バラ鞭調教日記
磔の皮バンドからT子の手足を自由にすると、彼女はその場にしゃがみ込んだ。
私はその場を離れて、洗面所でタオルを湿らせた。
濡れタオルをもって磔の位置に戻っても、彼女はじっと蹲っていた。
私はT子を起こし、タオルで尿に濡れた彼女の顔をやさしくぬぐった。
「立てるね」
そう言うと、T子は力なくうなずいた。
私は手を取ると、ソファーまでいざなった。
彼女はソファーに腰掛けると、そのまま横倒しになった。
有線のスイッチをオンにすると、ラウンド・アバウト・ミッドナイトが聴こえた。
私はタバコに火をつけ、灰皿を手にソファーに腰掛けた。
紅光の中で白い煙が波紋のように立ち揺れた。
マイルスのトランペットを聴きながら、なぜかトム・ウェイツのイノセント・ウェン・ユー・ドリームが頭の中をめぐった。
視線をT子に向けると、彼女は目を閉じて穏やかな顔をしていた。
私はその神々しさに打ち震え、思わず彼女の髪に手を置いた。
T子はうっすらと瞼を開け、私を見つめた。
どれくらい沈黙が続いただろう。
T子はゆっくりと体を持ち上げると、向きを変えて私の腿に頭を乗せた。
私はそっと彼女の首筋に指をあてた。
「今日は、まだだよ」
そう言うと、T子は私の腿の上でしっかり頷いた。
私はT子を正座させ、その前に枕を二つ重ねて置いた。
麻縄で両手首を縛り、それを首の後ろに反らせた。
余った縄は背中から胸に回し、背中に戻して結んだ。
背中の縄を持って、枕の上にT子をうつ伏せにすると、彼女は正座のまま尻を突き出す姿勢になった。
私はさらなる拘束を求め、足首を縛って背中の縄と結わえた。
足首から伸びた縄は、T子の右腿を伝って背中に伸び、さらに左腿を伝って足首にいたる。
足先で縄の調整をする私の手がT子の陰部が触れるたび、彼女は腰をモゾモゾと動かした。そこは生暖かく、湿った空気に淀んでいた。
これで、T子は身動きのとれない状態になった。
目の前にはT子の丸い臀部が横たわっている。
私は、その丸みを帯びた尻を両手で円を描くように撫で、おもむろに平手でスパンキングした。
「あぁっ」
T子は小さく声を上げた。
私は、彼女のために用意した、厚さ2ミリ、長さ75センチのバラ鞭を手に立ち上がり、鞭先を軽く股間に当てた。
「いいか、今からこれを授けてやるからな」
頭の中では、まだイノセント・ウェン・ユー・ドリームのメロディーが流れていた。
私はそのメロディーを反芻し、身体を揺らして大きく息を吸うと、能の舞のようにその場でゆっくり1回転して止まった。
眼下にはT子の臀部が広がっている。
私は一呼吸おくと、その臀部の中央、腰から下の部分に鞭を振り落とした。
「あっ、がぁぁぁぁ」
目の前で丸い尻が揺れる。
私は目を閉じ、両手を広げて天を仰ぎ、メロディーに合わせて身体を揺らした。
腹の底からわき上がる恍惚感の中、さらに躊躇なく鞭を振り抜いた。
ビシッ、という重い音が響く。
「ふぁっ、あぁぁぁぁぁぁ」
鞭を正面から振りぬく度に、T子の尻がもだえ、首の後ろで縛られた両手は硬直した。
その痛みを噛みしめながら震える手は、私の加虐性を高めた。
私はT子の恐怖心を煽るべく、今度は軽く早い痛みを伴わない鞭捌きで、彼女の尻を追い立てた。
「そら、そら」
「ふぁぁぁぁぁぁ、がぁっ、がぁっ」
T子は狂ったように悶えた。
尻の側面に鞭を与えると、彼女の尻も左右に動いた。
そのモゴモゴした動きは、軟体生物を思わせた。
私はいったん鞭をおさめると、再び体重を乗せて鞭を尻の中央に振り落とした。
「がぁぁぁぁぁあ」
鈍痛が尻に走り、その痛みが痺れとなって体中に伝わっているのだろう。
その様子を見ながら、2、3度ほど軽く尻を叩いて、また、おもむろに重い鞭を振り抜いた。
「ぐぁぁぁ、あっ、あぁぁ」
T子の声が部屋にこだまする。
「どうだ、まだ耐えられるか」
「ふぁい」
「もっと耐えるのか」
「はぁぃ」
T子の耳元で囁くと、彼女は泣声で答えた。
私は再び立ち上がり、何度か強弱をつけた鞭をしならせた。
「がっ、ふぁぁぁぁぁぁぁ」
T子の手と尻がブルブルと震えた。
私はその手を握り体温を確かめた。
すでに、彼女の手は冷たくなっていた。
私は、手首の縄をほどき、すすり泣く彼女の手を自由にした。
そして、臀部の方に向かうと足首の縄を解き、襦袢を捲り上げて彼女の尻をあらわにした。
私がそっと股間に指をやると、ヴァギナはしっとりと濡れていた。
「鞭で責められて濡れたのか、いやらしいな」
「あうっ、はい」
「鞭で濡れたのか」
「あぁぁ、はい」
その切なく、鼻にかかった声は私の中枢神経を刺激した。
股間が脈打つ。
私はスラックスと下着を下ろし、屹立したものを縦に割れた陰部の窪みに沿わせた。
「はぁぁぁぁ」
T子が腰を振ると、私のものがヌルヌルと滑る。
「いっぱい耐えたから、ご褒美をあげようか」
「あぁぁ、はい」
先端部で陰部を刺激すると、くちゅくちゅ、と音が漏れた。
T子は腰を振って私を求めた。
ペニスをあてがい徐々に押し込むと、彼女のヴァギナはそれを飲み込んでいった。
「ふぁぁぁ」
私が根元まで埋め込むと、T子は枕を強く抱きしめた。
両手で彼女の尻を押し広げ、私はゆっくり腰を前後に動かした。
愛液で私の陰茎は鈍い光を発した。
ぶりゅ、ぶぅぅ、と淫靡な音がもれる。
T子も自ら陰核に指をあてがい、快楽を高めていった。
T子の背中に残った縄に手をやると、まるでロデオのような姿勢になった。
私はカウ・ボーイのように、縄の反動を利用して激しく奥まで突きこんだ。
「うぁぁぁぁぁ、あっ、あぁぁぁ、だめぇぇ」
T子は大きく悶え、逃げようとする。
私は縄を強く握り締め、T子を引き戻して突き続けた。
「あぁぁぁ、うぁ、イクっ」
彼女の昇天と同時に、縄を握った手が離れた。
T子は足を伸ばし、そのままうつ伏せになった。
私はヴァギナから抜けたものを、尻を押し広げてもう一度挿し込んだ。
そして、T子のふくらはぎの上に座るような姿勢で、ゆっくりとペニス全体を使って愛撫した。
「あぁぁ、気持ちぃぃ」
T子は自らの指を口に含み、膣から伝わる悦楽を満喫しているようだった。
しばらくすると、私にも下腹部からある衝動が湧き上がってきた。
その衝動に合わせて、腰の動きも加速してゆく。
「うっ、うっ、イクぞ、いいか、イクぞ」
私の息づかいが荒くなる。
顎の先から汗が滴った。
「あぁぁぁ、イって、あっ、イって、イって、うっ、イグっ」
T子に続いて、陰茎を引き抜くと精液が飛び散った。
その瞬間、私の思考も飛んだ。
そして、そのままT子の上に覆いかぶさった。
「ふぅぅぅぅぅ」
T子は指を口に含ませたまま、荒い呼吸をしていた。
私は彼女の上で心臓の動悸を感じながら、髪に手をやり、もう一方の手で彼女の手を握った。
T子はその手を強く握り返した。
目を閉じると、またあのメロディーが頭をよぎり、スモークという映画のエンディング・シーンが浮かび上がった。
瞼の裏のモノクロの世界と、頬に伝わるT子の体温で、私は沈んでいった。