エリック・バーン博士
(アメリカ 1910〜1970)

1 やさしい心理学、TAとは
















TAとは

   TAとは、トランザクショナル・アナリシス(Transactional Analysis ) という言葉の略語で、
  日本では、交流分析と訳されています。
   エリック・バーン博士(アメリカ、1910〜1970)が、1950年代後半に、有名なフロイトの
  “精神分析”の理論のエッセンスを集め、一貫性を持つように整理し、まとめて発表した、新しい
  臨床心理学の分析システム(理論と方法)です。


特徴は易しく分かりやすい

  “精神分析”とか“臨床心理学”などというと、なんとなく堅苦しく、「難しそうだ」という感じ
  がしますが、TAは明解です。易しい言葉で、最も大切なことだけに絞って、理解しやすい形にま
  とめあげられています。


TAの目的

   その目的とするところは“自分自身が本来持っている能力や可能性に気づき、その実現や発揮を
  妨げている、人柄の中のさまざまな問題な要因を取り除き、本来の自分の能力を発揮して、“より
  良く生きる”ことを促進することにあります。


TAの学び方

   
私たちは“人間の能力”というと、学校の試験で、高い得点をとるのに役立つ、思考力、記憶
  力、判断力、考察力などの
“知的な能力”を考えます。でも、そうした能力は高いのに、問題を起
  こしたり、不正な事をして人から非難を浴びたり、自分の利益ばかりを考えて行動し、周囲の人達
  の不興を買っていたりする人達がいます。こういう人達は、本当は能力が高いのか、低いのか、よ
  く分かりません。

      どうしてそんなことになるのかというと、
“人間の能力”の考え方に、間違いがあるのです。
  “知的な能力”以外にも、まだいろいろな能力がありそうです。残念なことに、まだ、目に見える
  形にして、示すことが出来ず、その計りようが分からない為、大切さが分からないので認められず、
  重要視されないのです。

   対人関係、コミュニケーション、リーダーシップなどの能力を
ヒューマン・スキル(人格的能力)
  といいます。こうした能力は、他の能力と違って、パーソナリティー(人柄)と不離密接な関係に
  あり、人格的な、人間的な成長が無くては、その人の全体的な能力アップはあり得ないのです。
   ヒューマン・スキルを高めるため、人間的な自己成長を計るのに役立つ学びには、いろいろなも
  のがありましょうが、私たちは、TAを学ぶことが、最も学びやすく、役に立つと確信しています。

   TAの学び方で、最も大切なことは、TAを、“自分に気づき、自分をより望ましいものに変え
  る”ための知的な道具として学んでいただきたいということです。 そのためには、TAの理論を
  深く、しっかりと理解し、さらに、それを自分にあてはめて、こうありたいと思う
“理想的や願
  望的なものでない、真の自分の姿”への “気づき”を深める
ことが大切です。

   この“自己への気づき”が無ければ、“自分の何を、どのように、変えていかねばならないか、
  の情報が得られないので、自分の人柄の問題性に気づかず、周囲の人達の信頼や協力が得られず、
  充分な能力発揮ができずに、不満のまま人生を生きていくこととなります。

   ですから、自分自身が本来的に持っている能力の発揮を妨げている“自分の人柄の中の問題性や
  要因”を見つけ、それを取り除いて、自分の能力や可能性を思う存分に発揮して生きていく、こう
  した生き方ができるような自分に
“自己成長”するための学び でなくてはなりません。