立山、冬から春へ
立山黒部アルペンルートは3回目、過去2回はいずれも夏の旅だった
夏の立山もいいのだけれど、高さ20mにもなるという雪の壁「雪の大谷」を見てみたかった
もう一つ欲を言うなら、山の上で泊まってみたかった
そんな願いをかなえてくれるツアーが出た。即、申し込んだ
行程は全部バス、長時間の車中は覚悟はしていたけど、富山は遠いわあ~
けど、車中から見える風景(北陸道は防音壁やトンネルが少なくて、景色がよく見えた)が
狭い車内の窮屈さや退屈な時間を紛らわせてくれた
田んぼは田植えの準備の真っ最中、中には早々と苗が植わっている田んぼも見えた
砺波を通る時には、綺麗なチューリップ畑も見えたが
雪に覆われた立山連峰が見えた時には、思わず「わ~っ」と声が出た
早朝6時過ぎに出発し、ケーブルカーの立山駅に着いたのは2時過ぎ
8時間も缶詰めになっていた。バスを降りて大きく伸びをした。さあ、やっとスタートだ
アルペンルート最初の乗り物は、「立山駅」から「美女平」までの「立山ケーブルカー」
標高差約500m平均勾配24度の坂を、7分で上がる
山の斜面の雪は予想外に少ない。美女平駅の周辺にもあまり積もっていない
高原バスに乗り、杉林の中を進んでいくも、「え~っ、こんなもん?」と思うくらい少ない
だが、林を抜けると、見る見るうちに雪の量が増してきた
弥陀ヶ原近くになると、一面の銀世界、季節が一気に冬に逆戻りした
雪の立山連峰、独立峰の富士山とはまた違った雄大さを感じる
高原バスから見た杉林の雪、少ない。根元付近の雪解けは早い、木が生きている証拠
樹木が少なくなった辺りから、雪の厚みが増す
弥陀ヶ原ホテルに着いたのが4時ごろ、自然観察会が始まるというので、荷物を置いてすぐに玄関前に行く
ホテルの方が、ホテルの周辺を散策しながら、今年の積雪のことやこの辺りの自然のことを解説してくれた
ホテル近くの高台からは富山平野・富山湾・能登半島が見えるということだが
その日は、あいにく雲海が出ていて、下界はよく見えなかった(残念!)、でも、雲海が見られたのはラッキーだった
夕食時には、夕陽(雲を通しての夕陽だったが)と、暮れゆく下界の風景を見ながら、富山特産のご馳走をいただいた
夕食後は、ロビーでスライドショーがあり、スライドを見ながら、弥陀ヶ原の興味深い話をたくさん聞かせてもらった
終了後は、外に出て、星空観察があった。満月に近い月が出ていて、《漆黒の闇に無数の星》というわけにはいかなかった
ただ、観察会のあった高台に行ってみると、雲海がとれていて、富山平野の夜景・富山湾がよく見えていた
空気が澄んでいるのか、街路灯や家々の明かりが鮮明に見える、静かな暗闇の中で、下界の瞬く光がきれいだった
翌朝は出発時間が8時50分と遅かったので、立山カルデラ展望台に行ってみた
展望台までは遊歩道が整備されているというが、まだ深い雪が覆っていて、雪道を登って行った
カルデラは深い谷になっていて、見ごたえがあったが、雪道の散策はかなりハードで、汗をかいた
今回の旅のメインは「雪の大谷」なのだが、ホテルのおもてなしが最高で、弥陀ヶ原も充分楽しめた
行ってみなければ、見てみなければ、「良かったなあ~」という所は分からないものだ
弥陀ヶ原ホテル、この冬は二階の窓枠下まで雪があったそうだ
窓の両側についているのは木の扉。雪で窓ガラスが破損しないように、ホテル閉鎖中は閉めて山を下りる
右の写真は、富山平野を覆う雲海
左の写真は、雲の中に沈んでいく夕陽
右の写真は、富山平野の夜景。私のデジカメではこれくらいしか映らない
本当はもっときれいに見れたんだけど・・高感度のカメラで写した写真をこちらから是非見てください
再び高原バスに乗り、室堂へ。いよいよ今回の旅のメイン《雪の大谷》・・どんなんかなあ~早く見たいなあ~
室堂少し手前で、「ここからが雪の大谷です」というバスのアナウンス
両側の雪の壁がどんどん高くなっていく。見えている空がだんだん狭くなっていく
室堂バス停(終点)に着き、後は時間まで自由行動。外に出ると、まず目に入ったのが「五代目立山熊太郎」
「おっきい~!!」、これで除雪作業を行い、結果、《雪の大谷》ができたというわけだ。
早速、雪の壁に沿って最高地点(今年は17mだそうだ)のところまで歩いて行く
朝早いのに、結構人が多い。しかも写真撮る人が多くて、渋滞気味。前に行くのに苦労した
《雪の大谷》、やっぱり圧倒される。見る価値あり。すごい!
あまり感動に浸っている時間はなく、室堂からは乗り物を乗り継いで黒部ダムまで直行
長野県側から上がって来た人たちと、これから行く人達が交錯して、すごい混みよう
それぞれの乗り換え場所は、人・人・人・・大半は外国人観光客だったが・・
「大観峰」も「黒部平」もゆっくり見学するゆとりはなかった。ベルトコンベアーに乗っているようにただ運ばれただけ
黒部ダムの堰堤はゆっくり歩けた。風は冷たかったが、ダムの周辺には雪がほとんどないし、ダム湖も凍結していない
さっき見た雪深い室堂周辺とは全然違う景色、山一つ越えると、風景がガラリと変わる。不思議な光景だった
最後の乗り物は、関電トンネルトロリーバス、このトンネルの掘削工事最大の難所《破砕帯》を通った
青い光でその位置がしるされていた。あっという間に通り過ぎたその場所は
吹き出してくる水と崩れ落ちる土砂に挑んだ人たちの、苦難と歓喜が同居する場所
バスの中で見たDVDの映像が、思い出されて感慨深かった(帰りのバスの中でもう1度見たが、さらに思いが深まった深まった)
トロリーバスは今年が最後の運行になるとか、来年からは電気自動車に代わるそうだ
日本ではここでしか運行されていないトロリーバス、最後の年に乗れたのも記念になるかも
トロリーバスの終点扇沢には、両備バスが待っていた。さあ、また8時間余のバスの旅・・と
覚悟していたが、途中滋賀県で事故渋滞に巻き込まれ、バスに缶詰め状態は更に伸びた
扇沢を出たのが2時過ぎ、バスを降りたのが11時頃、家に帰りつい着いたのは11時半
疲れた~~もう当分バスはいいわ、飽きるぐらい乗った
写真左が「五代目立山熊太郎」。写真におさまらないほどの大きさ
写真右、雪の大谷最高地点、ことしは17mだということ
写真左、大観峰から見えた後立山連峰と黒部ダム湖。人が多くてこの写真を撮るのも一苦労
写真右、ダム堰堤から下を覗き見たところ。足がすくむ、ダンナに写してもらった
トロリーバスは今年が最後のご奉公。たくさんの人を秘境黒部に運んでくれた。ご苦労様でした