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※この文章は2002年10月に書いたものです。
・犯人 vs 読者
推理小説、それは読者が犯人の仕掛けたトリックを見破る事が出来るかどうかの真剣勝負。言うまでもなく「犯人」「トリック」とは作中のそれのみを示すのではなく、その小説の作者と彼が作品に施した仕掛け・・・ストーリーそのもの(この中に「作中のそれ」は含まれる)や物語の構成、文章表現のことまで含めてである。決して嘘はつかず、真実を語ることもあるけれど全てを語らず、微妙な話術(?)で最後まで読者を騙そうとする狡賢い正直者、愛すべき詐欺師、全ての謎を仕掛けた「作者」と言う名の真犯人。・氏の犯行、その手口
その真犯人の名は、綾辻行人。ところで氏は作品とは別にもうひとつ罪を犯している。それは一体何か?氏は短編集「どんどん橋、落ちた」文庫化に際して解説に篠原美也子を迎えるとゆう、ある意味ありえねぇ、大胆かつ緻密(?)な罠によってわたしとゆう存在を捕らえる事に成功したようだ。しかも氏はそれだけでは済ませなかった。その短編はどれも楽しく、わかりそうでわからない(てゆうかわからない)加減が絶妙で、5編のうち4編によって「だまされる快感」を、残り1編によって「真相を暴く快感」をわたしに植え付けていった。短編集を読み終えたわたしはすぐさま「館」シリーズ1作目にして氏のデビュー作「十角館の殺人」を買ってきた。当然短編とは違って長く内容も複雑ゆえ、少しずつ読もうと思いながら読み始めたが、気が付くとそのまま一気に読み終えていた。その翌日には「水車館」を、そしてその翌(以下略)篠原美也子の書いたとゆう「解説」を読みたい、とゆう推理小説を読むには極めて不純でしかない動機によって氏の本を手にとったのだが、結局すっかりはまってしまった。全く違う動機、ひょんなきっかけから「それ」に触れて、けれどなんとなく気になって翌日「それ」を探して手に入れ、すっかりはまってしまう・・・おや?そんな事が以前にもあったような気がする。そう、あれは9年以上前、篠原美也子デビュー作「ひとり」に出会った、あの時。あの時も「眠れなくて」とゆうただそれだけの理由でつけていた深夜のラジオから偶然流れてきたその歌がどうにも気になって、翌日にはCDを探しに行っていた。もうすぐ10年になろうとしているが、いまだにその歌は聴き続けている。「十角館」の第十章「六日目」の最後の彼のあの台詞を読んだ時の衝撃は、正にその「ひとり」を買ってきて改めてきちんと聴いた時に受けた衝撃と同種のものだったと言うのはおそらく言い過ぎではないだろう。それはつまり、「すごい!」と同時に「この人の作品はほんとう(*)だ」とゆう、あの驚き。奇しくもどちらもデビュー作である。おそらくはこの先、氏が作品を書き続ける限り、わたしもその作品を読み続けることになる、そんな気がする。そしてここからさらに世界が広がっていくのだろう、篠原美也子の歌がそうであるように。氏は篠原美也子と並んで世紀の大泥棒である。某銭形のとっつぁん言うところの「あいつめ、まんまと盗んでいきおった」(うろ覚え)である。カリオストロの城のとっつぁんの最後の台詞、かっこよかったねぇ。*:うまく表現できないが「本当」でも「本物」でも無いのだ。「ほんとう」は「ほんとう」であり、それ以上でも以下でもない(謎)・「館」シリーズの魅力異なる時間や空間、あるいは同一でありながら別々の○○で、それぞれ平行して展開する物語が作り出す多重構造。その間に巧妙かつ大胆に張り巡らされた膨大な伏線。それらがひとつになる瞬間、読者の思い描いていた風景がことごとく崩壊していく、その快感。ひとつになったストーリーを元に絵を描き直させ、あるいは模範解答を提示した上で容赦なくそれらを破り捨て、否定する本当の真相。もちろん「館」シリーズなのだから、なにもそこまで…と思わせるほど異様な館の構造もすばらしい。個々の館について言えばもっと出てくるが、わたしが惹かれたのはおおむねこの様なところだろう。当然仕掛けの意外さや真実の隠し方、見せ方(つまり騙し方)のバランスがいいのは言うまでも無い。騙し絵を見るように、騙されているとわかって疑って見ても、やはり最初は老婆の絵にしか見えず、ところがある瞬間から若い女性の姿が見えて、それで「謎は全て解けた!」と勘違いしてしまう。実はそこに描かれているのはドクロの絵だったりするのだが。あるいは最初からそんな絵はなかったりも。とにかく物語の多重構造と構成の多重構造の見事さ、それによって最後の最後まで目が離せない展開に拍手を送りたい。いや、だめだと言ってももう送った、クレームは受け付けません。・勝負!今のところ短編集「どんどん橋、落ちた」と6つの「館」シリーズを読んだが、ほとんどの場合だまされっぱなしで、たま〜になんとなく犯人はわかったとか、トリックには気付いていても、まさかそこまでとは!!などなど、きっちり真相を言い当てて「真犯人」に勝利する事が出来たのは上の方にも書いたように短編集の中に収録された「意外な犯人」ひとつだけである。しかもこれにもしも「全ての根拠を示した上で」とゆう条件がつくならば完敗、
♪完敗 今君は人生の…
である(それは乾杯)
そんなわけ(?)で、わたしの今の気持ちを久しぶりに替え歌で表現してみた。元歌が何であるか?興味を持たれる方もおられるかもしれないが、それは云わぬが花というものだろう(笑)
(註:今現在ここを見てる人には元歌が何かはバレバレです。
尚、現在も負け続けております(笑))
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