「出会い」

わたしは少しでも彼女の歌と出会うチャンスが増えればと思い、この場所を作った。そして今ここを読んでいるあなたはここに来た理由は何であれ、彼女の歌と出会ってしまった。それがあなたにとって幸か不幸かはわからない。あなたが彼女の歌を選ぶかどうかもわたしにはわからない。「暗い歌だ」と背を向けるかも知れない、ここに掲載してあるわたしの駄文がよけいなイメージを植え付けてしまうかも知れない。

けれどわたしはこの場所を用意し、あなたはここを訪れた。それだけで十分だ。わたしはそれ以上のことは望まない。彼女の歌を押し付けるつもりもない。ここから先、あなたが彼女の歌をどう感じるか、彼女の歌に興味を持つかどうか、そして再びここを訪れてくれるのかも・・・すべてはあなた次第だから。わたしはただ、ここを訪れるすべての風に、感謝を。

ここは風の交わる場所、たくさんの風が通り過ぎていく風の通り道。その風向きはひとつとして同じではない。それぞれの風は、それぞれの翼を目指して。



ついでにわたしと彼女の歌との出会いをおこうと思う。

 あれは1993年のGW、雨の降る真夜中のことだった。当時大学生になって一人暮らしを始めたばかりのわたしはまだ一晩中バカ騒ぎをするような友人もなく、ひとり暗い部屋で滅多に聞かないラジオを聞きながら眠ろうとしていた。

 ラジオからは伊集院光の声。と、彼がある曲の紹介を始めた。
「5月病の人にお勧めの曲です」
タイトルは聞き損ね、名前もシノハラしか聞き取れなかった。曲が流れ始めた。最初は暗い歌だと思った。よけい5月病になるんじゃないかとも思った。けれどどうしても無視できない歌だった。結局最後まで聴いた。暗いはずの歌が、どうしても心から離れない。今まで聞いた歌とは何かが違う。この人は、この人の歌う歌は「ほんとう」だと思った。

翌朝起きるとすぐにCDを探しに店へと向かった。タイトルもわからない、名前もシノハラとしか覚えていない。それでもサ行をずっと目で追いかけた。当時何人かいたシノハラとゆう名字の歌手から、それらしい人を見つける。篠原美也子デビューシングル 「ひとり」直感で、間違いないと思った。部屋に戻り、聴いてみる。やはり間違いない、聴こえてきたのは昨日のあの歌だった。こうしてわたしは篠原美也子とゆう鳥、その翼と出会った。