華 麗 な る 幼虫 マジック
〜幼虫ビロビロ編〜

ただ今,スキャナーが動かなくて絵が取り込めず見苦しくてすみません。
直り次第,入れ替える予定です

剪定の縁・再び

 7月31日,主人が私の元へ来てこそこそっと呟いた。
「またフジの木に幼虫おったでー」
山と言えば川,半と言えば丁,フジの幼虫といえばウラギンシジミだ。
「え?どこどこ?」
「知らずに一緒に剪定してしまった。拾って葉の上に置いたけど・・・」
主人がいうには既に数十分経過しているらしい。
どこどこ,どこにいる?
「アリャ? 落ちとるわ」
・・・なんともここまで来て行方知れずとはー。
いつも幼虫の第一発見者は剪定担当の主人なので,
「まぁ,よく気がついたこと」と誉めてから
「なんですぐ言わないのー!」
持ち挙げて落とす。これは教育的指導の基本である。

 ウラギンシジミの幼虫は,
前編で目撃したとおり変わった形である。お尻に2本の角があり,身の危険を感じると角から「ビロビロ〜」と毛の束を出して脅すらしい。それを知ったのが幼虫がサナギになったあと。2度目の正直,こんどこそ生でビロビロ〜を見られると思ったのに・・・。
私は今までの人生において,運が悪い部類にはいる。懸賞もたいがいハズれるし,宝くじなんて300円しか当たったことがない。しかも,引き替えるのも忘れていたりするのだ。あーあ,やっぱり私って・・・。

諦めていた翌日,再びお呼びが掛かったのである。
「またおるで!」
昨日の指導が効いたらしく,今回は即発見・即報告であった。
じろじろ,どこどこ? 探がせど探せどわからない。
どこにいるのかパッと見,わかりますか?
悔しいが音を上げて,主人に指さしてもらう。
「わー,ほんと! 前の時とちょっと模様が違うー!」
柔らかな白銀のフジの新芽が密集している場所,そこにウラギンシジミの幼虫がいた。

おおおー。ここにいたの〜!

緑の体に白っぽい模様で,食料であるフジの新芽や花の周りに巧く馴染んでいて,まやかされて気がつかなかった。
生き物の知恵というのはスゴイー!

お尻は2本の煙突みたいな突起のあたり,そして頭は見栄えに反して反対側と聞いている。
でも・・・ん? 頭はどこだ? 顔立ちがよく見えない。
どうやら上からではよく見えない内側に引っ込んでいるので,
パーカーのフードをかぶっているかのようである。しきりに頭をゴソゴソ前後に動かしているところを見るとお食事しているところらしい。


念願のビロビロ体験

さて,いよいよ念願のビロビロを拝見しよう!
間近で,しかもライブで見られるのかと思うと緊張する。
まずは用心深くそぉーっとそぉーっと撫でてみよう。
ナデナデ・・・
もぐもぐと食事中だった口の動きがピタッと止まった! 直立不動の体制。
更にナデナデすると,モゴッと体をよじった。それだけ。迷惑そうな気持ちはヒシヒシと伝わってくるが,肝心のビロビロがでていない。
おかしいな・・・
もう少し強く押してみようか。でも潰しちゃったらどうしよう。
ダメージを与えないようにソオロリ注意して,もう一度。今度はモミモミ頭からほぐしていくマッサージ攻撃だ。
と・・・わーい! でたでた!
念願のビロビロだが,感激〜と言うより見た瞬間「えっ?」と唸った。

ビロビロ体験 画像をクリック↓  こんな感じ。 10回再生中

(アニメのため90kbと重くなっています)
 上のアニメでは10回だが,ピッピッと角から飛び出すのがたった2回,一瞬の出来事であった。あらかじめ注目していたから気がついたが,知識がなかったらかなりの確率で見逃していると思う。
まるで夕日のガンマンかというぐらいの早業,あまりの予想外の早さに間をおいてから,胸の奥からジワッと笑いさえこみ上げてくる。これじゃカメラに納めようと思っても,私の腕じゃかなわない。
何かに似ているなと思っていたらしばらく経って思い出した。
そうそう,「ヘビの舌」のぺろぺろっのタイミングにそっくりだった。

 アゲハなんかはちょっと危険を感じるだけで赤い肉角を出す。しかも。モーレツに臭う匂い付き。それに較べ,ウラギンシジミは妙に紳士的だ。幼虫によって危険の感度が違うようである。
しかし,あんな素早いビロビロで脅し効果があるのだろうか。
もしかすると,アッテンボローの画像ように昆虫の目線でみたら,これまたもの凄い恐怖体験になるのかも知れないー。
もともとフジの葉の上では十分すぎるほどのカモフラージュぶりなのだから,それだけでも危険は少ないに決まっているのだがー。

続々 華麗なる蛹マジック

「羽化を見たいぞ〜」



 
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