何でもないものが,ちょっとした弾みで気になってしまうことがある。 それが身近にウジャウジャある生物で,しかも「かわりだね」と呼ばれる,ひとひねり効いた見つけものだと大喜びだ。 オオイヌノフグリ,その花はウジャウジャある春の代表格。誰でも見たことある春の花。その空色は実に爽やかで,絨毯のように広がる様は春の空のよう。見ていると心までウキウキする。 そのうえ名前の面でもかなりインパクト抜群だったりして,なかなか隅に置けない花である。 春爛漫の2003年3月24日,UーMAさんから見せて頂いたのがこの画像。
なんと,5枚の花びらのオオイヌノフグリ〜! 普通4枚の花びらがスタンダードなオオイヌノフグリ,5枚はまさしく「かわりだね」。 よくぞこんな小さなオオイヌノフグリで見つけられたものだ。 私も見つけてみたい。 この画像をみた次の瞬間,オオイヌノフグリ察知アンテナがニョキッと生え,近所に出かける決心をした。 この花に触るとすぐポロッと落ちてしまった,という経験はないだろうか。 幼少のみぎりの私は,この空色を沢山集めておままごとに使った。米ぬかで出来たご飯にパラパラ振りかけたらあら不思議,春爛漫おままごと弁当の出来上がり。 このポロッと落ちた花,よく見たら花びらの大元は繋がってロウト型で,5枚というより5裂というのが正確な表現らしい。 灯台もと暗し 5つ,5つ,5つのオオイヌノフグリはないかなぁ アンテナを立てつつ,ご近所を眺めて歩くと,小さなオオイヌノフグリが今日は何となく大きく見える。 目的地へ着くまでもジロジロ道端を見ていると,あれれ?
何度も通る生活道なのに今まで気が付かなかった。私の目ってなんて節穴だったんだろう。5枚を探して白花は棚からボタ餅でバンザイだ。 このバンザイの数日後,なんと祖母の裏庭にも白花オオイヌノフグリが密集して生えている事に気が付いた。 オオイヌノフグリアンテナが立っただけで,今まで全然気が付かなかったものが,不思議と目に入るものだなぁ。 それにしても白花って探せば結構あるものなのかな? 白花オオイヌノフグリに似た外来種「コゴメイヌノフグリ」という別種も東京近辺には生えているらしい。以前見られているU−MAさんの情報で知ったものだ。
私が見た白花オオイヌノフグリとじっくり見較べてる。どうも毛深さや種の様子が違うようだ。 やっぱり,私のはオオイヌノフグリの白花かわりだねのようだ。 そのほくそ笑みはそういつまでも続かなかったのだが,それはまた後半のお話。 次なるかわりだね さて,大喜びの白花と別れを告げて,肝心の5裂のオオイヌノフグリを探す旅は続く。 目的地選びは慎重ににしないと,しゃがみ体勢ゆえに「ご気分でも…」と周囲に心配を掛けてしまう。狙いは主要道路からちょっと入った田圃脇。遠目には土筆や蓬摘みに見えるカモフラージュ抜群の絶好の場所だ。 オオイヌノフグリはお日さまの方へ一斉に向いて咲くので,しゃがんでお花の顔を眺めていると背中がぽかぽか暖っかい。土の湿った春の匂いもする。 モンシロチョウだ テントウムシもいるぞ 花を囓ってるイモムシも! 気持ちいいなぁ〜,春はやっぱり良いなぁ〜♪ フンワリと春の風景を楽しみつつ目をやった先に,ピンク色の花が目に入った。 あれれっ,桃色オオイヌノフグリがあるぞー!
あなたは本当に桃色なの? 桃色オオイヌノフグリは「かわりだね」には違いない,と喜んだものの…でも,まてよ。 朝顔は酸性雨で青色が赤に変わったっけ。 アジサイだって,種類によっては土の酸性度によって色が変わるものがあるという。 うーむ,なんとなく怪しい…。 そんなときにはお手軽実験だ。 土の性質によって色が変化したのなら,家の土に植えてみたらしばらく経ったら結果は出るかしらん。 後に必ず戻すことを心に決めて,実験のために一株お持ち帰りした。 土壌実験の間に,酸性雨実験をしておこうー。 まず,用意するものは酸性の代表「食酢」。軽く薄めた食酢の中にポロッと取れた空色と桃花と,両方浮かべて様子を見る。 もし桃花が酸性の影響なら,空色だって桃花に変化するはず。 果たして結果は…
花びらの色はほとんど変化なし? しべの辺りがピンクぽくなった感じがするぐらいだ。 これでどうだとばかりに,楊枝で何度もつついたり沈めたり繰り返すが,あんまり変わらないようだ。酸度が足りなかったのかもーとトドメに食酢の瓶からドボッと継ぎ足してみたけど,大層変わらない。 桃色オオイヌノフグリ,これはかわりだねの大アタリかもしれない!
トップページに戻る |