放送日 平成21年12月03日(第603回)
ゲスト 万華鏡作家 吉田真さん(吉田和子さん・福本真さん)

  万華鏡作家 吉田真さん

     (吉田和子さん・福本真さん)
          
あらまし 今回のゲストは、万華鏡作家の吉田真さんです。

10年来、万華鏡を作っているという吉田真さん。
「手にとって見て下さった方がいて、最終的に完成するのではないかと思っています。」
円筒形の万華鏡だけではなく、T字形をした万華鏡を制作されています。
「濃度の違うグリセリンを入れ、その中にガラスのピース、シルバーの粒などを
入れています。どういうふうにしたら一番きれいに見えるかということを
意識しながら作っています。
ボディーの色と中の映像の部分とを合わせています。
全体をトータルして、一つの工芸品みたいに見て頂き、中をのぞくと不思議な
世界が広がっていくということを意識しています。
いくつかのドライフラワーを貝殻の中に束ねていれているものもあります。」
以前ある方に、
「一瞬で色が変わるので緊張感のある映像」
と言われ、なるほどと思った真さん。
万華鏡を作り始めた頃は色々と苦労されたそうです。
「普通の鏡ではクリアな映像ができないことに気付くまでにずいぶんとかかりました。
資料もない時代でしたから、万華鏡を見てヒントを得ようとしたのですが、うまくいかなかった。
企業秘密ということで教えてももらえない。
仲良くなってやっと教えてもらったのが、グリセリンを使うこと、
鏡も表面反射鏡という特殊な鏡を使っていることでした。」
優しい色合い、細かいものをつくるのは吉田さんが得意とされているそうです。
お客さんからのリクエストもあるそうです。
「印象に残っているのは結婚記念に作って欲しいといわれた時。
結婚式は木漏れ日のきれいな季節。その木漏れ日をイメージして作ってくれと言われました。」
「最初は試行錯誤で何回も失敗しました。
最近は、最初にイメージを作ってから、制作ができるようになりました。」

吉田さんと真さんは生け花教室で知り合ったとのこと。
真さんが兄弟子にあたるそうです。
吉田さんは、
「ガラスの方に興味があって、ある方の誕生日祝いでガラスのテラリウムを
作ることになりました。そこから一緒にステンドグラスをさせてもらって、
だんだん万華鏡の方に進んでいきました。」
一緒にやっていて、ケンカのようになったことはないそうです。

ワークショップも開かれている吉田真さん。
「老人ホームでワークショップを開いた時、最初はできないと言われていた
お年寄りの方々が、すごく楽しそうにされていて、出来あがったら、
孫に見せるんだとか、自分が作ったものも見てと、嬉しそうに
笑顔になられていました。そうやって喜んでくれるのが嬉しいですね。」
と、吉田さん。

吉田真さんの万華鏡作りにはコンセプトが1つあるそうです。
「『可能性の記憶』と呼んでいるのですが、昔、洞窟の中で人類が住んでいた頃、
安全ではあるけれど退屈な洞窟の中から、子供達が初めて外を見て感じたこと。
空を見て飛びたいと思った時、海を見て泳ぎたいと感じたかもしれないし、
色々な可能性を膨らませていくのではないのか。
そういう記憶が人間のDNAの中には入っていて、万華鏡を見た時に、そういうものが刺激されれば嬉しいと思います。」
と、真さん。
現在は、京都の方で展示会が行われています。(1月末まで)
倉敷では、アイビースクエアで12月11日〜1月11日まで展覧会が開かれます。


最後にパーソナリティー3人の感想です。
 哲 :洞窟の中から外に飛び出す時の最初の気持ちを表現したいということ、
    こんなきれいなものが出来あがることは素晴らしいと思いました。
 とも:万華鏡が癒しだけではなく可能性がある。
    どんどん変わる、自分も変わる。
    夢があるなと思いました。
 清美:お二人そのものが万華鏡のように感じられました。
    素敵な気持ちになりました。



(文:ゆきこ)
今週の曲 「Good afternoon」
パーソナリティ 池上清美・平松とも子・福山哲郎