利尻岳に家内と立つ



標高 1718m 難易度 ☆☆ 登り330分(他休憩60分) 下り380分(他休憩32分)  北海道
アプローチ *       登頂日 2008/07/24   ガイドブック  日本百名山登山ガイド「上」  写真

登山口5:10−5:23甘露泉−5:25乙女橋−5:44休憩5:49−6:02四合目野鳥の森−6:26休憩6:31−6:47五合目−7:14六合目第一見晴台7:26−7:34トイレ7:37−7:54七合目7:58−8:33休憩8:41−8:58八合目長官山9:07−9:27山小屋9:31−10:14九合目10:24−11:40山頂12:18−13:51九合目13:58−14:31山小屋−14:46八合目14:52−16:05七合目16:10−16:386.5合目トイレ−16:48六合目−17:23五合目17:30−18:12四合目−18:50分岐−18:53甘露泉19:00−19:10登山口


登山
 今日は家内と一緒に、利尻岳(りしりだけ1718m)を訪ねる

 登山口に着く 宿の方から 今日は登山者が少ないので登りやすいですね 混んでいる時は今時大変ですよとのお話 登山者らしい人がぽつぽつ見られるが人影は少ない それでは行ってきますと登山道に入って行く すぐに人を見送っている方と出会う お見送りに来られたのですか?と伺うと いや 登山者だ 今日は雨なので登山は見合わす と 伺う 後から あの方はずうと山に入っておられ 家に帰るのは年に数日らしいと伺う こういう方もおられるのだと改めて感心する ガスは出ているものの雨は落ちていないので降られないといいねといいながらルートを行く ルートは暫くは整備された遊歩道になっている ルート脇にはツルアジサイ チシマアザミ ヨツバヒヨドリ ツキミソウ ヒメジオン キンミズヒキ ミヤマセンキュウが顔を見せる チシマアザミ ミヤマセンキュウが珍しいがその他の花は岡山でも見る花だ ウグイスの鳴き声も聞こえてくる 北海道のウグイスでも鳴き方はあまり変わらない

 そして甘露泉に出る ここが水場の最後との事 そうそう水は1人1リットルから2リットル用意しておくと良いと後で読んだ本に記載があった 家内はあまり水を飲まないので二人で1.5リットルを持って登った 三合目甘露泉の標識を見てルートを行くと 今度はポン山姫沼コースの分岐がありここを利尻山に向かう すぐに乙女橋と書いた木の橋がある ルートはゆるやかな登り 宿の方から数日前に大雨が降ったので足元が緩いおそれがあると伺っていたがそう大きな問題もなく登って行く 森林は北海道の山だけあって深く 霧も出ておりしっとりとした雰囲気 30分程登った所で5分休憩を入れる 大山登山で休憩が少なかった事を反省し小まめにとって行こう ルート脇にはアマドコロの実 シシウド コオニユリ ダイコンソウなどが顔を見せる コオニユリが顔を見せてくれるのは嬉しい

 四合目に出る 野鳥の森と記載がある 小鳥の声が聞こえて来るもののにぎにぎしいという訳ではない 収録を試みたが上手く録れなかった ルート脇にはエゾニュウが堂々とした顔を見せる 大山でエゾノヨロイグサに出会えるがこちらでは稚内に向かう車窓にそれらしい花を沢山見つけた エゾニュウとエゾノヨロイグサとは良く似ているが エゾニュウの方がより大形で壮大な花を付けるとインターネットに紹介があった 私のメモにはエゾノヨロイグサと書いていたが写真等比較するとエゾニュウらしい ヤマハハコ ミヤマアキノキリンソウ オトギリソウなどが顔を見せてくれる おやマイヅルソウの葉だ 斜面一面に広がっている そうして五合目に出る

 五合目にはごみは持ち帰ろうと記載されている ルートにはゴミは見当たらなかった きれいな山にゴミは似合わない 嬉しい事だ 白い花が顔を出す シュムシュノコギリソウと後から教えて戴く この花は山頂まであちらこちらで顔を出し楽しませてくれる シュムシュは北千島の島の名前とインターネットに記載がある 伺った時は聞き取れない名前で何度も聞き返し失礼しました イタドリ ヨツバヒヨドリも顔を見せる どれも伸び伸びと咲いており 同じ名前でいいのだろうか

 次から次とで迎えてくれる花や木々を楽しみながら緩やかなルートを登って行く 二時間程登ったところで六合目に出る 六合目は第一展望台と記載があり 景観が開け 雲の合間から海が見え フェリーを確認する事が出来た 山側はガスに覆われ何も見えなかった(帰路は視界が開け 八合目の長官山を見る事が出来た) ここで朝食をとる

 朝食を終え 出発する ハイマツの中のルートだ ハイマツの樹林を過ぎると低潅木地帯のルート イワギキョウが可愛らしい顔を見せてくれる ミヤマアキノキリンソウやシュムシュノコギリソウを楽しみながら10分程登るとトイレがある トイレと言っても携帯トイレが使えるように設備している 中を覗くと便座に相当するものがありここに携帯トイレの吸収シートを置き用を足すようだ 設備はきれいで汚れや悪臭は無かった 宿の方が最近整備されたと言っておられたのでまだ利用者は少ないのかも知れない こうした設備がここの6.5合目に相当する場所と山小屋ならびに九合目の三ヶ所に設置されていた トイレのブースには次のトイレが設置してある場所までのおよその登山時間が記載されていた

 携帯トイレをどのようにして使うのかを知りルートを登って行く イワギキョウがちょくちょく顔を見せてくれる 喜んでその都度カメラのシャッターを押す ヤマブキショウマ ミミコウモリ が顔を出し 七合目に出る 六合目から七合目までが30分程度で意外と早く着いた 休憩されている方と挨拶を交わす 京都からとの事 中学生の男の子が登ってきた栃木からで親と一緒と話しておられた そうかここは地元の方では無く全国から訪ねて来られるようだ 軽く休憩をとりまた登って行く

 地形図から見ると七合目あたりから傾斜がきつくなって来る ルート脇にミヤマセンキュウがルートに沿って沢山の花を咲かせている 見応えがある そして 標高940m地点に出る 大山で言えば二合目から三合目に相当する地点だ ここから大山登山を始めると思えば良いのだ 低潅木は雪の重みによるのだろう地を這うように枝を伸ばしている ハイオトギリ イワギキョウを楽しみながら登って行く そう心配した程の傾斜は無く ロープや鎖などの設備も無く登って行ける やがて岩場に出る どうやらここが六合目に続く第二見晴台のようだ ガスで視界がきかない ここは7.8合目にあたり 八合目まではあと15分程と伺う 説明して戴いた方は 山頂付近の調査・修復に来られたとかで今日は山小屋泊 登りはきついですねと話しておられた

 一休みして出発する ハイオトギリ イワギキョウ シュムシュノコギリソウ そしてゴゼンタチバナが顔を出す ゴゼンタチバナは白山登山で覚えた花 ここではピークを終えたのか色が褪せていた そして八合目の長官山に出る ガスで眺望は全く得られない 帰路にここからの展望を楽しんだが 堂々たる利尻岳の山容が聳え 足元には登ってきた尾根筋が広がり 港や礼文島 稚内などを見る事が出来 なかなかのもの 山頂に立ってから見上げているがこれからあそこまで登るのかと思うと疲れ具合ではかなり負担がかかりそうだねと家内と話す

 霧に包まれ 何が待っているかわからないままルートを行く ここから九合目までは尾根歩きで軽いアップダウンがある程度 ルート脇に次々と見事な花が顔を出し 少し行っては立ち止まり写真撮影を楽しみながらのルート エゾヤマゼンゴ イワギキョウ ミヤマアキノキリンソウ サマニヨモギ ミヤマセンキュウ シュムシュノコギリソウ オニシモツケ ミソガワソウ エゾニュウ イタドリ クルマユリ チシマアザミ サラシナショウマ シラネニンジン オオガサモチ などを楽しみルートを行くと山小屋に出る 山小屋では先に登られた方がこれからの作業の準備をされているようだった

 小休憩して出発する 花の道はまだまだ続く イブキトラノオ ハンゴンソウ イワベンケイ ゴゼンタチバナ リシリブシ ヨツバシオガマ エゾウメバチソウ ヤマハハコ ハイオトギリ レブントウヒレン等を見つけながら登って行く 草原のルートから次第に礫岩が増えてきて九合目に出る 九合目には携帯用トイレのブースがある 九合目の標識にはいよいよ正念場と記載されており これからの登りが厳しいと予想される 相変わらずガスが出ており山容も登ってきたルートも何も見えない 家内が休んでいる間に周辺を散策していたら 礫岩の中に咲いている花を見つけた どうやらシコタンハコベらしい 時間をかけながら登っているとこうした楽しさもある

 いよいよ正念場にとりかかる 傾斜がきつくなってくるのと 足元に礫岩が増え 足元の固定が難しくなって来る ステップを上手にきざみ 体重移動をうまくやってゆけば登って行けるのだが それが出来ないと大変だ 家内はロープを頼りに一歩一歩登っている ルートは大変だがお花畑が急に広がってくる これはすごい これまでも沢山の花に出会い喜んでいたが 一面に広がる斜面には花が一杯 ガスがすこしづつではあるが消え視界が開けてきて雪渓も見えるようになってきた 短い花のシーズに一斉に花達が咲き出している 厳しいルートにもからわらず次々と展開する雲上の花園を楽しみながら登って行く イワギキョウ イブキトラノオ ミヤマアズマギク シコタンハコベ ミソガワソウ オオカサモチ ミヤマアキノキリンソウ シュムシュノコギリソウ ミヤマセンキュウ イタドリ バイケイソウ チシマフウロ リシリトウウチソウ カンチコウゾリナなどの花や全面に広がるお花畑の写真を撮りながら登って行く この辺りのイブキトラノオはピンク色をしている 違う花かと思う程である

 通行注意の標識があり土壌が崩壊しているので路肩に近づかず 追い抜きやすれ違いをしないようにと記載されており 登り専用 下り専用のルートがある 下りは結構勾配が急だ 下山時は更に大変だ 先に登っておられた山頂付近の調査と修復をしていると話されたお二人がここで作業を行っておられた やがて前方のガスの中に山頂らしきピークが見えてくる 花はまだまだ続く 色鮮やかなエゾツツジが顔を見せ ハイオトギリ リシリリンドウ エゾカワラナデシコ シコタンソウが顔を見せる イワギキョウもあちらこちらで咲いており楽しませてくれる イワギキョウを撮った写真を良く見るとシコタンソウらしい花が写っていた そして山頂に立つ 時間を見ると九合目から76分要していた 花に気をとられ時間の事を忘れていたが結構難航した

 山頂には3名程おられた 登るやすぐに いい時に登って来られた 見る見るガスが消えて行く 登ってきた時はガスで何も見えなかった 20名ほどいたが皆 降りて行かれた それでもと思って待っていたらガスが消えてきた と興奮気味に説明してくれた 本当に 見る見る視界が開け すばらしい景観が広がる こんなプレゼントが待っていてくれたとはと家内と大いに喜ぶ 私が単独登山していたらきっと先に下山していただろう ありがたい事だ

 登った所は北峰で標高1718m 少し先に南峰1721mがあるが崩落が進んでおりここから先は立ち入り禁止と伺う ローソク岩を初めとする山頂からの景観をカメラに収める 山頂周辺もお花畑が広がっておりリシリトウウチソウ エゾツツジ サマニヨモギ イワギキョウ ピンク色のイブキトラノオ エゾヤマゼンゴ など岡山の山ではお目にかかれない花があちらこちらに咲いている 花や景観を楽しみながら昼食をとる

 昼食を終え下山する 登ってきたルートを戻る 家内は急な斜面を降りるのに難航し お尻をついたりしながら一歩一歩降りて行く 沓形ルートからの合流点付近で作業をされている方がおられた 登るときお会いしたお二人とご一緒に作業されておられるとの事だった 沓形ルートから登って来られる人は多いかと伺ったがいや 鷺泊ルートがほとんどとの事 ルートの崩落が進んでいると話しておられた なんとか九合目まで下山し一安心 そこでお会いした方は沓形ルートを登られ鴛泊ルートを降りられるとの事 合流点からの下りが結構急でしたね ここを登るなら沓形からが良かったと言われていた 沓形ルートは痩せ尾根もあるが一部を除いてたいした事はないとの話 一部を除くわけには行かないし 沓形ルートを降りられますか? と伺うと 遠慮したいとのお話でしたので 結構難しいルートがありそうな感じたった

 一休みして下山開始 山小屋を経由して長官山の八合目に降りる 登りの時はガスで何も見えなかったが素晴らしい景観が広がる 山肌には雪渓も見られる あの山頂に立ったのかと思うと良くやったと思う また 海の方も見通しがきき鴛泊港も確認出来る 900m弱の標高ではあるが海岸線までの標高差をたっぷり楽しめる 

 八合目からの下山は疲れが溜まってきたのかかなりきつそう 気力を振り絞って降りて行く 少し降りては家内が降りてくるのを待つ おかげで降りる途中も振り返って景観を楽しむ事が出来た 六合目からの展望も見事 八合目の長官山に至る斜面を一望出来る ここで残りの最後のお茶を飲み降りて行く 六合目を過ぎると展望は得られない 少しの段差を降りるのもきついようなので手をささえてサポートしながら降りて行く 五合目で17:30になってしまった 五合目から下を見通すことが出来た ガスが出てきて海は見えなかった

 一歩一歩踏みしめながらなんとか甘露泉につき のどの渇きを潤し 登山口に下りる 19:10と薄暗くなってきたがまだ電話番号を確認する事が出来 宿に連絡 迎えに来て戴く 忙しい時間ではないかと心配したが10分もしない内に迎えに来て戴く この時間帯に降りたのは今年の記録だが まだまだ強者がいますよご心配なく 降りてこれて何よりとねぎらって戴く 宿を一緒に出た方は5時過ぎに下山 一緒に少し待っていましたとの事 忙しい時間帯に迎えに来て戴いて申し訳けないとお話すると 今晩の宿泊は二組ですからご心配無用です お風呂に先に入ってから食事にしましょうと 至れりつくせりのおもてなしを受ける 宿についたら 先のお二人は食事を終えたところ 心配していましたとねぎらいの言葉を受ける 

 新しい思い出がまたひとつ出来た



アプローチ
 北海道の山を訪ねるのは2001年以来 今回は空路で岡山から千歳へ飛び 旭川の友人の家を経由してJRで稚内へ そして フェリーで利尻島に向かう 前日の夕方に利尻のペンションに宿泊 当日5:00に宿を出発 宿の方に登山口まで車で送って戴いた 下山したらそこの公衆電話で電話をすれば迎えに行く 携帯だとあの辺りからでないと電波が弱いから など説明を受けて出発する

 そもそも利尻岳を登ろうとしたきっかけは旭川の友人が倉敷を訪ねに来てくれ 利尻に行った話を聞いた 山には登らなかったがなかなかいい所だ 雨が多い所だが7/20は晴れるという実績があるので行くならその時期が良い などと伺い そうかそれなら行ってみるかと出かけたもの

 山と渓谷社の日本百名山のガイドブックを読むと ガレ場 やせ尾根があり家内には無理かなと思っていたが地形図を調べたり インターネットを調べたりするとそのルートではなく 鴛泊コースを往復するコースが距離はあるものの難しい所は無さそう 一緒に行けそうだと話し 一緒に登る事とする ピストンコースなのでいろいろな対応がとれる そうして 一緒に登る事として準備を行った

 宿のインターネットのページには登山口への送り迎えに○印がついている 具体的な事は記載が無かったので訪ねると チェックインの時に登山かどうか確認して 登山者は朝5:00に車を出し 登山口(鴛泊コース)まで送りますとの事 宿からのアプローチの心配は無くなった

 前日チェックインして登山に関して伺う 登山時間は午前中に山頂に着き 3:00から4:00頃には降りて来る いくら遅くても5:30なら大丈夫と私の登山計画を見て 話して戴いた あと 携帯トイレの事がインターネットに記載があったので それを尋ねる 宿に準備してあり それを購入する そうして準備を完了する

 目覚ましを用意して来なかったので朝5:00起きが心配であったが 3:30頃には明るくなり4:00頃から起き出す 朝方雨が降ったようで路面が濡れている まだ霧雨状態 天気予報を見たりして 今日登るか それとも伸ばすか(伸ばしても良いようにスケジュールには余裕を持っていた)迷ったが 伸ばしてもあまり天候は変わりそうもないので行く事として 出発する 宿からは私達夫婦ともう一組 福島から来られたと挨拶を交わす