲しいという意に反して次のようなものに落ちついた。 

私  これからは私の推測です。 
一カ所で拾った羽根は実はコガモとキジの2種類含まれていて,自然界の法則ではちょっと考えにくい。つまりこれはもう人為的な出来事です。Yさんの言われている狩猟期中というヒントと合わせて考えると,猟の獲物とするのが一番可能性があるのではないでしょうか? 主人が一番最初に言っていた大穴的推測です。 

最後にYさんはこう締めくくる。 

Yさん ひょっとしたら人為的な・・・と考えましたが・・・・かと言って自然界には全くあり得ない現象とも言いきれず・・・。私はまだまだヒヨコなのでこれらすべての羽を持つ鳥がいるかも知れないとの不安もよぎります。 

・・・・・。 
完敗だ・・・, 主人に完敗だ。 
痕跡探し,これに伴う推測判断は想像力,発想の転換がものをいう。まず,あらゆる可能性を探るところから一歩が始まるのだ。 
天動説の時代に”地球の方が動いている”と気づいたコペルニクスは偉かった。 
「カモ鍋?合いの子? そーんなバカな!あり得ないよ」と最初から決めつけていた頭の固い私−本当の真実はどうあれ,今回は主人の想像力に完敗だ。 
 ドンデン返し,最後に笑ったのは主人の方だった。 

 本当の真実はただ1つ。 
だが,痕跡だけから推測するには今回はこれが限界。 
まさか「アナタ,カモとキジ食べたでしょ?2月6日頃,この羽根,見覚えないとはいわせないわよ?」なんて刑事マッ青に聞き回るなんてできない。 
「さ,現場の洗いなおし!」といっても今となっては工事も終わり,あの鉄板の道は消え,あの野生味あふれる溝もコンクリート化してしまった。 
 あの羽根も見ることはないであろう。 
 そしてドブ上にネコの足跡も残ることももうない。 
  
 拾った羽根,主だったものだけ一応ファイルする。 
 やっぱりラベルは コガモ(?)+キジ(?) と,アナグマ(?)のごとく(?)の乱立だろう。 
 自然界では羽毛は小鳥の大切な巣材。かといって残りの羽根の多数,その辺にバラまくと拾った人に「うーん,これ何の羽根? カモ鍋か?」なんて悩ませるかも知れない。 

 網に入れた羽毛,今はモミジの木にぶら下げて置いている。 
 

 
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