税務行政に関する要望・意見書
内閣府は8月31日の閣議に国と地方の財政の将来像を示す「経済財政の中長期試算」を提出し、国と地方を合わせた借金残高が2016年度に1,000兆円の大台を突破するとの予測を示した。
当然、財政健全化に向けて徹底した無駄排除、歳出削減をやり遂げなければならない。待ったなしの財政再建が急がれます。
このような情勢の中、税務行政においては、7月に元国税庁長官に脱税疑惑、現役国税幹部が記事差し止め
「恫喝」一部始終、財務省幹部の天下り高給を暴露等財務省のスキャンダルが週刊誌にて報じられました。
又、時を同じくして元国税調査官が『税務署の裏側』という本を出版して、増税するなら、まず税務署が襟を正せと、
税の番人であるはずの「税務署」のあきれた実態を告発しております。
直近では、国税局職員の税務調査に「威圧や誘導」があったと、不服審判所が指摘したことが新聞報道されました。
強引な取り調べが次々と明らかになった検察や警察と同様の問題が、国税でも表面化しました。
さて、現場で仕事をする中で、税務行政に対する疑問なり、国税職員の「威圧や誘導」を指摘したいと思います。
1.
税務調査時に、現国税職員が納税者が狼狽したり、動揺している隙に、巧みに懐柔して、現税理士と引き離し、OB税理士を紹介し、それを介入させる行為は正しいのですか。
実態として行われていますが、内容が権力がらみでエキセントリックだけに中々表面化しないのです。
2.
私が、平成19年3月27日に不当な税理士懲戒処分を受けた後、処分取消訴訟や損害賠償請求事件を通じて、闇に葬り去られようとした真実が、徐々に明るみに出て参りました。
1.) 処分取消訴訟については、地裁から最高裁までの司法は関与先本人の尋問はしないで、税務当局の誘導による聴取書を鵜呑みにして結論を出してしまいました。
2.) 関与先を被告とする損害賠償請求事件で、平成24年6月29日に被告の尋問をすることができました。
その中で被告は『藤原税理士が勝手にした』と税務署に言われたと、反対尋問の中で吐露しました。
このことは、平成17年6月21日に私の関与先である納税者が税務当局にねらい撃ちされている時に『先生をかばうことはしないように』と言ったり、『先生が勝手にしたのだから』と強要した事実と符合します。
3.) もう個別の事案ではなく、制度として問題が浮上したのが某税務署OB税理士の介在であります。
今回の事件で一番不可解だったことは、平成17年3月15日に被告の妻が私に無断で平成16年分の申告書を持ち帰った頃から被告の行動や態度が180度豹変したことであります。
税務当局の職員の紹介でOB税理士が登場し、これが黒幕になるとすべての謎が解けます。被告が私を裏切った意図が垣間見えました。
以上のような事案が存在する税務行政について、チェック機能の改善なり、是正、改革を断行しないかぎり、財政再建どころか、国は悪い方向に行くと考えます。
一部の人の恣意によるいじめ″を「見てみぬふり」で放置しておくと、納税者、国民から信頼されない機関になってしまいます。
改善、是正、改革に役立つなら全ての資料(尋問調書等)を提供する用意があります。
3.
私が、関与先と一緒になって、重加算税は不当だということで、税務署と対決したこともあってか、その後当該統括官は、あらゆる手を使って、私の事務所を「ねらい撃ち」と称して潰しにかかりました。何の問題もない法人、個人先を恣意をもって調査しました。結局、何の増差等もなく徒労に終わった訳で、国税職員の税金の無駄遣いと謗りを受けても仕方ありません。
そして、「恫喝」、「威圧や誘導」を好き放題やってきたこの国税職員が、現在税理士になっているのが理解できません。
職権濫用をしてきた国税職員が簡単に税理士になれること自体、不思議であり、このような制度があることが問題であると思います。
8月に行われた全国統一研修会において、講師の青山学院大学法学部教授三木義一先生は、『日本税制総点検・・・・税理士の「常識」は正しいのか』の中で、現在の税理士制度(試験)について、大いに疑問を呈していました。善意で正義感をもった無辜の人を仮想隠蔽して罰してはいけません。この個別事案が大きな制度問題へと発展していくことは自明の理であります。
以上3点について、事実を摘示し、速やかな改善、是正、改革を切に要望致します。
2012年9月12日藤原 英男
複数年度予算の拡大実施から国家財務諸表の作成へ
民主党中心の連立政権から1ヶ月余りが経過したが、いろんな点で前自公政権とは様変わりの様相を呈してきた。
その中で一番嬉しく思ったのは、国家予算について、長年念願していた従来の単年度予算から複数年度予算への拡大実施への方向である。
この件を中心に、新政権がやろうとしている政策の評価、そして提言をタックスペイヤーの視点から考えてみたい。
評価1 複数年度予算は効率化につながる
私共の仲間である北海道商工連盟の会長であり、全中連の副会長である峰崎直樹参議院議員が財務副大臣に就任した。峰崎議員は財政・税制が専門分野であり、国民から期待を受けた現内閣で確かな仕事をしてくれるものと信じています。
この財務省の藤井大臣と菅国家戦略相との話し合いで、国の単年度予算の弊害を是正するため複数年度予算の拡大実施について調整していることが報道された。
私にとって近年ない朗報であった。
菅氏は英国視察の成果として、具体的には「英国では3年くらいのめどを立て、その中で単年度に落としていく」と紹介、原則的に年度内に使い切っていた予算を「翌年度に回すことができる」と述べ、効率化につながることを強調した。
このニュースは一見地味に映るが、実は我が国の厳しい国家財政を立て直す大きな制度改革になり得る第一歩だと考えます。
問題は会計方式やブック・キーピングをどうするかであります。
従来、国や自治体の官庁・会計方式は、消費経済最優先の会計方式で予算が処理されています。
何故なら収入は税金であり、不足するときは国債で補填されるだけで、支出の予算編成もその年度年度ですべて使い切ってしまう単年度収支計算方式を採用しているからです。
この使い切り予算が時として官製談合、天下り汚職などといった不祥事、悪行の土壌になっていたことは言うまでもありません。
評価2 トップダウン式の予算編成の実現へ
9月16日に新政権が誕生して、各閣僚は補正予算の一部執行停止、「核密約」解明、八ッ場・川辺ダムの建設中止等霞ヶ関へ先制攻撃をかけているが、10月6日現在で、仙谷行政刷新相から発表された補正予算のムダを排した金額が2兆5,000億円となった。
まだ金額の上乗せは可能のようだ。
やればできるものだと感心している。
政権交代前の自公政権は860兆円の国の借金を無視するかのようにムダなことを毎年繰り返して、貴重な税金を湯水のように使われていたのかと思うとタックスペイヤーとしては残念でならない。
八ッ場ダムと比較して効果のないダムが沢山計画されているようだが、よく精査して整合性のないものは中止すればいいことであって地元民も納得してくれると思う。
貴重な税金を使う公共事業は、特定の人や団体の利益につながるのではなく、国民(地元民を含めて)にとって整合性のある必要不可欠の事業でなければならないからです。
提言1 国債を発行してまでマニフェストを優先すべきではない
内閣やその周辺で仕事をしている政治家や官僚には見えないものがタックスペイヤーには客観視することができる。
新政権は、選挙時の公約であるマニフェストを実行するために汲々としているが、もっと次元の高い中長期のビジョンを語ってもらいたい。
例えば国際的に評価された温室効果ガスを1990年比で25%削減することにからめて、エコ産業面で日本経済をどう成長させるかの経済成長戦略や厳しい財政をどう立て直すかの全体像が必要だと思う。
それがないから、マニフェストを実行するために国債を発行する案が安易に浮上してくるのである。
民主党連立政権発足当時では、首相も財務相も新たに国債は発行しない、赤字国債を減らすようにすると明言していたと思う。
安易に子や孫に国の借金を残してはいけない。
減らす努力はしても決して増やしてはいけない。
これが新政権の一番大きな役目だと思うし、仕事としてやりがいがあると思う。
マニフェストに約束した子ども手当、高速無料化、農家戸別補償等については、ムダを排した歳入の範囲内でやればいいのであって、国民の借金になる赤字国債を発行してまで実行して欲しいとタックスペイヤーは思っていないことを知ってもらいたい。
国債を発行してまで政策を実行したなら、前自公政権と本質的には同じように思われてしまうのではないか。
私は信じたくないが、バラまき的で、大衆迎合が見え隠れすると言われても仕方ないことになる。
国債を発行してまでマニフェストにこだわることはないのであって、国民に財政の真の姿を訴えれば、納得してもらえると思う。できる範囲でやればいいのであって、できない無理なことをしては将来、未来に、禍根を残すだけである。
国は税収の範囲で予算を組めばいいのであって、その点、為政者は納税者をこよなく尊重しなければならないのではないか。
タックスペイヤーはそうであることを願っている。
提言2 責任ある明確な国家財務諸表の作成が急務
政権交代前の政治では過去官僚が自民党の族議員となり、ムダなダムや道路建設等で莫大な赤字国債を我が国は抱え込んでしまっている。
国民の支払った税金で国民に必要不可欠なサービスをしていくのが本来の姿であるにもかかわらす、自民党の族議員に代表されるパワーゲームで国民の税金が恣意的に動かされてきたと思う。
最近では2016年オリンピック招致の失敗例があるが、私は南米で初めて開催されるリオ・デ・ジャネイロが優勢であると最初から思っていた。
東京の参加はある政治家の独断と偏見による恣意的行動であって、それに費やした150億円は、その自信過剰な政治家の責任である。
個人ではどうすることもできないお金だ。
ムダなことをしたことで、この自信過剰家はタックスイーターと言われても仕方ない。
普通にしておけばいいことを、このような一個人の恣意が介入しないように効率よく運営するためには、官庁もディスクローズされたブックキーピングとして複式簿記的企業会計を導入しなければならないと提言します。
既に平成19年3月期決算より公益法人には導入されているもので、従来はストック式で収支の流れが不明瞭な感があったが、フロー式に統一されたことにより透明度が一段と増している。
責任ある明確な国家財務諸表を作成することが急務であることをタックスペイヤーとして提言します。
つまり、国の資産、負債が透明にされ、予算段階でムダな予算が組まれなくなり、ガラス張りになると血税を納めている国民がムダな公共事業費などを許さなくなり、官製談合をしようにもそのような土壌がなくなり、恣意ある政治家や官僚がやりたくても出来なくなるのである。
そして、今までは他人の金だから残らず使ってしまう考えであったものが、できるだけ多く繰越そうという意識改革にもつながると考える。
昨今、国や地方自治体で公務員の不祥事が多発しているが、制度的にこれによって少なくなることは間違いないと考える。
要するに、税金の使われ方や金額が国民にわかりやすくディスクローズされることが新政権にとって急務ではないでしょうか。
2009年10月9日 藤原 英男
政権交代に思う
2009年8月30日、国民の意思によってやっと大きく政治が動いた。
自公政権から民主党中心の連立政権への交代である。
やっとこのような結果になった理由にはいろいろあるだろうが、私は大きく2つに要約した。
結果1 一国のリーダーがポリティシャンでステーツマンでなかったこと
小泉劇場の主役と竹中案内役に見とれている間に、すっかり国民はその本質を見抜くことなく、
郵政民営化という名のもとに日本のお金をアメリカ資本に持って行かれ、継続してアメリカの
国債を毎月1兆8,000億も買わされている。
顔のない官僚に任せているからどうしようもない。『NO』と言う勇気がない。
後に続く3人にいたっては雇われマダムならぬ雇われ主(あるじ)的存在で、
一国のリーダーとしての責任を全うすることはなかった。
ただ3人の首相を擁護する訳ではないが、一応みんなで選んだならば4年間は
きっちりやらせてあげることも大切ではないかと思う。
ここに議院内閣制の弊害を垣間見てしまう。
本来なら日本の主(元首)は天皇であるが、その存在は象徴であるため、
行政府の長である首相が日本の顔とならざるを得ない。
だから日本の元首のつもりで外交や財政等、堂々と中、長期のビジョンを語り、
当面する諸問題に対応しなければならない。
即ち、一家の主と同じように、国家の主とならなければならない。
天皇に遠慮することなくその頑固とした自覚(統治能力)が絶対に必要だと思う。
結果2 自公政権が官僚制内閣から脱却できなかったこと
約40年も前の話で恐縮ですが、当時の西ドイツに留学している時に、
西ドイツの学生達は日本の財閥と官僚主導政治を批判していた事を思い出す。
要は40年経過していても内容はちっとも変わっていないということです。
それと大学時代に学んだ縦割行政の弊害についても、そう改善されていない。
本来オールジャパンであるべき省庁が『政と官』がもたれあって目先の省利
省益に走り、その結果、国の借金を860兆円(国民一人当り674万円)にまで
膨れ上がらしてしまっている。
特にここ10年の自公政権による借金増加の責任は重い。
代々の国民に負担がかかるこの赤字国債をどのようにして少なくするのか
具体的にリーダーから今まで余り聞いたことがない。
官僚任せにしているからわからないのだと思う。
一家の主が大きな借金を残して子や孫が困るような事をしてはいけないのと
同じように赤字国債を少なくすることが国民にとって国家にとって
大切なことは言うまでもない。
以上大きな問題点を解決するために私は専門的な立場から2つのことを提言したい。
赤字国債を少なくする運動を考えたとき、真の財政再建を考えたとき、自ら政策は
出てくるものである。
提言1 徹底したディスクローズのもとに税金のムダ遣いと役人の天下りを根絶しなければならない。
多くの国民はタックスモラルを持ち、直間比率の問題で重税感のある日本で一所懸命働いて
税金を納めているタックスペイヤーである。欧米ではタックスペイヤーの発言力は大きいが
日本人はとにかくおとなしい。
江戸時代が長かったためかお上意識が強く役所に対して従順すぎるくらいおとなしい。
そこで、小役人はタックスペイヤーがおとなしいことをいいことにそれを食い物にしている
悪代官も時として登場するのである。
公務員は公僕であるはずなのに、時に恣意を持ち、権力をふりかざして、国のために尽くそう
としているタックスペイヤーの気概を「獅子身中の虫」である小役人が敵となり、敵対者を
増殖させているのではないか。
アンパンマンのような崇高な考えでなくても公務員を目指したならゲゼルシャフトを抑え
少しでもゲマインシャフトの精神を持っていただきたい。
国のために国民のために働いているつもりでも客観的にみるとタックス・イーターになっている
公務員が議員を含めて多くいるのではないか。 人間として恥ずかしいことである。
提言2 国・自治体の単年度決算の廃止をしなければならない。
毎年、年末から年始にかけて道路が掘り返されている現状を見ていない国民はいないと思う。
前にも触れたが、役所の縦割り行政の弊害につながるが、民間では考えられない予算の使い
方をする役所はとにかくクレイジーだと思う。
今まで賢明な人は予算使い残しを評価したり、単年度予算をやめたらいいと提言してきたと
思うが一向に改善されないまま今日に至っている。
タックスペイヤーが命がけで支払った税金をむやみやたらにムダ遣いする役所のシステムは
いい悪いは通り越して『悪』そのものである。
最近は大阪府知事がタックスペイヤーの視点から話してくれているし、民主党の一部議員や
みんなの党に代表される「脱藩官僚」なる議員も勇気をもって発言してくれているので
ある種の改善気運を感じるが、強力に推し進めるべき仕事だと思う。
現在のようにムダに税金を使った者が評価されるようなシステムがまかり通っているかぎり、
日本の将来に希望はない。
何故気づかないのだろう。だから「政治はダメ」と言われる。その原因はシステムなのか、
人なのか。やはり人だと思う。
人がシステムを変えればいいのだから。
『おれがおれが』と自分の地位に固執するあまりタックスペイヤーの存在を忘れ親方日の丸
意識のトップがいるかぎり悪い政治は続くだろう。
国民にすべてをディスクローズして単年度予算を廃止して早急に責任ある明確な国家財務諸表
を作成すべきである。
終わりに、今回の選挙で民主党はマニフェストに子ども手当5.5兆円、農業の戸別所得補償に
1兆円、高速道路無料化に1.3兆円等平成25年度の所要額を16.8兆円と試算している。
自公はこのことをバラまきといやらしいほど批判の大キャンペーンを張ったが結果は民主党の
大勝利。
選挙は終ったが、仕事はこれからだ。
民主党の実力が試される時がやってきたと言ってよい。
それは@国の総予算207兆円の徹底効率化によるムダ使いの根絶などで9.1兆円
A「埋蔵金」や政府資産の活用で5兆円
B租税特別措置などの見直しで2.7兆円
以上3点計16.8兆円の財源を平成25年度までに確保することが約束されている。
これは大変な仕事である。しかし、やってもらわないと困る。
官僚からの凄まじい抵抗があると思うが国民の声を後盾にして闘って勝ち取って欲しいと思う。
その闘いの中で「官僚システム」や「官僚支配」が見直されるならば日本にとって、国民にとって大変有益なことだと思う。
その結果、「過去官僚」も反省し、自分本位ではなく民主的な手法にウイングを変えざるを得ないのではないかと思う。
そして民主党は赤字国債を発行しないと約束している。
先ずいいことだと思う。
赤字国債を少なくすることが国民にとって、国家にとって一番大切であることを肝に銘じて頑張っていただきたい。
多くのタックスペイヤーはそう願っているし、民主党の改革する仕事に期待している。
これからの仕事は革命と言っても過言ではない。
民主党は勇気を持ってこの革命を成し遂げて欲しい。
頑張れ民主党。
タックスペイヤーは見守っている。
2009年9月3日 藤原 英男

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