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2019.1.17 読売新聞 より 2019.1.17 (木) 編集手帳
期日や期限とかいう場合の【期】は、「とき」を意味する。
以前、漢和辞典で引いたとき、それ以外の字義があることを知った。
「ちぎる」 「約束する」。 これは期待の期である
■つまり期待とは、約束が果たされるのを待つ心持といえる。
横綱へのファンの心理に似ていよう。
強い相撲を見せてくれるはずだーーーーそれに応えようとして、けがや不調を押し無理に土俵に上がったことは確かだろう。
■横綱 ・ 稀勢の里が引退した。
生真面目で不器用な人だという。
綱取り後、千秋楽まで取り切ったのは2場所のみ。
胸中の無念は察して余りある。
■国技館に連日ため息が漏れたが、同時に見せたものは約束を誠実に果たそうとする横綱の姿にほかならない。
在位2年とはいえ、体が思うように動かず、ひとり悩み苦しむ時間だったろう。
寺山修二の詩を思い出す。
<いろんなとりがいます
あおいとり
あかいとり
わたりどり
こまどり
むくどり・・・でも
ぼくがいつまでも
わすれられないのは
ひとり
という名のとりです> 「ひとり」
■最後まで、つらい孤独には負けなかった土俵人生だろう。
忘れまい。
2016.2.22 読売新聞 2016.2.22 (月) 編集手帳
「敬天愛人」
voice 声
2015.2.1 山陽新聞 2015年1月29日 (木) 総合 4p
識者論評 邦人人質 千葉大学教授 栗田 禎子 (くりた よしこ)
代償伴う積極的平和主義
2014.6.5 朝日新聞 2014年6月4日 (水) オピニオン 12p
日本の日用品 なぜ英語表記
台湾から日本に留学して約一年半が経ちました。
ここでの生活にはだいたい慣れましたが、一つ慣れないことがあります。
それは英語や、カタカナ表記の英語を使った商品説明が多すぎることです。
先日、洗濯用洗剤を買いに行ったスーパーでは二つの商品で迷いました。
日本語に交じって、一つは「Fresh Camomile」、もう1つは「Sweet Harmony」と大き目の英文字。
さらに、それぞれ小さな英文字で説明文もあります。
私には意味がわかりません。 日本で売る日用品の説明に、なぜ英語を使うのかも理解できません。
調べると、「清新なカモミール」、「甘い香りの調和」という簡単な意味なのにどうして英語なのでしょう。
こういった問題では、私たち外国人だけでなく、一部の日本人も悩んでいると思います。
高齢の日本人の方々も常にそう感じていると聞いたことがあります。
日本語は、ただでさえ習得することが難しい言語です。
その上、文中に英語やカタカナ英語があると余計に難しくなります。
もっと一般的な日本語を使用したら何かいけないことがあるのでしょうか。
そう思う毎日です。
2011.10..17 山陽新聞 内政 TPPを聞く 新自由主義で国が変質 山田正彦 前農相
2011.10.15 山陽新聞 特集 新聞週間 前向きなわだいに力を 石井史子 岡山赤十字病院医療社会事業部長
2011.08.05 山陽新聞 (総合) 現論 前代未聞責任感どこへ 柳田邦男 ノンフィックション作家
原子力学会の声明
2011.08.03 山陽新聞 (総合) 識者評論 被爆地とフクシマ 高瀬 毅 ジャーナリスト
問われる反核の原点
2010.09.21 山陽新聞 (くらし面) 敬老の日に寄せて 米沢 慧 評論家・作家
老いる姿丸ごと受容
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06.10/31 山陽新聞 (くらし面) 温かく寄り添うケア大切 鎌田實さん (諏訪中央病院名誉院長)
ベストセラー 「がんばらない」 笠岡で講演
がんなどで回復が難しくなった患者をどう支えるのか、終末期医療に関心が高まっている。 そうした患者との交流をベストセラー「がんばらない」につづった諏訪中央病院(長野県茅野市)名誉院長の 鎌田實さん(58)が、笠岡市であった同市認知症介護研修センター講座で講演。 「最後のひと呼吸まで患者は価値ある存在として自分らしく生きたいと願っている。それに温かく寄り添う ケアが大切だ」と訴えた。 (中浜隆宏) ホスピスや24時間対応の在宅ケアなど終末期医療のモデルを同病院に築いた鎌田さん。「見捨てない医療」を目指 したケアの例を紹介した。 ホスピスに入院していたがん末期の50代女性は、夫と小さなレストランを営んでいた。 1日に一組だけ、予約客にフ ランス料理のフルコースを出していた。 鎌田さんが「知っていたら行きたかった」と残念がると、闘病で半年間料理から離れていた女性が目を輝かせた。 「料理を作り、喜んでもらうのが自分の人生のすべてだった。もう一回作りたい」。 残る体力に合わせフルコースを 数回に分け週一回、病院スタッフに振る舞うことになった。 「本当においしかった」。鎌田さんは言う。 女性は3回目が終わった後、「来週がメーンディッシュ。料理も最後。何にしようか迷っている」と笑った。 ところが、最後の料理
「冷たい告知をしなくても、患者は大概いよいよであることが分かる」と鎌 田さん。数日後、女性は鎌田さんを呼び「来週の約束は守れそうにない」 とわびた 。 そして、「いえるときにありがとうと言いたかった」と話し、別 れを告げた。 なくなった後、鎌田さんは、女性が残したノートを見た夫か らメーンディッシュが帆立て貝のパイ包みだったのを聞いた 。 「食べた かった」と残念がると、夫は「妻も作りたかったと思う」と言いながら「料理 が始まってから妻は本当に嬉しそうな顔をしていた。いい時間だった」と 振り返った。 共にがんを患って在宅で療養していた80代夫婦も紹介。 社交ダンスが共通の趣味だった。 やがて妻の病状が悪化。 だが、来 院するよう電話で説得しても、妻は「ちょっと待って」の繰り返し。 結局 夜に緊急入院した。なぜ我慢したのか看護師が尋ねると「あさってのダン スパーティーで最後に夫と踊りたかった」 と打ち明けた。 看護師たち は病院の食堂をダンスホールに仕立て、夫婦はラストダンスを踊った。 終わると、夫は妻と抱き合い「ありがとう」と声を掛けた。 4日後、妻は 逝った。 「何かやり残したことがないか。押し付けがましいことは言わず、 聞き役を心掛けた」。 鎌田さんは終末期患者とのコミュニケーションに ついて語った。 「ちょっとした勇気と周りのケアがあれば、患者の願いが かなえられる」という。 作春、院長、最高経営責任者(CEO)と続いた同病院での重責を離れた 鎌田さん。 今はチェルノブイリやイラクでの医療支援活動に力を注ぐ。 最後にこう呼びかけた。 「今、世界も日本の社会も、すごくギスギスし ている。 でも、それにへこたれず温かなことができるはず。 病院にも 温かな風が吹けば、つらいだけの治療からいろんなものを学べ成長で きる。 やれる範囲で小さな温かさの連鎖を起こすことが大事だ」 |
![]() ![]() てらだ みのり 俳優。 1942年、東京生まれ。 映画「肉弾」 「セーラー服と機関銃」、 ドラマ「ドラゴン桜」(TBS系)、 「氷壁」(NHK) などに出演。 舞台やテレビのナレーションなどで活躍 しているほか、文学作品の朗読CDもある。 今どきの若手女優 裕次郎、勝新、錦之助・・・・・・ 昔の大スターを知らず 「エーっ、ユージローって歌手じゃないんですか」 とあるテレビドラマの撮影現場でのことだ。 20歳前後の若い女優さんと監督が話をしている。 監督はかって石原裕次郎の作品を数多く 撮った巨匠である。 「ね、今のコはみんなこうなんだからイヤになっちゃいますよ」と、 傍らで聴いていたわたしにフる。 まぁそんなことはいまさら驚くにはあたらないのだが、試しに聞いてみた。 「勝新太郎、中村錦之助、三船敏郎、このうちの誰か知っている?」 「ぜーんぜん、知らないっ」 若い女優は、その売り物のキラキラ光る大きな目をさらに大きくして、少しも 恥らうことも無く答える。 「ふぅーん、やっぱりそうなんだ」。 わたしとしては、分かっていたことだが、そううなずくしかない。 で、 この話はここで終わってしまう。 なにかヘンだよねぇ。 その道を志してやっていこうと思ったら、 昔の映画くらい観ておこうと思わないだろうか、勉強などと 大げさなもんじゃなく知識として、興味ぐらいはないのだろうか・・・・・・。 少なくとも、今あげた4人は日本の代表的な映画俳優で、今風に言えば超スーパースターなのである。 役者の名前がこうなのだから、監督名などはまったく知らないに違いない。 恐ろしくてこれ以上は聞く気にもならない。 今どきの若者はみんなこうなんだろうか、たまたま知り合いの若いサッカー選手に聞いてみた。 すると往年のメキシコ五輪時代の釜本から杉山と、はたまた外国の選手までキラ星のごとく並べ立てる。 そう、こうでなきゃなんですよね・・・・・・。 文学を志す若いヤツが、夏目漱石、芥川龍之介を知らないはずもないのだ。 クラシックを勉強している 連中が、ベートーベン、ブラームスって誰なんてことは間違ってもない。 じゃどうして、ウチらの業界だけこんなことがまかり通ってしまうのか。 かっての名作と呼ばれる映画、テレビドラマでもいい、巷のレンタルショップにはDVDが溢れているじゃ ありませんか。 どうしてこういうものを観たいと思わないのか、それともこんなものを観る時間も興味もないと言うのか。 察するにかれらにとって、今テレビにどれだけ出ているかということがすべての価値基準、テレビで売れて いることだけが評価の対象だというのか。 それともそんなことすらも、まったく考えないで、ただなんとなくカメラの前に立っているだけなのかもし れない。 もっともね、昔の名作を観たからといって、膨大な知識として日本映画史を知ったからといって芝居が ウマくなるというものでもないんだが・・・・・。 だからムズかしいんだねぇ。 わたしは、こういった若者たちと一緒に仕事をしているのです・・・・・・。 ツカれますぞ。 |
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![]() 「卵かけご飯」魅力語り合う 島根でシンポ 日本の食の定番「卵かけご飯」の魅力を歴史や栄養などさまざまな視点から語り合う全国シンポジウムが 30日、島根県雲南市で開かれ、この日を「たまごかけごはんの日」と決めた。 シンポのきっかけは、同市の第3セクター「吉田ふるさと村」が開発した卵かけご飯専用しょうゆ 「おたま はん」 のヒット。 2002年5月から約30万本売り、東京で愛好グループが結成されるなど全国から反響があったため、市内 の有志が企画した。 インターネットの企画で卵かけご飯を30日間食べ続けた松江市の男性は特別賞に選ばれ、 「疲れが出 始めた10日目はしょうゆに滋養強壮剤を混ぜ、最終日の30日目には喜びのあまりビールを混ぜた。 卵 かけご飯のおいしさは普遍的」 とコメントした。 |
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![]() 7日のロンドン同時テロをめぐってブレア英首相ら主要国首脳は「テロには屈しない」 とあらためて「対 テロ戦争」継続を宣言した。 しかし、近年、各地でやむことなく繰り返されるテロを思うと、はたしてこの 「テロ戦争」に勝利の形があるのかとの疑問がわく。 少なくともアフガニスタンやイラクで米英軍が行ってきたような力による封じ込めが奏功する敵ではない と思える。 ![]() フランス学術センター研究部長のオリビエ・ロワ氏は、昨年9月に発表した論文でアルカイダについて 「本家がコンセプト(概念)を決定し、ラベルを貸し出すフランチャイズ型」組織と分析している。 かってのマルクス・レーニン主義組織のように、綱領に従い、中央が末端メンバーまでを厳しく律する組 織ではないとみている。 ゆえに、指導者を抹殺したり、中央司令部をたたきつぶせば、末端まで瓦解して消滅するといったことも ない。 仮にマクドナルドの米本社が経営不振に陥っても、世界各地の店舗はおそらく営業をつ続ける ように、フランチャイズとして、またネットワークとしてのアルカイダは各地に生き延びる。 そして、巨大 国家が軍事力を見せつけるほど、ネットワークに参加しようとする「志願者」は増え続ける。 昨年9月のフランスのルモンド・ディプロマティークに中東専門家アラン・グレシュ氏はイラクについて次の ように書いている。 「米国が『悪いやつら』を殺せば殺すほど、爆撃したはずの建物のがれきや、徹底 的に調べ上げたはずの村の一つ一つから、彼らはわいて出てくる。のだ」。 米国や英国、さらにはロシアや日本が「対テロ戦争」の名の下に戦っている敵は、このように無限に増殖 する可能性を秘めている。 今回、犯行声明を出した「欧州の聖戦アルカイダ秘密組織」も、その名からして「フランチャイズ」だろう。 おそらくは個人レベルの強固なきずなを持つ少数のグループが「反米英」「反占領」「イスラム原理主義」 といった各地の組織と共有するコンセプトに従って、独自に立案、実行したものではないか。 この敵を封じ込める最大の戦略は、むしろ彼らが共有する「コンセプト」そのものを色あせさせることにある ように思える。 今回のテロをめぐってイラクのタラバニ大統領は「イラクで起きていることは、どこの国でも起き得る」と述 べている。 事実上の占領下にあるイラクでは、イラク戦争開戦以来、連合軍兵士1900人以上が死亡した一方で、 少なくとも2万人を超えるイラク人が殺されている。 パレスチナでもチェチェンでも、多くのイスラム教徒が 不条理な死を強いられ続けている。 この状況が続く限り、彼らのコンセプト、すなわち戦う大儀が失わ れる可能性は低い。 「対テロ戦争」が揚げるべき目標は、ほとんど不可能と思える「敵の殲滅」ではなく、憎悪の連鎖を断ち切り 和解の道を探ることしかないのではないか。 それは決して「テロに屈する」ことを意味するものではない。 |
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![]() 「マニュアルを作った人間が去り、現場ではマニュアル頼みが目につく。 安全面も含めて技術継承は、 当社にとっても深刻な問題」。 中国電力(広島市中区) のある役員の言葉だ。 昨年8月に発生した関西電力美浜原子力発電所(福井県) の事故について、話したときのこと。 その前年 起きたブリジストン栃木工場(栃木県) の大規模火災、 新日鉄名古屋製鉄所(愛知県) の爆発事故にも触 れての言葉と記憶している。 この役員は、 技術者として発電所建設、メンテナンスなどのマニュアル作成にかかわった経験がある。 「マニュアルで規定された作業の意味を、 本当に理解しているのか大いに疑問。 これら信じられない事故の 根底には、この傾向が関係しているように思えてならない」 とも述べた。 107人の犠牲者を出した兵庫県尼崎市のJR西日本福知山線脱線事故。 原因究明では、鉄道運行の大前提 である「安全」 が必ずしも最重視されていなかった点がクローズアップされている。 その中で、ベテラン運転手の人数が少ない現状も問題として取り上げられた。 バブル経済崩壊後、多く見られた人員削減など組織スリム化の動き。 同じ悩みを持つ企業は、 多いのでは なかろうか。 企業としての対策はもちろん必要。 ただ、 目先のことにとらわれすぎ、 仕事の本質を見失っていないか。 一人一人が今一度、 じっくり考えてみるべきだと思う。 |
![]() あいさつをして少し大人になる 高校3年 永田 裕貴 17 (三重県名張市) 最近、やっとあいさつをする習慣がついたような気がします。 今までは、恥ずかしいとか、あまり親しくない人にはやりづらいという気持ちがありました。 しかし、朝や登下校時に出会う近所の人、学校ですれ違う先生らに思い切ってあいさつしてみると、相手は 笑顔で返してくれたり、それを機に話しかけてくれたりして、とても気持ちがいいことがわかりました。 部活では、後輩から先輩にあいさつするのが当たり前と思っていますが、時には何も言わずに行ってしまう 後輩もいます。 下級生のころは自分もそうだったかもしれないと、反省するのですが、なんだか、気持ちがよくないものです。 あいさつを習慣化して僕は、それが人とのふれあいに、とても大切な役割を果たしていることがわかりました。 そして、少し、大人に近づいたような気がします。 |
![]() 返事せず平然? 殺風景な社会に アナウンサー 小川 宏 78 (東京都) 最近、外出して気になることがあります。 それは「返事」についてです。 私はキヨスクで買い物することが時々あります。 その際、必ず、お店の人に「どうもありがとう」 とお礼を言います。 以前、お礼を言う人はどれくらいいるか、キヨスクの店員に聞いたところ、「10人中、1人か二人です」 とのことでした。 「たとえご返事がなくても、もう慣れました」 と笑顔で答えてくれました。 近くの病院の待合室でも、全く同じ状況です。 こちらが、「おはようございます」 と言っても、知らん ぷりの人が多いのです。 患者の名前が呼ばれ、「はい」 と言う人はごくまれです。 返事をするのは礼儀だと思います。 診察を終えて受付で、「お世話になりました」 と言って帰る人も少ないようです。 いつからこんな殺風景な世の中になってしまったのでしょうか。 子供のころから、返事や挨拶をきち んと教えることが必要です。 「挨」 は心をおしひらく、「拶」 はせまる、という意味だと聞きました。 積極性がないといけないという事です 。返事は人間関係の潤滑油です。 |
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私達の仲間で「元気の出る会」 というのがある。 岡山市もかかわり、障害者と |
04,6/15 読売新聞 気流 「一生懸命」にならばせたのに 小学生 10 大貫護義(横浜市)
先月、運動会がありました。天気もよく、楽しい1日でしたが、一つ残念なことがありました。
それは、僕達5年生と1年生が一緒にやる競技の時でした。
一生懸命、1年生をならばせたのに、入場門の所にお母さん達が来て、写真をとるために1年生を前の方に呼んだり、
麦茶を飲ませたりしたので、せっかくの列がグチャグチャになってしまい、もう1回、ならばせるのが大変でした。
これでは、1年生が集団で行動するときに、勝手なことをしてもいいと考えるんじゃないか、と心配になってきました。
写真をとるより、「上手にならべたね」とほめてくれるお母さんの方が、本当はやさしいと思います。
04,3/31 読売新聞 総合3面 ワサビの辛味痴呆防ぐ 科学32面 トマトに美白効果
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ワサビを食べて痴呆にならないよう 頑張りましょう |
04,2/1 読売新聞 (1/29紙面) 気流より
質屋の言葉に目が覚めた! 山口治子 78 千葉市
私が20代のころは、夫の給料日前になると、質屋さんに出かけた。 時計などを担保にお金を借り、給料が入ると
九分の利息をつけて返した。
とこらがある日、軽い気持ちで自宅の権利書を持っていき、 「これで借りられますか?」 と聞くと、質屋のおじさんは
さっとそれを私につき返し、 「奥さん、権利書というものは、絶対手から離してはいけないよ」 と言った。
私はハッと目が覚めた。
お金の怖さに気づいた。 以後、二度と質屋さんに行かずに済むよう、計画的にお金を使った。
今でも重要書類を見ると、あの質屋さんを思い出す。
04,1/20 読売新聞 気流より
心大切にするインドに学ぶ 五百部 良重 65 茨城県日立市
インドの合併会社に勤務していた時のこと。
日本からの出張者が、おみやげにしゃれた「栓抜き」 を持ってきた。
職場のインド人達は、丁寧にお礼を述べて受け取った。
だが彼らはイスラム教徒だからビールを飲まないし、栓抜きで開ける物が家にあるわけでもない。
役に立たないプレゼントを丁寧に受け取った様子から、彼らはその人の「心」に感謝していることがうかがえた。
実際、栓抜きを受け取ったインド人は、家では使えないが、気持ちがありがたいと話していた。
インドでは日本のように物があふれている訳ではなく、私も赴任当初、「インド人は貧しいから、何でも物を渡すと喜んで
くれる」 などと聞かされたが、それは日本人の思い上がりだった。
物や金に価値を求める多くの日本人は、真心に感謝している人たちの心が読めなくなってはいないだろうか。
私達はそれに早く気付かないと世界で恥をかくことになると思う。
02;8/28 山陽新聞 ちまた より
石灯ろうの話 政治家見習って 菅野光明 66 倉敷市
私は毎日散歩に、 自宅から25分の倉敷美観地区にある阿智神社へお参りします。
石段を上って随神門をくぐると、拝殿の前に1対の石灯ろうがあり、正面に「京都万屋正兵衛建之」、裏面に「文化8年」と
刻んでいます。 倉敷で小間物やを経営しょうとした御船綱手という人が、商売資金を京都の万屋正兵衛へ借りに行き商
売を始めた。 不景気な時代だったが、知恵を絞って商売した結果、蓄えができたので京都へ返済に行った。
ところが不景気が続いたためか万屋正兵衛は行方不明で返済できなかった。
そこで御船綱手は氏神様である阿智神社へ石灯ろうを寄進したのだが、自分の名は書かないで、金を貸してくれた人の名
を刻んでいるということです。 だから万屋正兵衛は石灯ろうがあることを知らないのです。 文化8(1811)年、191年前の
話です。
私は神社で参拝客に会うとこの話をします。 ほとんどのの人が「奇妙な人だなあ、今の政治家に知らせてやりたい」などと
言われます。
19日の敵1滴に「政治と金をめぐる不祥事が横行する今の世の中は、どうなっているのかと先祖の霊がなげいている」と書い
ています。 名誉欲、金欲をほしがる者が多い現在の政治家に見習ってほしい石灯ろうの話だと、私はいつも思っています。
02;8/23 山陽新聞 家庭欄 より
痴呆のお年より 行動には理由がある
倉敷で「バリデーションセラピー」セミナー 創始者のフェイルさん(米国)が講演
痴呆のお年よりとどうかかわるか--。 欧米で広く行われている「バリデーションセラピー(確認療法)」は、お年寄りが心の
目で見る世界に合わせ、喜びや悲しみに共感することでコミュニケーションを図る療法だ。
このほど創始者のナオミ・フェイルさんが初来日し、倉敷市内でセミナーを行った。 バリデーションとは何か、意義と実践の
アドバイスを紹介する。
感情に共感してあげて 「痴ほうのお年寄りが、自分らしく振る舞えるよう、感情に共感し
てほしい」と訴えるフェイルさん
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「いい天気よ」。 老人ホームでソーシャルワーカーが高齢の 女 性に話しかける。 「そんなことより、母親に会いに家に帰 りたい」と女性。 「何を言ってるの、ずーっと前に亡くなってい るわ。 外はいい天気よ」。 現実を教え、別のことに気を向け させようとするが、女性は家に帰ると言い張り、腹を立て始め る--。 |
紹介されたビデオは、痴呆のお年寄りと介護者のよくありがちな光景だ。 「女性の話を聞いてあげていない、話を取り合って
もらえなかったら、誰でも腹が立ち、自尊心を失いむなしくなるのに」とフェイルさん。
ソーシャルワーカーは、役30年前のフェイルさん自身だ。 フェイルさんは、米コロンビア大学でソーシャルワーク修士号を
取得後、老人ホームで働くなかでバリデーションを開発。 「40年かけ、失敗を繰り返しながら会得できた」と振り返る。
「ヘルパーに結婚指輪を盗まれた」「食事に何か入れられた」とわめいたり、子供に戻って泣くお年寄り。 介護者は妄想や
問題行動としてとらえがちだが「お年よりの行動には理由がある」と考えるのがバリデーションの基本だ。
お年寄りは最近の記憶が無くなると、過去の記憶をたぐり寄せ、心の目や耳で感じる。 また、人生でやり残したことや長い
間心に隠していたつらい感情が、痴ほうになり自制心が緩んだとき、表に出てくるんだという。 「お年寄りは感情を吐き出し、
聞いてもらうことで癒されて死を迎えたいのだ」とフェイルさん。
バリデーションでは「何を言っているの」ではなく「どうしたの」と聞いてあげる。 心の目で眼る世界に寄り添えば「ビデオの
女性は母親の最期に付き添えなかったことが心の課題になり、ずっと母親へ自分の愛情を伝えたかった、とわかったかもし
れない」 とフェイルさんはいう。
テクニックとしては、まず深呼吸し自分を無にして相手に集中することが大切だ。 フェイルさんによると、痴ほうのお年寄りは
4段階の経過をたどる。 @認知障害 A日時や季節の混乱 B話ができなくなり、繰り返し動作がみられる C植物状態
初期段階ではお年寄りの口調や表現を使って言葉を繰り返せば、若い介護者でも受け入れやすい。 お年寄りがマイナス
思考のときは気持ちに寄り添って「人生で最悪だったことは何」 など極端な表現を遣い、感情を吐き出させる。
思い出話をするのもいい。
話ができなくなった人でも、心を込めたアイコンタクトや赤ちゃんに触れるようにほほをなでれば反応が返ってくる。
「お年寄りは賢い。 存在を尊敬し共感する心が伝われば、信頼で応えてくれる」 。
介護者が受け入れてあげれば、興奮や徘徊は減り、薬や身体抱束の必要もなくなるという。
さらにフェイルさんは「お年寄りを理解できれば、介護者も喜びを持って接することができるはず。 バリデーションは、お年寄
りだけでなく家庭の介護職員のためにも役立つ」と説いた。
02,8/16 山陽新聞 泉 より
「ベッドサイドにて」 岡山市桑田町 福島玲子 38才
いたわしい --- 忘れかけていた言葉が胸のそこからわき上がってきた。
病魔と戦う父。 これまでは、医師から聞く状況と本人の様子とがまるで一致しなくて、半信半疑なところがあった。
けれども今、目の当たりにする父は、病魔を前になすすべもないという様子だった。
あえてそのことには触れず、とりとめのない話をした。 病気のしわざで、話が時々、予期せぬところへ飛ぶ。
訂正していいものか、悪いものか、探り探り話を聞いていると、ワープした場所に自分も一緒に付いていけば、結構面白
いことに気付いた。
そして、私自身も遠い記憶に浸っていた。 父は若いころ、かなりのお酒好きだった。 酔いが回ってくると、ご多分にも
れず、自分が面白いと思う話を何度も繰り返す。 面倒がって適当に受け流そうとする母に代わって、ぴったりと父のそ
ばに座って話を聞くのは、私の役回りだった。 話が少々くどいことを除けば、子供の私にも十分面白かった。
聞き手を得た父は、ますます上機嫌。 若き日の父と目の前の父が一瞬、だぶって見えた。
「疲れるよ。もう寝たら」。 母の言葉で現実に引き戻されたが、「一日のうちで、一番楽しいひとときだった」という父のひ
と言は、ふさぎがちだった私の心をほんのりと温かくしてくれた。
《読売新聞》
02;5/11 eーライフ WEEKLY コラム
「愛想」欠いてはプロではない 李啓充 医師・作家(在ボストン)
医 師 の 目
日本のある大学医学部教授になった友人から、びっくりするような話を聞かされた。
初めて教授回診をした時に、病棟婦長から「先生は、患者さんと口をきいてくださるので助かります」 と感謝されたという
のだ。 前任の教授は患者と一切口をきかなかったらしい。
患者と口をきかずにどうやって患者を診ていたのか不思議でならないが、この教授が学生や研修医をどのように指導した
のかを考えると、そら恐ろしくなる。
「腕がよくても愛想の悪い医師と、愛想がよくても腕が悪い医師と、どちらを選ぶか?」 とは、よく聞かれる質問であるが、
患者と口をきかないような教授のもとでは、腕も愛想も悪い医師しか育ちようがない。
そもそも「腕を選ぶか、愛想を選ぶか」という質問は質問自体が間違っている。 なぜなら、プロの医師は、腕も愛想もどち
らも欠いてはならないからだ。
残念なことに、日本の医学教育では、患者と口をきかない教授の存在が許されているように、 「愛想」の大切さがきちんと
教えられていないようだ。 私の場合は、幸運にも、研修医時代に患者に対する「愛想」の大切さを厳しく指導された(ちなみ に、私の研修場所は大学院ではない)。
私の指導医は、プロの医師としての5つの必須要件を「医者は5者でなければならない」という言葉に要約した。
5者とは 学者(科学的に正しい医療が提供できなければならない)
教育者(疾患と治療に対し患者が理解すること
を助けなければならない) 役者(必要とあれば、患者を相手に怒ったり悲しんだりしなければならない)
芸者(ややも
すると落ち込む患者の気持ちを明るくしなければならない) 易者(患者の病気についてその将来を正確に見立てなけれ
ばならない)--- である。
ここまで読まれた教育関係者は、 「教育者は5者でなければならない」 という言葉とそっくりであることにお気ずきになら
れたであろう。
「医者の5者」のうちの「教育者」を「医者」に置き換えると「教育者の5者」になるのだが、医者と教育者の仕事の本質が極
めて類似していることを思えば、何の不思議もない。
患者と口をきかずに横柄に振る舞う医学部教授の話を聞くと、「5者」になろうとする努力をしないどころか、患者や学生に
対して「権力者」としてしか振る舞えない医者や教育者が後を絶たないことに、日本の医療と教育の悲劇があると思えて
ならない。
《 読売新聞 気流 より》
02;5/3 中止でも選手ファンの前に 大阪府枚方市 岩田菜津 29
先月21日の甲子園球場での阪神巨人戦は、雨のため試合開始予定直後に中止になったが、当日、九州から観戦を楽しみ
に訪ねてきた祖父とともに、早々に球場に駆けつけ試合開始を待ちわびた私の立場として、少し不満が残った。
ファンあってのプロ野球。 雨で試合が出来ないなら、せめて傘を差してでも、選手はグランドに一度くらい出てきて、ファンに
手を振ってあいさつくらいしてくれてもいいのではないだろうか。
選手にとっては、たくさんの試合の中のたかが一試合だろうが、祖父のように高齢で遠方に住んでいる者にとっては、これが
最後の一試合ということになる場合もある。
祖父に、グランドに立っている選手の姿を一目でも見せてあげたかった
02;4/19 今日のノート 破壊の瞬間 梶原 誠一
社会に大きな被害をもたらすのに、起きた瞬間を映像に残しにくいもの、それが巨大地震ではないか。
たまたま発生に遭遇し、建物を破壊する瞬間をフイルムに収めようとしても、地面も身体も揺れているからまともには写らない。
航空機からならできそうだが、発生が夜ではお手上げである。
阪神大震災は真冬の真っ暗な時間帯に発生した。 つまり破壊の瞬間を映像としてとらえるのが、最も難しい条件下で起きた。
われわれの目に焼き付いているのは、破壊された後の惨状である。
神戸市東部新都心に出来た「人と防災未来センター」初代センター長の河田恵昭・京大教授は「あの時の全体を、誰も見ていない」という。
でも、同センターでは激震が家をビルを鉄道を高速道路を破壊する「その時」を映像で見せたいとして実現させた。
淡路島北淡町の民家が、三宮のビル街が大音響とともに崩壊する。 この世の最後を思わせるすさまじさだ。
わずか7分の映像に1年をかけ、特撮やCGと現実をミックスしてある。
被害者は悪夢を思い出して気分が悪くなるのでは、と心配したくなるほどの迫力がある。
27日から誰でも体験できる。 恐ろしい場面ばかりだが、巨大地震とはこれほど怖いものと実感する。 もし身近で起きたらどうしょうかという
防災の思索が、いや応なく巡る。
それがセンターの狙いなのだろう。
《 読売新聞 気流 より》
02;4/5 先生をほめた母の真意は・・・・・ 岡山県都窪郡 主婦 新谷直美 33
「ええ先生でよかったがあ」。 新学期が始まり、私が担任のことを話すとき、母は決まってそう言った
たまに悪口めいたことを話したときも、「それでも先生は」と、必ず先生をほめる言葉を後に続ける。
なぜ母は100%私に共感してくれないのだろう。
当時の私は母に対してそんな気持ちを抱いていたものだ。 今になってみると、それは学校や勉強を好きにするコツだということが十分に理解できる。
いよいよ新学期。 子供たちはクラス替えや担任の先生に心を躍らせている。
「優しい先生がいいな、宿題の少ない先生がいいな」とそれぞれ要望があるようだが、
ぜひ先生を尊敬する子供になってほしいと思う。
《 読売新聞 気流 より》
02;2/27 今日のノート 人は宝 斉藤 治
IT不況の長期化で赤字転落企業が多い電機業界にあって、黒字を続けているシャープが元気だ。
人減らしが当たり前という風潮の中で雇用は守っている。
その秘けつを前社長の辻晴雄相談役が、関西財界セミナーの「企業革新と雇用」分科会で明かした。
人件費が日本の20分の1以下の中国に対抗していくには、 「世界にない商品か、作り方」でなければまともに勝負できない。
シャープの創業者、早川徳治は「まねされる商品を作れ」 と独自性にこだわった。 シャープの屋台骨である液晶事業がそうだ。 1973年に世界初の液晶表示の電卓を売り出し、2005年度までに国内で販売するテレビはすべて液晶に切り替える。
本格的に展開するきっかけは、1985年のプラザ合意後の円高だった。 輸出製品の大半が採算割れになった。 苦境を打開するために、思い切って人と予算を液晶事業につぎ込んだ。
成功の要因は人にある。 「モノづくりは長い時を要する農耕的な側面がある。 人材を育てるには雇用の安定が大切だ」と強調する。
だが、従来型の終身雇用には「黙っていてもついてくると考え、かえって社員を粗末にしてきた」と批判的だ。
技術開発のための社員教育は「企業の義務」と言い切る。 実際、この10年間に5,200人が研修を受け新しい職場に移った。
人材こそが宝の源泉である。 安易な人員合理化が横行する時代は、やはりおかしい。
《 読売新聞 気流 より》
02;2/14 農家の思いに胸を打たれた
兵庫県伊丹市 足立英雄 70 非常勤講師
3日の 『日曜俳壇』 を読んで、牛飼いに努力しておられる農家の気持ちを思い、胸を打たれた。
「牛飼いは唇かみて見送りぬ 擬似患畜の62頭を」
私自身、かって農村で患畜の診療をしていたので、この歌を詠んだ藤林正則さんの胸中を察して、どんなに無念であったことかと、痛切に感じた。
草食動物である牛に肉骨紛という共食い的な動物性飼料を食べさせ、発生したBSE(狂牛病)。 その犠牲となった、善良な畜産農家の人々。
つぶらな優しい目をした牛は、かわいい動物である。 飼い主を慕って,足音がすると「モー」と懐かしげに鳴く声は、心を和ませてくれる。
牛は人間の食用として貢献してくれる。 毎年、食肉センターでは慰霊祭を行い感謝している。 その牛が、処分の対象となって買われていくのである。
農林水産省は農家の気持ちを尊重して、徹底した対策を立てて、安心して牛の飼育が出来るようにし、消費者の食肉離れの解消に努力してほしいものだ。
《山陽新聞 ちまた より》
11/8 『制服の乱れ』 雑誌にも責任
岡山市 小豆団子 中3
ここ数年、中学生,高校生の服装の乱れや化粧は、大人から悪く思われている。
私はそういう原因の一つは雑誌にもあると思う。 十代の女の子や中学生向けの雑誌は、 今かなりたくさんの種類のものが出されている。 それらの雑誌には、”制服の着こなし方” とか言って、いわゆる「乱れた服装」といわれるような格好をさもかっこいいかのように描いていたり、化粧の仕方などものせていたりする。
大人は服装や化粧を悪く言う。 しかし、雑誌などで影響を与え、子供を操っているのは大人ではないか? と思う。
もちろん、雑誌を選ぶ方にも責任はある。 買う時には自分でよく考えることが必要だろう。 でも、大人にはもう少し子供のことも考えてもらいたい。
《山陽新聞 家庭 より》
9/19 缶飲料減らそう
特別学級の取り組み紹介 | 独在住今泉さん |
![]() |
缶は 「リュース瓶」 に比べ、環境に悪いと知ってい ますかー。 ドイツ・フライブルク市に住むジャーナリス ト、今泉みね子さんが 「6000000000個の缶飲料」 (合同出版) を出版した。 ドイツの学校に通う子供た ちが缶を減らすためにどんな作戦を立て、どう実行した のか、紹介している。 「6000000000個缶飲料」 の表紙 |
” インタビュー”
減らす取り組みをしたのは、ドイツのコルンタール・ミュンヒンゲン市のヨハネス・クッレン校の
特別学級。 ほかの子の勉強についていけない子どもたちがあつまっている学級で、当時、日 本でいえば小学6年と中学1年にあたる計10人が在籍していた。
「缶は環境に良くない」 と話す先生に、子供たちは「リサイクルすれば、元の缶になるからいい じゃない」 と反論する。 それに対し先生は @リサイクルしているのは半分くらいで、あとはご みになる Aリサイクルにもエネルギーを使う Bアルミニュウムを作るにはボーキサイトと多く の電力が必要で、酸性雨の原因の1つである二酸化硫黄も空気中に出るーなどの説明をした。
また、アルミ缶の原料のボーキサイト、スチール缶の原料である鉄鉱石を熱帯、亜熱帯地域か ら掘り出すとき、山や森の木が大量に切られ、土や水が汚される。 そんな数々の悲劇が起こる のに、ドイツ人が1年間に飲む缶飲料は60億個もあると聞き、子供たちは驚いたのだ。
缶飲料を減らし、何度も使えるリユース瓶の飲み物に変えようという呼びかけが始まる。 まず 校内でチラシを配り、ポスターを張る。 町の店に手紙を書き、缶飲料の販売中止を頼む。
町に出て署名活動をする。 国会議員を巻き込む・・・。 戸惑いながらも少しずつ行動範囲を
広げていく子供たち。 「こんなに大変な状況の子どもたちでもやればできる。 それを知ってほ しかった」 と今泉さん。
では、ドイツに比べて日本はどうだろう。
「日本は電力使用量が増えれば原発を増設し、車が多ければ道路を増やす。 使う量を減ら すために工夫しようという発想に乏しいのではないか」
日本はドイツに比べ、はるかに多くの缶飲料を消費している。 自動販売機も至る所にある。
「自分に何ができるのかを考えてほしい。 まず日常生活を見直すところから始めてください」
「やればできる」 知って
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私は、 車に乗らない、 自動販売機 で飲み物を買わない、 などを心 がけています」と話す 今泉みね子さん = 東京都港区の共同通信会館 |
署名活動をするヨハネス・クッレン校 の子どもたち。 その活動は 「缶飲料を減らそうコンク ール」 の1等賞になった (撮影・今泉みね子さん) |
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ちまた 読者のページ 紙面より
8/30
弁当を捨てるこの国に疑問 岡山市 コンビニ店員 学生
私が働いているコンビニは、鮮度管理として多い時では一回に約1万円分以上の弁当を
捨てている。 これは一個五百円の弁当で考えると、約二十個分である。
鮮度管理は一日三回。 これらがすべてのコンビニで行われているとしたら恐ろしい。
もし、これらの食料が発展途上国で活用されるとすると、多くの人々を救うことができる。
発展途上国では一日に最低でも約二万四千人が栄養不足で亡くなっており、八億四
千万人の人々が今も飢餓に苦しんでいる。
確かに、このような現象は便利さを求め、二十四時間何でもそろうコンビニを頼り過ぎて
いる私たちにも責任がある。 しかし、このコンビニは二十四時間テレビの募金を呼びかけ
ていたし、その他にも地球の環境を守るため・・・などと銘打っていろいろな活動をしている。
こんなにたくさんの食料を捨て続けて、地球を守っていると言えるだろうか?
7/13
100円硬貨戻り美しい心に感動 倉敷市 森石武士 71
先日、買物のために玉島の紙店に行くと、店主が「プレゼントです」と言って、紙袋に
入れた100目硬貨を渡してくださった。 意味を尋ねると、去る6月15日に、私がその紙店
で買物をした時に、100円硬貨を落として気づかずに店を出た後で、ちょうど店にいた人
がおちている100円硬貨に気づいて店主に渡し、名前も言わずに帰られたそうである。
店主は、紙袋に入れておき、たまたま訪れた私に、忘れずに返してくださったということ
である。 たった1枚の100円硬貨であるが、私は受け取った瞬間、心の中にとても温かい
感動を覚えた。
殺伐とした事件の多い世の中に、100円硬貨1枚を拾って届けてくださる親切な人がおら
れること。 そして、たった1枚の100円硬貨を袋に入れ、忘れずに返してくださった誠実で
親切な店主にも感謝と感動を覚えた。
日々老化していく大脳に、温かい刺激を与えてくださったこれらの人々に、心から感謝す
るとともに、このような美しい心を持った人々がおられるということを、私の心に長くとどめて
置くとともに、広く皆さんにもお知らせしたいと思い、ペンを執った。
(読売新聞 気流 大阪本社発行)より
6/17 気流 紙面より
家に大黒柱2本はいらない 高知市 主婦 川口長子 53
昔のおやじには威厳があり、日本男児特有の男らしさがあった。
頑固でいばっていて、でも涙もろくて、いざとなったら命懸けで家族を守り、そして
社会の為に頑張る。
近ごろ、母親に発言力や経済力ができて、父親の存在感が薄くなった家庭がある。
私は、家の中に大黒柱がデンとしていることは大切なように思う。大黒柱は2つは
いらない。 母親は限りなく優しくありたい。 それでこそ 「おやじ」 はやっていける。
娘に 「おやじ論」 を聞くと、私の考えに驚くほど似ていてびっくりした。
そして娘は 「私古いかなぁ」 と笑いながら首をすくめた。
6/3 気流 紙面より
今日のノート 沖の白い船 [平田市での話が映画になる] 蔵楽 知昭
日本海を行く白い船を見つけた子供たちが 「あれはなあに」 と感心を抱いたこと
から物語が始まった。
教師と一緒になって調べた。 新潟・直江津と九州博多を結び、週3回航行するフェ
リーとわかった。
子供たちはフェリーあてに手紙を出した。 返事が届いて、ファクスや電話での交流
が続く。 そしてあこがれの乗船を果たす。
海に近い島根県平田市の塩津小学校で3年前にあった出来事だ。 小さな漁村の児
童数19人の学校での出来事が、児童文学に、そして今度は映画になる。
昨年のしまね映画祭に参加した平田市出身の錦織良成監督らがこの話を聞いて映
画化を決め、東京、大阪で民間企業に出資をよびかけ、制作委員会を結成、県や地元
市も協力するなどとんとん拍子に進んだ。
「白い船」 (仮題)は7月に撮影を開始し、来春の公開予定だ。 5月に開かれた出演
者の選考会には500人以上が申し込んで日程が追加になるほど地元も盛り上がりを
見せている。
この3年の間に14人まで減った塩津小の子供たちも応募した。 6月には3年ぶりにフェ
リーに乗り込む。 新造船に変わることもあって決めたという。
八束義夫校長は広がる反響の大きさに 「うれしさととまどいを感じています」 といいな
がら 「子供たちが自分の目で社会を感じ取り、知るいい機会になります。 何より最高の
思い出になることでしょう」 と、撮影と完成の日を心待ちしている。
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6.1 家庭とくらし 紙面より
意識をなくした時どうしてほしいか
それでも救急車を呼びますか 金重哲三著
岡山市内の病院理事長の著者は、 これまでずっと、 高齢者の終末期医療のあり
方に疑問を投げかけてきた。
意識を失い救急車で運ばれた患者は、 人工呼吸器を着けたり、 心臓マッサージ
をするなど緊急医療を受ける。 命は助かっても意識は失ったまま、 さらに積極的な
治療を受け続けて、 亡くなることも多い。
著者は、 意識をなくした時、 どうしてほしいか、 個々人が「事前指定書」を書いて
おくことを勧める。 安らかな終末を迎えるには、 お任せではなく、 医療を自分自身
の責任で選択する覚悟が市民の側にも必要だと説く。
エピック (078・241・7561)刊、 本体 1400円。
5.3 気流 紙面より
今日のノート 貧すれば鈍する 稲田 力
バブル期の拡大戦略のつけが回り、多額の借金の利払いで、青息吐息の企業は多
い。トップが引責辞任し、経営再建中のスーパー大手二社の新経営陣の話を聞くと、
病根は借金だけではなかったことが浮き彫りになる。
貧すれば鈍する、ではないが、正直「これではあかんな」と思う。
「社員やパートが店をよくしようという意見を出せなかった。出したら叱られた。パー
トだけの勝手連をつくり、意見を出しやすい仕組みをつくる」
グループ会社から移った新社長は、旧体制を批判しながら抱負を語った。その率直さ
に驚かされる。
「社員が考えなくなっていた。思考停止状態だ」
いったんは追われた古巣に戻って、別の大手トップはこう嘆いた。偉大すぎた創業経
営者、耳障りな提言をして、遠ざけられた幹部も少なくない。
ワンマン体制にいつしか「もの言えば・・・・・」の空気がまん延していった。
借金を返すためには稼がなくてはならない。なのに利益を生むはずの営業第一線の
店舗が荒れてくる。消費者は敏感だ。どんどん離れていく。
やっと危機を正面から受け止めるトップが現れ、この二社は旧弊の一掃に乗り出した。
「人は城、人は石垣、人は堀」、経営者に好まれる武田信玄の言葉だ。その「人」が考
えることをやめ、ものを言えなくなるとどうなるか。会社とはもろいものだ。
もって他山の石としたい。
4.7 紙面より 戻る
友だちほめて優しさは育つ 倉敷市 パート 根岸 真由美 さん 40
終業式の日、小学生の長男が、1年間の思い出が詰まった文集を持って帰ってきた。
この1年間、クラスで「いいところ郵便」が行われていた。友だちの長所を書くと、その
友だちに届く仕組みで、同級生全員や担任が長男の長所を書いてくれたものが、文集
に掲載されている。
文集を読み、親以上に友だちが長男の長所を見つけてくれたことがうれしかった。家と
は違った様子や優しいところを認めてくれた友達の素直な心に感動した。
長男も友だちの長所を素直に書いていた。クラス全員の優しさと思いやりが詰まった文
集に、感銘を受けた。
担任の指導もあったのだろうが、自分がほめられてうれしいと感じた子供たちは、友だちも
ほめて喜ばせてあげようと思うようになり、優しさと思いやりが自発的に生まれた1年生に
なったように思う。
4.1 紙面より
草の生える道路を返して! 岡山市 主婦 荒川 みき さん 34
今年も年度末になって、たくさんの道路工事を見かけた。
はたして必要な工事か、と疑問が生じる。
私が小学生のころの通学路は田んぼのあぜ道のようで、軽トラックがやっと通れるほど
だった。
春には雑草が生え、用水路は浅くて水もきれいで、メダカやオタマジャクシが水草に戯れ
ていた。田んぼに入ったり、川に足を入れたりと、道草がとても楽しかった。
その道が今は、アスファルトで舗装されて広くなり、車がすごいスピードで走り、トラックも
往来する。用水路はコンクリートで固められ、危険なのでさくも施され、つまらない通学路
になってしまった。車で走るだけの道路を税金で造り、子供たちからどんどん遊び場を奪う。
これが公共事業なのだろうか。
コンクリートで固め、アスファルトを敷き詰めるだけの工事をやめ、子供たちに草の生えた
道を返してあげてほしい。