大山三鈷峰 春の訪れ



標高 1516m    難易度 ☆☆    登り130分(宝珠越) 下り90分(宝珠越)  鳥取県
倉敷からの距離   147Km        登頂日 ’99/05/22   ガイドブック 

 中の原9:48−10:11ロープウエイ終点−10:30宝珠山山頂−10:36下宝珠越え合流点−10:59中宝珠−11:30上宝珠−11:48ユートピア分岐−11:57山頂12:27−12:49上宝珠−13:14中宝珠−13:35下宝珠−13:41宝珠山山頂−13:50ロープウエイ終点−13:58中の原

登山
 イワカガミを尋ね,大山三鈷峰(だいせんさんこほう1516m)に

 大山三鈷峰は花が豊富 2時間余りの登山道には絶え間なく花に出会える 種類も豊かだし 最盛期の花が次から次ぎと顔を出す どこにこれほどのエネルギーが蓄積されているのかと尋ねる度に驚かされる

 今の時期はイワカガミとマイヅルソウ いずれも小さい花 イワカガミは咲き始めはピンクが濃いが次第に薄れ 白くなってゆく 最初から白い花もある 咲き始めのうっすらとした淡いピンク色はほのぼのとした気持ちにさせてくれる マイヅルソウはまだこの山でしかお目にかかっていない白い小さな花 花を良く見ると鶴が舞っているかのように思えるのも不思議 ルートに沢山咲いているが 気を付けて見ないと花の姿を見ずに過ぎてしまう 座ってじっくり見て欲しい 今日はこれらの花が咲き乱れているのを楽しみに尋ねる

 このところ晴天が続いている 駐車位置から大山の北壁から三鈷峰までの山並みを見る事が出来るのは久しぶりに思える 花と同様 山の景観も楽しめそうだ

 4月に来た時は雪解けが終わったばかりで押しつぶされた枯れ草に覆われたスキー場の斜面が印象的であったが その面影は全くない 新しい草が生育し緑の絨毯を形成している 特徴のある宇宙船のような花を持つヘラオオバコが咲いておりニヨイスミレだと思われる白いスミレや黄色の花も見られる

 ロープウエイ終点から登山道に入る 早速チゴユリ ユキザサが顔を出す 登山道は笹が多く 湿気がありこうした花に適するのだろう 良く見るとツクバネソウも混じっている 特徴のある形をしている 少し高度を稼ぎ 笹原を抜けるとブナの樹林帯 新緑に覆われたブナの樹林はまた美しい 小鳥のさえずりはひきもきらず喜びの声をあげている 4月の淋しげな声と大きな違い 種類もいろいろ聞こえる カッコーも鳴いている 道後山の時とは違ってカッコーとシンコペーションなしで聞こえる トッキョキョカキョクと聞こえるホトトギスの鳴き声もする その他の小鳥は何と表現したら良いのか 実に澄んだ協奏曲を奏でてくれる いくつかは聞き慣れた声である

 ルート沿いにイワカガミが顔を出す 次から次ぎと現れる マイヅルソウも顔を出してきた 小さな花をつけて出迎えてくれる イワカガミはお辞儀をし出迎えてくれるように マイヅルソウは手をあげて歓迎しているように

 このあたりからブナの樹林が美しくなってくる 樹林の撮影は望遠で絞りを入れて撮ると立体感が出るとの説明を読んだ記憶がある 手で持ったままでは絞るのに限界があり,三脚で写真機を固定しないと思うように絞れない 三脚をセットしてまで撮影する気にならないのである所まで絞り妥協する 宝珠山を越え 下宝珠から中宝珠越えにかかるルートがブナの樹林の最も美しいところ 新緑よし 紅葉よし 雪もまたよし 木肌がなんとも言えない

 大山三鈷峰の全容が現れる 大山の北壁も開けてくる 今日は隠すものが何もない 雪解けは終わり 落石も一段落した様子 おだやかな顔をしている 4月の雪の時とは随分と異なる

 ルートには相変わらずイワカガミとマイヅルソウが顔を出す オオカメノキの白い花も時々目につく ダイセンキスミレも顔を出してきた 本家本元である 時期が少し早いのか 花の数が少ない もっと沢山咲いていた記憶がある

 中宝珠越えを過ぎた地点の湿気がある場所でサンカヨウが花を咲かせていた フキの葉のような大きな葉の上に白い花が咲く サンカヨウは上宝珠越えからユートピアにゆくルートにも随分と咲いていた

 上宝珠越えに来ると雪の時が思い出される 今は草木が茂っており 雪に覆われた時を思い出すのが難しい 写真を撮って並べて比較してみたい 登頂を断念した急斜面 そこはガレ場であり下を覗くと山肌が食い込むようにして消えている 今見てもかなりの急斜面だ

 ボタンネコノメソウがいた こんな高地でも生育するのかと認識を改める ヤマシャクヤクが咲く準備をしており 花芽をふくらませている ヤマシャクヤクはなかなかお目にかかれない花だ ここでは2度目になる

 ユートピア周辺はまだ花の時期が早いようだ イワカガミがやっと顔を出したところ マイヅルソウは葉の状態で花芽はまだ 大山三鈷峰の岩場にはイワカガミが群生しているはずなのだが 残念ながら時期尚早であった

 山頂にはすでに2組4名が昼食をとっていた 大山北壁からユートピア 烏ヶ山 野田ヶ山 矢筈ヶ山 甲ヶ山と一望に出来る 北壁の天狗岩周辺に幾人もの人が登っている姿がシルエットのように見える あの足がすくむような場所を良く登ってゆくものだと感心する

 下山も登ってきたルートをくだる 花と小鳥と新緑をこころゆくまで愛でながら

  
アプローチ
 いつものコースで180号を北上し明地峠を越える 好天ではあるが大山は春霞状態いつものように,中の原スキー場に駐車させてもらう