2007年2月 大館まげわっぱ
2月16日金曜日午後3時、渋谷駅を降り、ハチ公前に立っていると、
なにやらにぎやかなリズムが聞こえてきた。
人だかりのほうへ行ってみると、秋田の大館まげわっぱ太鼓の一行だった。
「OTAIKO響」コンテストの出場チームで、
1999からの様子を収めたビデオを私は擦り切れるほど見ている。
列の一番前に出て、この時を一瞬でも見逃すまいと神経を集中させた。
1曲目は担ぎ桶。
大館のまげわっぱを太鼓にすることから始まったこの太鼓チーム。
創立のメンバーだった母親についてきて一緒に練習を始めたという10歳の少女。
稽古に稽古を重ねて、数あるコンクールを総なめにする。
今日は若い者三人を連れてのパフォーマンス。
2曲目は大太鼓をはさんでの相打ち。
その道20年の鍛錬か、腰の構えが美しい。
腕も相方の青年に比べて太鼓に必要な筋肉だけが強調されていてきれいである。
ばちは見た目より軽いのだろうけど、かなり長い曲を休みのフレーズをいれずに最後まで突っ走る。
3曲目が何度も繰り返し見た、「戦国ビート」4人バージョン。
中太鼓、桶胴太鼓、締太鼓を組み合わせて変幻自在に打ち鳴らす。
前列の2人はまるで時代劇の殺陣をしているようだ。
今日は朝から秋田の物産展のPRに来る予定だったが、
吹雪で秋田を出るまでに5時間かかったとのこと。
午前と午後一番のステージをキャンセルしてやっと間に合った最初で最後のステージ。
あっという間に終了した。
私が東京へ来なければ、そして、NHKスタジオパークを見学しようと考えなければ、
けっして実現しなかったとても幸せな時間だった。
1日あけて18日は朝から雨。
気温5度。
1時間雨に打たれて都庁前から東京マラソンが始まった。
東京のど真ん中の42.195キロを信号無視で何時間も走りとおすことはよかったが、
寒さと空腹がこたえた。
助けてくれたのは、途中の太鼓の演奏と沿道の人がくれたチョコレート。
特に、太鼓の響きにはとても勇気付けられた。
地元の太鼓チームらしく、いろいろな年齢層の方がいた。
銀座まで走ったらもうリタイヤしようかな・・・
と少し考えもしたが、太鼓の音色に励まされ雷門に向かった。
走りながら、渋谷のまげわっぱのことを思い出していた。
テレビで見るより細身でずっときれいだった大沢しのぶさん。
そういえば、ずいぶんと軽やかに舞っていたなあ。
ご自分の仕事もしながら、和太鼓だけではなく、
他のバンドやオフコースのドラムとも組むなど活動の場を広げている。
きっとこのマラソンに出ても、涼しい顔をしてゴールするのに違いない。