生活習慣病

糖尿病・高血圧・高脂血症など以前成人病と呼ばれていたものが、若い世代にも増えています。

これらの病気は生活習慣をあらためることで改善します。

とくに食事は栄養士の得意とするところで、正しい食養生を皆様に知っていただきたいと思います。


高血圧(本態性高血圧)の食事

(1)減塩食

食事で摂った食塩は、過剰になると、腎臓から排泄されるのですが、これが高血圧の患者さんではうまく排泄されません。減塩しても血圧に変化がみられないタイプの高血圧症のひとは薬にたよるとして(腎臓を保護する意味で、できるだけ減塩する)

減塩によって劇的に改善される場合もあり、薬のように副作用の心配もありませんし、腎臓を保護する意味でも減塩することはたいへん意義があると思います。家庭でできるのは、1日5g〜7gぐらいでしょうか。

薄味でおいしく食べるコツ

  1. 香り(ゆず、レモン、さんしょ)をつかって・カレー、こしょう、からしで味にアクセントを
  2. しょうゆはだしじょうゆを(天然のだしでわる)
  3. 味噌汁はうすあじに(できない場合は量を少なく)
  4. らーめん・うどんは汁を残す。
  5. 加工した食品には用心する。(かまぼこなど練り製品は甘味もあるので塩分が案外多い) 
  6. 旬の新鮮な素材を使う                                                                                                                                                                                                             

(2)肥満のある場合は、体脂肪を減らす
摂取するエネルギーがへる
ので減塩食のもなる。

(3)野菜・果物でカリウムを摂る。(果物は1日にりんごなら1個程度)

カリウム・マグネシウムには血圧をさげる働きがあります。ミネラルは野菜や果物、海草、乳製品に多く含まれます。野菜は1日300gは食べたいですが、外食をしたときもできるだけ定食で野菜の多いものを選びましょう。

カリウム含量の多いおもな食品

食品名 1回あたりの目安量 カリウム量(mg)
かぼちゃ 100g(4切れ) 270
ほうれん草 50g(1鉢) 225
とまと 50g(大1/4個) 115
なす 100g(100g) 200
長いも 125g(5cmぐらい) 625
じゃがいも 100g(大1個) 330
すいか 260g 312

マグネシウム含量の多いおもな食品

食品 1回当たりの目安量 マグネシウム量(mg)
あさり からつき100g 15
納豆 50g 50
枝豆 100g 60
いか 100g 41

(4)アルコールはビール大びん1本まで(日本酒1合)女性は控えめに(アルコールの吸収がよいので男性の半分程度)

適量の飲酒は血圧をさげます。しかし飲酒量が過ぎますと血圧も上昇します。多量のアルコールを飲んでいて、高血圧の薬を飲んでいる人が節制すると、降圧剤を減らせたり、中止することができたりすることはよくあることです。

(5)たんぱく質は過不足なく

コレスレロール値が正常であれば、卵1日1個、魚や肉は2切れをめやすとします。豆腐はくせがないので、そのまましょうゆをかけずに食べてもおいしく感じます。


糖尿病の予防食

保健食としてもよいので、家族そろって食事を改善しましょう。

まず、バランスのよい食事をこころがけましょう。

その方法として、1単位(1点)=80kcalの量を覚えること 

なぜ80kcalなのか

卵1個、りんご1/2個,ご飯軽く1/2杯、肉脂の少ないものでてのひらにのる分量など、1単位の量を覚えるとめんどうな計算なしでコントロールができるようになります。

バランスよく食べる

穀物、肉、魚、卵、野菜、果物,乳製品など色々な食品を食べる。

最初は、「ごはんを1口、肉・魚・卵・大豆のなかから、1口、緑の濃い野菜の料理をひと口、野菜をもう1口」というふうに食べるとよいでしょう。

なにをどれだけ食べるかを知る

糖尿病の食品交換表を使うと便利です。

「四群点数法」によるエネルギー点数の基本配分

食品を4つの食品群にわけます(6つに分ける場合もある)。

食品群     1点の重量
乳、乳製品 1群(良質たんぱく質・カルシウム源)  低脂肪のものを中心に 低脂肪乳 160g 牛乳 140gプロセスチーズ24g(6pチーズ・1個)

ヨーグルト 100g

1群

卵はコレステロールの関係で1日0.5個か1日おきに1個

M1個

うずらたまご5〜6個

魚介 2群(体の血液や肉を作る) 魚卵はたまになら0,5点まで 鮭 50g まぐろ(赤身) 65g

あさり 165g

2群   牛もも肉(脂身なし) 65g

鶏ささ身(2ほん)80g

豆、豆製品 2群 卵を減らした場合補う 絹ごし豆腐 140g

枝豆(ゆで)60g 生揚げ 55g

野菜 きのこ 海草 こんにやく 3群(体の調子をよくする、ビタミン、ミネラル源) 1日300gは食べたい

外食の多い日は朝か夕で200gの野菜類を確保

チンゲンサイ(1株)100g=0.1点

ほうれん草(1/3束)100g=0.3点

トマト(小1個) 100g=0.2点

いも 3群 糖質も多いが、ビタミンCや食物繊維もあるので、穀物量が少ない人はかわりに じゃが芋 (廃棄量込み110g)

1個=1点 さつま芋 65g

果物 3群 1点以上のとりすぎは血糖上昇  バナナ(廃棄込み155g)95g すいか260g(1/6個・廃棄込み440g) いちご 230g(15から20個・廃棄込み240g)

 

以下の4群でエネルギーを調整する。減量中でも1日4.5点は確保する。ご飯は食べて下さい。
穀物 4群いきいき働く力や体温になるエネルギー源 穀物は1日8点が基本。自分にあった適量が入るご飯茶碗を選ぶ ロールパン30g=1点(1個)

ごはん55g=1点(ごはん茶碗小1/2杯)

ゆでうどん 80g=1点

砂糖 4群 ゼロでもよいが料理用に有効に 上白糖 21g・ ジャム類 30g=1点
油脂 4群 植物性のものを最低でも1点はとる 植物油9g・ マヨネーズ12g=1点
その他の調味料 4群   みそ大さじ1=0.4点

みりん大さじ1=0.5点

糖尿病の患者さんの場合は、1日の総エネルギーは医師の指示をうけます。1日に必要なエネルギー量は標準体重1kgにつき25〜30kcalが目安です。総エネルギーから1日何点食べるかきまり、4つの食品群からかたよらないように食べます。1日1600kcalならば20点ということになります。

予防としては1群2群3群から優先的に点数を確保し、各個人のエネルギーに応じて、4群を調節します。

1日20点の人の場合

1群 卵・乳製品・乳 卵 1点 乳・乳製品 2点
2群 魚介 肉 豆・豆製品 それぞれ1点ずつて3点
3群 野菜 きのこ 海藻・こんにゃく 芋 果物 3点
4群 穀類 砂糖 油脂 その他の調味料 穀類=9点 砂糖=0.5点 油脂=1.0点その他=0.5点

エネルギーが多いから避けたいアルコール

アルコールは中性脂肪を増やす原因に。ごはんは太るからとアルコールとつまみで夕食をすませる人で肥満の人が多いですが、ごはんは、脂肪を燃やすのに必要な栄養素。適正量を食べましょう。

カンチュウハイ 350ml 2.2点
缶ビール     500ml 2.6点
日本酒      1合 2.4点
大ジョッキ 3.4点
缶ビール    350ml 1.9点

高脂血症(動脈硬化につながる)

心筋梗塞などの循環器疾患のもとになる動脈硬化は、子供の時からはじまる「沈黙の病気」です。そのまま30歳前後になると、心臓の栄養血管である冠動脈や大動脈の血管壁が内側に盛り上がる部位がみられるようになります。

その盛り上がり(プラーク)が年齢とともに強く広がって血管の内腔が狭くなり、動脈硬化が末期になると、プラークのため血流が障害されて病気が発症します。

(1)エネルギーと糖質の制限で体重を管理する

体重が1kg増えることによって、はじめは総コレステロール値が20〜40ml/dl上昇し、LDL-コレステロール(低比重リポたんぱく)もあがります。

肥満がある場合は1日のエネルギーを低めにします。1日の必要なエネルギー量は標準体重1kgにつき25〜30kcalが目安です。身長165cmですと、標準体重は1.65×1.65×22=59.9kgになります。標準体重あたり30kgにする(年齢や運動量により決定する)と、1日1800kcalの食事が適正となります。できるだけ多くの品目をバランスよく偏らないようにしてください。

(2)脂肪の制限

日本人が脂肪からとるエネルギーは、1970年までは全摂取エネルギーの20パーセント未満でしたが、最近は平均で26.6パーセントとなりました。20、30歳の若者では32パーセントに達しているそうです。養殖した魚・肉、クリームなどの乳製品に多く含まれる動物性脂肪だけでなく、植物性であってもとりすぎないようにしましょう。とくにショートニングは油ぎれをよくするため業務用につかわれていますが、よくありません。

(3)動物性脂肪と魚油、植物油

日本人は古来、魚を多く摂取していました。魚には多価不飽和脂肪酸である「イコサペンタエン酸(EPA)」や「ドコサヘキサエン酸(DHA)」が豊富にふくまれています。EPAやDHAには、血液を固まりにくくして、血栓を予防する作用・血中のコレステロール値や中性脂肪値をコントロールする作用があります。DHAには脳の働きをよくする作用があります。しかし、最近は日本人の魚の摂取量が減ってきました。若い世代は魚ばなれしていますが、魚料理を増やすことを心掛けてください。

コレスレロールの高い人ではコレステロールは1日300mg以下にしますが、鶏卵1個で約250mgのコレステロールを含みます。卵とくに卵黄は避けてください。肉類は脂肪の少ないものを選び、調理にはなたね油などの植物油を使いましょう。

(4)食物繊維

食物繊維は脂肪に吸着して、小腸での吸収を抑え、コレステロールが大便中に多く排泄されて、総コレステロール値が低くなります。

ひじき・寒天などの海藻類、しいたけなどのきのこ類、ブロッコリー・かぼちゃ・ぜんまいなどの野菜、大豆製品、はっさく・いちごなどの果物・さといもなどのいも類に多いです。

動脈硬化は症状として現れるのは突然で、しかも大変重篤なことがしばしばです。血液検査をしてもらって、なにもおこらないうちに食事を含め、喫煙や運動など生活全体を見直しましょう。

健康オイル

人間ドック学会は2000年1月、花王の「健康エコナ」」を、学会として初めて推奨商品とした。「エコナには血液中の中性脂肪を下げる働きがあることが、学会発表と学術論文で証明されたので、生活習慣予防の見地から推奨をきめた」そうだ。エコナの8割以上を占める主成分はジアシルグリセリールこれにたいして一般の食用油の主成分はトリアシルグリセロールだ。トリアシルグリセロールの分子構造は、ひとつのグリセリンに3本の脂肪酸がついているが、ジアシルグリセロールは2本だけで、1本欠けたかたちになっている。このちがいによって脂肪がつきにくくなる。と花王ヘルスケア研究所の安永浩一研究員は説明する。

結果として体脂肪が減ったという実験結果もある。女子栄養大学の基礎栄養学研究室が、学生約50人を使って実験をした。「約2ヶ月で内臓脂肪の面積が2割近く減った」と川端専任講師はいう。(2000年9月16日朝日新聞より)

試しにつかってみたところ、味は普通の油とかわりませし、からっとしています。値段は高いですが、使ってみられてはどうでしょう。