2.人間的能力の成長とは……その(2) カール・ロジャースの理論を中心に


1.成長とは

 
 1)成長とは、変化することである。変化のない状態は、成長とは言わない。
  2)子供は放っておいても、可能性を発揮して、変化する事ができるが、大人は、意識的に
    自己改革をしないと、成長しない。
  3)大人の成長とは、今までの枠組み(子供の頃から慣れ親しんできた、考え方、感じ方、
    態度、行動の仕方)からの、意識的な脱却である。


2.自己概念と成長

  1)“自己概念による自分で思う自分”と、外側に現れた自分の言動によって、“周囲の
    人が認知する自分”との関係は、次のように図示できる。


  

  
2)この重なり度合いによって、人格的な成長が判断できる。

@ 自己一致の度合いが低く、重なる部分が小さい場合

  • 自分の言動が、自分の意図とは違って受け取られ、ずれた感じがあり「おや?」、「あれ?」と感じる事が多い
  • ずれる理由を正当化するために、合理化(理由付)、自己正当化が多くなる
  • 他人とのズレが明確になる不安におそわれ、不安定になり、それを抑圧する事になりやすい
  • つまり、人格的に未成熟な状態といえる

A 自己一致の度合いが高く、重なる部分が大きい場合

  • 自分の言動が、その意図通りに相手に伝わり、素直に理解され受け止められる
  • 周囲からの期待や状況に適切に対応できるので、相手からの信頼が得られる
  • つまり、人格的に成長している状態といえる