陰核調教日記
アイギーナ島の小人族にクレイトリスという美しい娘がいた。淫蕩な神、ユピテルは彼女を我が陰茎で陵辱することを欲した。だが、彼女はあまりにも小さく、陰茎で貫くなど到底できなかった。そこでユピテルは、自ら蟻となってクレイトリスの身体に悦楽の恩寵を与えた。
このギリシャ神話にあるクレイトリスこそ、かのクリトリスの語源である。クリトリスがヴァギナと同様、女性快感の源泉であることに間違いはない。だが、クリトリスとヴァギナでは快感の質が異なる。
インドネシアで女性が果てるとき「にじむ」と口走る。日本語では「行く」だし、英語では「来る」と表現されるオルガニズムの言葉だ。ところで、このインドネシアの表現は、ヴァギナの悦楽を上手く表現している。
ヴァギナの快感は、膣内の壁面に摩擦を与えることでもたらされる。つまり、壁面から「にじむ」悦楽なのである。一方、クリトリスが生み出す快感は、面ではなく点である。性感が極度に集中したクリトリスの快感は、「にじむ」のではなく、「突き抜ける」のだ。ヴァギナの悦楽が脳全体で得られるものならば、クリトリスの悦楽は背骨から後頭部に鋭い電波が走るようなものなのだと思う。
で、あるからこそ、ユピテルは蟻になった。
Y江と和歌山に出かける前日、私は部屋で事務用のゴム・サックに細工を施した。
紙をめくるために、よく事務員が指にはめているオレンジ色のゴム・サックである。
私は、これを鋏で四画に切り取り、ペーパーパンチで穴を一つ開けた。
当日は、晴天であった。
私たちは、ワールドサファリを楽しみ、午後には静寂を求めて山道をドライブした。
清流の流れる川辺を見つけると、手を取り合って下り、澄んだ空気を楽しんだ。
私はY江に、すぐに戻るから、と告げて一人で木立の中に分け入った。
おそらく、Y江はトイレだと思ったことだろう。
私は、地面に目を凝らしてあるものを探した。
夕方になると、空が灰色になってきた。
天気予報の通り、夜は雨になるのだろう。
私たちは、車に乗って温泉に向かった。
大阪への帰路は、すっかり遅くなった。
雨はいっそう強くなり、ウィンドーガラスは滝のようになっていた。
私はY江にジーンズを脱ぐよう指示した。
「ええ〜、ここでぇ〜」
という彼女は楽しげだった。
私はY江に右足を私の腿に乗せるよう命じた。
車の運転に注意を払いながら、Y江の脛や膝、腿をやさしくなでた。
彼女の足は、白く滑らかであった。
「んんん〜」
Y江の足から徐々に力が抜けていくのがわかった。
私はパーキングエリアに車を駐車させた。
トイレしかない小さなパーキングには、トラックが1台止まっているだけだった。
CDを止めると屋根に当たる雨音と、Y江の息づかいしか聞こえなくなった。
私はY江の膝裏と足首に手をいれ、彼女の足を持ち上げた。
膝から足首を舌先で舐め上げた。
Y江の足指が微妙に動いた。
私は、その足指をゆっくり口に含んだ。
「あぁぁ〜、きたないよ〜」
Y江は足を引こうとしたが、私は両手で強く彼女の足首を抑えて、「いいから、じっとしていろ」と言った。
私の口の中に酸味と塩味、苦味が渾然一体に広がり、汚臭が鼻をくすぐった。
「あっ、あっ、あっ」
Y江は目を閉じ、足先から伝わる生暖かい舌の感触を楽しんだ。
私は、彼女の足から力が抜けると、黙って左手を彼女の股間に当てた。
「あああっ」
Y江は切ない声を出して、ドアに上半身をまかせた。
長い愛撫を施すと、私は後ろのシートに移動して、背もたれを倒し、彼女を後部にいざなった。
そして、彼女の頭部がシートからはみ出すように寝かせると、両手を紐で縛り、それをサイドブレーキに括りつけた。
それから、Y江の両足を私の肩に乗せ、そのままグッと前方に押し上げた。
胸でY江の背中を押し、両腕を内腿に押し付けると、彼女は陰部を天井に向ける体勢になった。
私は胸ポケットから、昨夜に作ったゴムを取り出し、この穴を引き伸ばしてクリトリスに押し当てた。
穴からクリトリスが顔を出すと、まるで百合の雌しべのようだった。
私は、左の人差し指と中指でゴムを固定し、右の人差し指に唾液をつけると、ゆっくりとクリトリスを刺激した。
「うぁぁぁぁ〜」
車内に声がこだまし、Y江は腰と両足に力を入れた。
私は押し戻されないように、思い切りY江を押し付けた。
「なに、なに、うぁ、うぁ、なにしてんの〜」
Y江は頭を引き上げ、大きく目を見開くと、黄色味がかった街灯の光に照らしだされた、自らの陰茎を見つめた。
「なに、それ、なに、あっ、あっ」
周辺をゴムで覆われ、クリトリスだけを集中して触れられる感触は今まで体験したことがないはずだ。
私は全身の力でY江を押え込み、指でY江の勃起をもてあそんだ。
「うぁ〜〜、うっ、あぁぁぁ、うぁ、いぐぅ〜」
Y江はもがき、頭を強くシートに叩きつけて果てた。
私は肩で息をしながら、カバンから小さなプラスチックケースを取り出した。
その中には、夕方に採集したサイズの小さい蟻が十数匹入っていた。
私は、ケースの口から網を取り、脱力しているY江のクリトリスにこれを被せた。
蟻は夜行性ではないので、ペンライトで光を当て、容器を振った。
蟻はノソノソと鈍く動きはじめた。
「うっ、うぅぅぅ」
徐々にY江の腰がモゾモゾ動き始める。
「ううっ、うっ、あっ、あっ」
明らかに指ではない、微細でありながら刺すような感触にY江はもだえはじめた。
足の指に力が入る。
「っが、あっ、うぅぅぅぅ、あっ」
私はY江のクリトリスを行き来する蟻をジッと見つめた。
陰茎の甘い蜜を集める蟻たちを。
「うっ、あっ、なに、なにしてんの、あっ」
Y江は顔を上げ、自らの股間部を確認しようとした。
彼女の目には、クリトリスにあてがわれた容器しか見えない。
私は腹の底から震える歓喜の中で、再びペンライトに光をともした。
「黒っぽいもの見えるか、動いているやろ」
Y江の顔が恐怖に引きつるのが見えた。
「なに、それ、なに、いやや、やめて、やめて」
「じっとしろ、動くな」
「いやや、なに〜、いや、いや、やめて、お願い、なにそれ」
もがくY江を力の限り押さえつけ、私は笑みと共に「蟻」と答えた。
「うぁぁぁぁぁぁ〜〜、いや〜〜〜〜〜、ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
Y江が叫んだ。
その叫び声と同時に私は容器を外し、すばやく蓋を閉めながら、ゴム上の蟻を息で吹き飛ばすと、そのままY江のクリトリスを口に含んで舌を押しつけた。
舌の中央部でクリトリスが弾ける。
「はぁぁぁぁ〜、いや、はぁぁ、いや、あがっ、はぁぁ、いやぁぁぁぁ」
Y江の腰が大きく揺れ、私は後ろに押し倒された。
私はモゾモゾと体を起こし、Y江の両手から紐をほどいてやった。
彼女の腰が激しく躍動する。
「あぁぁ、あっ、あぁぁ」
Y江は嗚咽とも、喘ぎともとれる声を出していた。
私は彼女の頭を持ち上げ、膝枕をして、額に唇を当てた。
「もう大丈夫、怖かったね、大丈夫だからね、いい子だ」
私はそう言うと、瞳から溢れる涙を、舌でそっと拭った。
「ふぅぅぅ、ふっ、ふぅぅぅぅ」
Y江は、自らの腿を鷲掴みして、痙攣を抑えようとしているようだった。
屋根を叩く雨音が、二人の闇を包み込んだ。