小学生にも吹けるすぐれた横笛

 

3月13日に石部英之さんに紹介していただいた

笛作りの専門家、大崎次郎さん。

次の日さっそくたずねてきてくださった。

 


いろいろな笛製作に取り組んでいるか゛、

和音階の笛は指使いが難しい。

子供達に教えるとしたら、

西洋音階がいいでしょう。

中国では明・清の時代から

西洋音階に代えていきました。

私の持っている中国笛とピッコロを参考にして、

C調の笛の見本と設計図を作ってきましょう。

ドの穴の位置を決め吹きながら、

チューニングマシンを使って

穴の大きさを調整します。

次にレから順番に穴の大きさを決めます。

吹き口は小さめにあけて少しずつ大きくしていきます。

向かいの角度はきつい方がよい音が出ますが、

削りすぎると震えが大きくなり音が割れます。

塩ビで作るとどの笛も同じ音が出るでしょう。

 

 

4日後にさっそく実物を作ってきてくださった。

 

 

 

材質           エンビパイプ 13φ

チューニング     C管 440Hz

←――――――――――――――――380cm―――――――――→

 

 

        ↑        ↑ ↑ ↑  ↑  ↑  ↑

コルクろうコルク        9φ            7φ  8φ  8φ   7φ    8φ  8φ

   ←――13.1――――――――→←―――――――17.1――――――――――→

   ←――15.6―――――-―――――→←―――――――14.6 ――――――――→

   ←――18.3―――――――――――――→←―――――――――11.9――――→

   ←――20.6――――――――――――――――――→←―――――9.6 ―――→

   ←――22.6――――――――――――――――――――――→←――7.6 ――→

   ←――25.6――――――――――――――――――――――――――――→←4.6

   ←――30.2――――――――――――――――――――――――――――――→

 

 

 

学校のリコーダーと同じように、

全部の穴をふさぐとドの音、

一つずつ指を離すと1音ずつあがります。

 

強く吹くと、

1オクターブ上の音が出ます。

 


 

100本作ってみることにしました。

38cmのエンビパイプ100本を用意し、

設計図どおりに穴をあけるって大変です。

しかし、我々の太鼓チームには、

水道関係で働いている早人君がいます。

二つ返事で引き受けてくれました。

 

次は,スプレーで外面を黒色に、

内面を赤色にします。

 

コルクを吹き口側に詰め込み、

中にロウを流し込みます。

最後に赤でもう一度細部を仕上げて

終了です。

100本仕上げるのに4ヶ月かかりました。

好みに合わせて化粧糸も巻きます。

 

 

さて、とりあえず、10本ほど試作した5月の段階で、

緑丘小学校の和太鼓クラブの希望者に

「ラ・ソ・ミ・ソ・ラを、秋までに吹けるように。」

とわたしました。

大崎さんから、

小学生100人いたら

そうですね,20人くらいしか吹けないでしょうね。

指使いは簡単ですが、

肝心の音がなかなかでないのです、

といわれた横笛。

 

はたして,この後、どんな展開になるのでしょうか。

 


 

2002年7月30日、

「和楽器にふれよう」

という緑丘小学校母親学級が行われました。

主は和太鼓演奏の楽しさにふれることでしたが、

休憩時間に横笛を吹いてもらいました。

みんななかなか音が出ない中、

いきなり大きなきれいな音色を響かせたのは、

PTA副会長の福田さん。

もっとも、尺八の専門家ですから当然といえば当然。

参加した保護者の方も一生懸命挑戦していました。

 


制作費はエンビ、スプレー、コルク、ろうで

1本100円もかかっていません。

 

小学生に最初のエンビを切る作業から参加させたら、

出来上がったその「マイ横笛」は、

100人中100人とも吹けるようになると思う。