草の根ハシラ

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6.29.sun 

 朝起きてまずひと言。
「おお、晴れてる!」
 最近の天気予報ってよく当たるなあ。というわけでそそくさと自転車をひっぱり出した。じつは自転車に乗るのは2週間ぶり。毎日雨ばっかりだったし、それにヒザをちょっと傷めてしまってたので、無理はいかんと乗るのを控えてたのだ。まあしかしいつまでも乗らないってのも、せっかく自転車に慣れてきた身体によくないだろうと、リハビリを兼ねてのポタリング(散歩気分のサイクリング)としゃれこむことにした。
 あてもなく走りはじめたら、おりよく追い風。ほどよく晴れた空と気持ちのいい風にペダルを漕ぐ脚も軽やかに、気がつけばサイクリングロードに乗ってミニツーリングへ突入。ちょっとそこまでのつもりだったのにブラブラと4時間も走ってしまった。総走行距離56km。リハビリにしてはちょっと走りすぎたか……。

 ポタリング途中にミジェットを見舞う。ブレーキ回りのオイル漏れが発覚したミジェットは、4輪とも外された状態でリフトアップされていた。この際だからとトランスアクスルってやつをまじまじと観察。ほほう、こうなってんのか。
 ショップの人とミジェットの話をしつつ、やがて話題はミジェットのそばにドンガラで置かれているオースチン・ビッグヒーレーのことに。バブルの頃に日本へ入ってきたというそのヒーレー、見た目はきれいだったけど、ひと皮むけばサビまみれ。めぐりめぐってそのショップに預けられ、フルレストアのまっ最中なのだという。「いやー、大変ですよ」と苦笑いしながら話してくれたそれは、レストアの大変さをあらためて思い知らされる内容だった。
 板金屋にひと目で作業を断られたというほど腐りが進行していたそのヒーレー、ボディに関しては気の遠くなるような作業の繰り返しだったという。腐って穴があいたフロアやスカッドプレートなどの修復に頭を痛めたのはもちろんのこと、取り寄せたフェンダー(ボディ前半部分の左右)が5mm長かったためボディが組めず、やむなくドア前端を削ればウィンドウのモールが合わず、そこを直せばこんどはまた別の所が合わなかったり……車高がどうも高すぎるのでリアサスの8枚ぐらいあるリーフを一枚一枚左右から引っ張って延ばして厚みを薄くして車高を下げたり……センターロックのホイールを4本ナット留めにしようとパーツを取り寄せたらホイール振れするほど精度が悪かったり……何十個もあるラバーブッシュ類はひとつひとつ手作りで作り直したり……。ほかにも電気ハーネスの引き直しや塗装があるし、もちろんエンジンやミッション、足回りも全部バラして組み直し。レストア開始から2年あまり、オーナーが「気長に待つからじっくりやって」ということなので、まだ作業は進行中だという。ちなみにその隣では、ショップの人のものだというフィアット500がレストアされるのを待って眠っている。
「とにかく、ここを直せばあそこが気になり、そこを直せばまた別のところに手を入れ……。いたちごっこです。でもね、エンジンやミッションはなんとでもなります。ボディがイッてしまったらもう大変ですよ」
 なるほどそうだろうと思った。キムラのべレットもシャシーの一部が腐った、ただそれだけで手放す憂き目にあったのだ。なんてこと考えつつ、隣のミジェットを見れば……ボディ下部にポツポツと現れた浮きサビ。表面がこれなら中はどうなってることか……あまり想像したくない。
 フルレストア。この一世一代の大作業をミジェットでやってしまう日が、はたして来ることがあるんだろうか……。このままずっと乗り続けようと思えば、いつかフルレストアをするかどうかの決断を迫られるのかもしれない。
 ……まあ、そんな先のことはわかんない。あれこれ心配してもしかたがないから、今という日々を大切にしよう。とりあえず早く戻っておいで、ミジェット。


6.27.fri 

 およ。テレビでタイタニックやってる。去年だったか、フジでやったときはジャック(ディカプリオ)の吹き替えが棒読みでどうしようもないぐらいひどかったなあ。妻夫木っていうアイドル(?)の名前、ぼくはこの一件で知りました。下の名前は忘れたけど。今回のはいいんじゃないでしょうか。
 なんだかんだ言われるこの映画、ぼくはかなり好きです。ちなみに、タイタニックの船首で手を広げるあの有名なシーン、背景の夕空はあとから合成したのかと思いきや、撮影時の実際の空だとか。キャメロン監督曰く、思いがけず現れた奇跡のようにきれいな夕空。空といえば夜のシーンの星空もきれいだった。いろんな意味で、こういう映画はしばらくできないだろう。

 車検のために入院中のミジェット。ショップから今日連絡があり、リアのブレーキにオイル漏れが起きていることが発覚。うげげ! マスターシリンダー付近にも漏れが見つかり、フロントのパッド交換とあわせてブレーキ全般に手を入れることになった。いちばんこわいのは、動けなくなるトラブルよりも、止まれなくなるトラブル。なにかが起きる前に見つかったのはこれ幸い。とはいえ……(泣)。

 今年は梅雨パワー全開。今日も今日とて雨模様。でも、あと20日もすれば夏がくる。梅雨が全開なら夏も全開でいってほしいね。ミジェット治ったら南へ走ろう。


6.23.mon 

 ふと、気がついた。
 浜田省吾の「MONEY」と嘉門達夫の「ハンバーガー・ショップ」はコード進行がおんなじだ、と──

 いや、ただそれだけなんですけどね……。


●MONEY
Em C Am
この町のメインストリートわず か数百メー トル
D G B7 Em
さびれた映画館とバー が5,6

●ハンバーガー・ショップ
Em C Am
徹底した社員教育 行き届
D G B7 Em
マニュアルに則り 同じセリフ しか言えない


6.21.sat 

 えー、前回のモノローグで『マトリックス/リローデッド』の感想を書いてみましたが、これはかなり客観的な感想でして、割合でいうと客観8:主観2ぐらい。別の言い方をすれば、あたりさわりのない評論的にまとめてみたつもりなので、今回はぼくが感じたままを書いてみます。

 結論からいうとこの『マトリックス/リローデッド』、いまひとつだった。この映画だけを切り取って観たかぎり「うーん?」なのであり、少なくとも前作『マトリックス』で受けた衝撃は感じなかった。映像がどんなにド派手になっても、見せ場がうんと増えたとしても、『マトリックス』が世に与えた衝撃を越えることはできなかったといのが正直なところ。いや、映像の技術(あの高速スローモーションの“ブレット・タイム=マシンガン撮影”)とか世界観の広がりとかエンターテイメント性とか、そういうひとつひとつのパーツでは前作を越えてるのはまちがいないし、それは前回も書いたこと。でも1本の映画として受ける印象としては、やっぱりオリジナル(前作)にはかなわない。これはもう続編の宿命なんだろう。

 なんでそう感じるんだろう、と考えてみるに、今回の『マトリックス/リローデッド』は饒舌すぎるんだと思う。たとえばアクションシーン。前作では破天荒なくせにストーリーの中に溶け込んでいたアクションシーンが、今回はどうも「わざと付け足した」という印象が強いのだ。「なんでここで戦う?」とか「なんでこういう見せ方する?」みたいに、どうもその場面の必然性というのが感じられない。前作より見せ場をたくさん作らなきゃいけない、という事情はわかるけど、ちょっとくどいと正直思った。映像だけ切り離してみればすごいんだけど。饒舌といえば、意味なく長いシーンもけっこうあった(観ればすぐわかると思う)。あのへん、もうちょっとダイエットできなかったかなあ。けっこうダレました。
 それからもうひとつ。今回の『マトリックス/リローデッド』は難解だ。世界観は広がったかわりに、ストーリーはディープでカルトな性質が強くなった。別の言い方をすれば“マニア受け”する映画になってきた、ということ。これは映画の製作側も承知のうえらしく、「ついてこれない人は放っておく」という主義らしい。とにかく展開に謎が多いし、SFやコンピュータの素人にはわかんない用語が、物語の鍵となる重要なシーンでどんどん出てくる。素人さんなぼくには、展開についていくのがちょっとしんどかった。

 そんなこんなで、劇場を出たぼくはひたすら「うーん?」とうなっていた。どうにもコメントしようがないのだ。おもしろいけど「こいつはすげえや!」とヒザをポンと叩く感じでもない。おもしろいけど、人にすすめるのはためらわれる。
 このいまひとつ腑に落ちない感覚の原因は、やっぱりこれが単体で完結する映画じゃないからだろう。そう、この映画は11月公開の『レボリューションズ』とセットなのだ。2つの映画は強くリンクしていて、それぞれ単品で評価すべきじゃないのである。前作『マトリックス』は、あれはあれで完結してるからいい。でも今回はそうじゃない。
 ぼくは次回の『レボリューションズ』は観にいきます。もうここまできたら、最後を見届けないとどうにもスッキリしない。『レボリューションズ』を観終わって、なにもかもすべての伏線がつながってから、すべての謎が解けてから、あらためて1本の映画として『リローデッド』と『レボリューションズ』を観よう。そしたらまた感想というのもちがってくるかもしれないし。
 というわけで、前回書いた4タイプの観客でいえば、ぼくは2番目。

補足:『リローデッド』で「んー!?」だったのは、CGバレバレのシーンが多かったこと。とくに格闘シーン。たとえば
100人のスミス vs ネオのシーン、なんでも実際の俳優の動きとCGを融合させて作ってるらしいけど、肝心のシーン(スローモーションでカメラぐるぐるのとこ)とかはもろCG。しかもどういうわけか質感がまるでない。『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』でも思ったけど、人間(もしくは人間に近い演技をするもの)をCGで再現するのはまだちょっと無理があるような……。精巧に緻密に作ってるんだろうけど、本物の俳優とCG俳優の差はまだまだハッキリしてる。CGのところなんて、格闘ゲームのデモを観てるような感じだった。ハイウェイで車を踏み台にしてジャンプするエージェントにいたっては、作りかけかと思うぐらいもろCG。しかもこれまたスローモーション。ちょっと興ざめだった……。


6.19.thu 

 前作は壮大な物語の序章にすぎなかった──って、これじゃ『ロード・オブ・ザ・リング〜二つの塔』の感想とおなじだなあ。でもまあそんな感じです、『マトリックス/リローデッド』を観た感想。マトリックスを越える映画はマトリックスしかなかった、とあらためて思った。
 かつてないVFXとクールな映像美学(なんか書いててはずかしいフレーズだ)で映画界に革命を起こした前作『マトリックス』。続編の性として、なにもかもこの前作を越えなければいけないのが大前提だった『リローデッド』は、いろんな意味でそれに成功しているのではないかと思う。
 まず映像からいえば、これはもう圧倒的。すこし前にたまたまNHKのBSでジャッキー・チェンやブルース・リーのカンフー映画を観たんで、それを頭の片隅に残しつつ『リローデッド』の格闘シーンを観たら、まるで異次元。前者は役者のアクションひとつひとつが個々の演技で、その連続としてのアクションシーンとなっていたのに対して、『リローデッド』のそれにはまるでそんな思想はない。例のあのシーン(以下ネタバレ要反転=
100人のスミス vs ネオ)だけで主役のキアヌ・リーブスは500種類のアクションを演じているという。その数もすごいが、それがめくるめくスピードで息つぎなしに怒濤のごとく展開するんだから、観客はアクションのひとつひとつを味わうヒマなんてない(なんせ100人対1人だから)。その圧倒的な物量作戦におなかいっぱいって感じ。
 ところでこのシーン、冷静に観ればじつはかなり笑える。実際ぼくはちょっと笑ってしまった。ハイウェイでのチェイスシーンも一歩まちがえればコントみたいなことやってるし、ここではけっこう笑ってしまった。それでもかろうじて「かっこいい」「すごい」と思えてしまうのが『マトリックス』という映画のもつ魅力というかパワーじゃないかと思う。仮想現実っていう前提とクールにキメキメな演出がなければ、あそこはたぶん場内爆笑のシーンになってしまうだろう。“かっこいい”と“三枚目”はギリギリのラインで存在しているんだとあらためて感じてしまった。
 もうひとつ、前作を越えていたのが「世界観」。「マトリックスとは何か?」という疑問から幕を開けた前作は、途中からそのへんがいったん脇に置かれてアクション中心になってたけど、今回はこの「マトリックスとは何か?」が大きなテーマになっている。さらにいえばこれがかなり難解なのだ。正直いって、ぼくのピーマン頭では物語についていくのがやっと、のつもりでじつはかなり置いてけぼりをくらった。家に帰ってからネットあさったり雑誌読んだりして、ようやく「ああなるほど」と理解できたような気になったけど、それでもいまだにまだわからないことがたくさんある。まあこのあたりは次回の『レボリューションズ』で明らかにされるんだろうと期待して、あまり深く考えないようにしてるけど。この点で『リローデッド』を観た観客は4つのタイプに分かれると思う。
・世界観に強く惹かれてマトリックスワールドにどっぷり浸かり、次回作までに自分なりのストーリーを予想してまで観にいく人
・せっかく観たからなんとかついていこうとするし、アクションシーンもやっぱり楽しみだから次回も観ようかなという人
・前作はかっこよかったけど、今回はわけわかんないから次回作についていけるかどうか不安で観にいくかどうかわかんない人
・今回でマトリックスに完全に置いてけぼりをくらって、次回作はレンタルで観るぐらいでいいやの人(もしくはもう観ない)
 思うに、このうち3番か4番の“置いてけぼりくらった人”がけっこう生まれてしまったような気がする。つまり『リローデッド』で『マトリックス』は独自のディープな世界を創り上げてしまったということ。ついていくか、やめるかは本人の自由。そう、赤いカプセルを飲むか、青いカプセルを飲むかの選択みたいに。


6.13.fri 

 俳優グレゴリー・ペック死去。享年87歳。正直に言うと、もうとっくにお亡くなりになってたと思ってました。しかし『ローマの休日』のグレゴリー・ペックはかっこよかった。“ハンサム”という言葉がスーツ着て歩いてるみたいにかっこよかった。告白:社会人になってスーツを着るようになったとき、ネクタイの先をシャツとズボンの間に入れてました。もちろん『ローマの休日』でグレゴリー・ペックが演じた新聞記者のマネ。ダウンタウン松本のマネではありません。そんなわけでご冥福をお祈りします。

 会社で1階から4階へ上がろうとエレベーターに乗る。4階のボタンを押し、扉が閉まる。やがて上昇をはじめるエレベーター。一緒に乗り込んだ会社の人と、ですよねーダハハ、なんてバカ話してたら、いきなり「ガクン!」と衝撃。え? なになに!?……と思う間もなく、今度はゆっくりと下がっていく感覚が。まもなくチンと扉が開いたそこは1階。会社の人と顔を見合わせ、次の瞬間スタコラと外へ飛び出した。
 ほんま頼んます……。寿命縮まりました……。
 ああ、そういえば今日は13日の金曜日。

■新しく入手した自転車アイテム。
その1:リアフラッシャー
 名刺よりひとまわり大きいぐらいの赤いライトが乾電池で点滅します。ビカビカビカビカ。かなり激しく点滅します。目立ちます。これをデイバッグのポケットに差し込んで後ろ向きに点滅を見せます。今夜これつけて帰ってる最中、信号待ちで女子高生2人組に「ヤ〜ンなんか光ってる〜」と笑われました。渋滞の車の横をすり抜けてたら、ミニバンの助手席のお姉さんに「ねー、あれ光ってる〜」と笑われました。笑わないでください。いや、笑ってもいいから、赤い光が道路脇で点滅移動してたら避けてやってください。車道走ってたら車に追突されるんじゃないかといつもヒヤヒヤするんです。どんぞお願い。ペコリ。

その2:マッドガード
 つまりは泥よけ。昨日の夜、雨上がりの道路を泥よけなしで走ったら、背中とお腹と顔が泥水だらけになりました。さっそくマッドガードをゲットしたら、今日は背中はノープロブレム。顔とお腹はあいかわらず泥だらけ。フロント用が在庫切れだったのさ……。

その3:レインウェア
 つまりは雨合羽。ちょいといいもの買おうかと新素材のウェアを試着したら、着ただけで内側がほんのりとあたたかい……。うーむ、やっぱりスリーシーズン用は暑い! これで走ったらサウナだな、と断念。かわりに脇の下がメッシュで空気が抜けるようになった自転車用のレインウェアを購入。雨降りの今朝、さっそくこれで会社まで。
 ……会社に着いたら汗ぐっしょりだった。やっぱ何やっても暑いのねん……。雨に濡れるか汗で濡れるかのちがいぐらいか。雨嫌い……。

その4:七分丈パンツ
 勇気を出してユニクロのレジに出したさ!(これはあんまり勇気いらんか) 勇気を出して履いてみたさ! プッ(←自嘲の笑い)。勇気を出して通勤に使ってみたさ! ……およよ? とっても快適! ゆったり裁断に裏地メッシュで脚まわり動きやす〜。通気ポケット付だから汗もあんまりかかな〜い。スネ毛ボーンも、いざ走りはじめたら忘れちゃいました。あれだね、競泳用水着もいざ泳ぎはじめたら恥ずかしいのどうのって関係なくなるし。
 ちなみにこれ、表地は撥水加工してあるナイロン風素材なんで、少々の雨はへっちゃら(自主的に撥水スプレーをあとからしたし)。これで1,900円は安いぞユニクロ!


6.9.mon 

 さてさて久しぶりの更新。そろそろ梅雨の足音がヒタヒタと迫ってきておりますが、みなさんいかがお過ごしですか。
 ここ最近の『雑草モノローグ』は自転車ネタがなにやら目につくようですが、すんません、ぼくにとっていま旬なネタなんです、自転車。身近な出来事から今後の課題、あれが欲しいぞこれを買わねばという物欲にいたるまで、そのほとんどが圧倒的に自転車関連なのです。
 というわけで今回も自転車ネタばっかり。

 去年のこのコーナー見返してたら、6月11日が梅雨入りだった(中国地方)。そろそろ自転車用の雨対策をなんとかしないとやばいなあ。いままでは雨が降ってたら「ま、雨具ないし」と涼しい顔してミジェットで通勤してた(涼しいとはいいつつ車内は蒸し暑くてサウナ状態なんだが)けど、来週には車検その他でミジェットが入院しちゃうから、そうも言ってられなくなるわけである。
 その自転車。ついに念願のスリックタイヤ化を敢行! ぼくのGT LTS-4000はクロスカントリー型のMTBで、いわゆるオフロード走行を得意とするタイプである。しかし少なくともぼくにとってLTSは通勤マシンであり、自慢じゃないが買ってからこのかたアスファルト以外を走ったことはない(あぜ道とかをちょろっと走ったことはあるけど)。つまりオンロード率ほぼ100%なわけで、そういう用途じゃゴツゴツしたブロックパターンのタイヤは「重い、走行抵抗大きい、グリップしない」の3悪ばかりが目についてメリットを感じられないのだ。
 というわけで「軽い、走行抵抗少ない、グリップする」のスリックタイヤ(実際は溝があるからセミスリック)に変えたら、まー奥さん! 目からウロコがボロボロ落ちましたのよ! 漕ぎ出しで「軽い!」、加速して「伸びる!」、巡航して「スピード上がった!」。走行フィールが劇的に改善されたのである。いやあ、タイヤってやっぱ大切。おかげで向かい風にもかかわらず、自宅→会社間の区間タイムと平地最高速度を更新できました。

 夏が近づいてきて困っているのが通勤時の服装。いまはワイシャツ+ネクタイ+スラックス(というのか?)+ウォーキングシューズというサラリーマンルックにデイバッグを背負っているのだけど、もうすでにこの格好じゃ暑くてたまりません。会社に着く頃には汗ボタなのだ。脚の動きで激しくこすれるうえ汗まみれになるスラックスの傷みも心配。
 で、いま考えているのが、Tシャツ+七分丈パンツ+スポーツシューズにデイバッグ(この中に着替えを入れておく)という組み合わせ。すでにドライ素材のTシャツはゲットした。シューズもとっくに揃えている。あとは七分丈パンツ……。ああ、七分丈パンツ……。思えば中学以来、ジーンズで年中通してきた自分としては、あの七分丈パンツというやつにどうしても心理的な抵抗を感じてしまう……。きったないスネ毛まる見えだし、足短いのバレバレになるし、でも自転車漕ぐにはあれが最適だし。じつは先日ユニクロでうまげな七分丈パンツを見つけ、勇気を振り絞って試着室で着てみたのだが……。鏡に映った自分の七分丈パンツ姿に愕然とした。早い話が見苦しいのである。
 自意識過剰? そうかもしれない。誰もあんたの姿なんか見てない? きっとそうだろう。
 でもやっぱり抵抗がある。あるったらあるのだ! これはあれに似てるね、そのむかし水泳部に入部して、あのピッチピチで表面積が少ない競泳用水着を初めて履いたときの感覚。プールサイドでモジモジしたよ15歳の夏……。
 ああ神様、ぼくに七分丈パンツを履く勇気を与えたまえ。

 物欲といえば、最近ぼくの心を「ひとついっとく?」と揺さぶっているのがサングラス。これまた自転車用である。「自転車にサングラス?」と思われる貴兄もいらっしゃるかもしれないが、ちょっとマジ漕ぎすれば30km/hはすぐ超えるし、下り坂じゃ40km/hに迫るという状況じゃけっこう必要なんです。それにコンタクトしてるもんで、ちっちゃいゴミがふいに目に飛び込んできたら「ぬおおっ!?」と悶絶&片手運転&前見えない、なんてことにもなるわけで、30km/hで車道を走ってるときにそういう事態に陥るかもしれないと考えると、安全対策としてはけっこう必要というより、かなり重要なパーツと考えてます。スキーや水泳するときのゴーグルと思っていただければ、その必要性がわかっていただけるかと。
 さてサングラス。草の根貧乏なチャリダーとしては「安くてカッコよくて機能に優れてるやつ」なんて都合のいいことをまっさきに考えるわけだけど、もちろん「んなものはありゃしねー」のが世の常。お金を惜しめばそれなりのもんしか買えず、お金さえ出せばいいものが買える。あたりまえだけど、この絶対的資本主義図式を前に激しく頭を抱えるのが小市民の性だったりするわけである。
 伊達でかけるなら安物でいいかもしれない。機能についてあれこれ目くじら立てる必要もないだろう。しかし前述したように、自転車乗るときのサングラスは“機能性第一”なわけで、そのあたりあんまり妥協はしたくないのだよバン! などと机のひとつも叩いて立ち上がってみたいのである。
 ホームセンターとか雑貨屋で、あのくるくる回るスタンドに飾ってる980円ぐらいのサングラス。そのなかに「もしかしてすごくコストパフォーマンスが高い、めっちゃカッコよろしいのがあるかもしれない!」と探してみたけど、自転車用に使えそうなのはOAKLEYのまがいものみたいなやつか、もしくはひと昔前のスポーツ選手がこぞってかけてた「左右の眼がつながったウルトラマン」みたいなミラーコートばりばりのやつ、のモドキ。形こそいかにもそれっぽく造ってあるけど、そこはやっぱり980円。本来の役目であるUVカットもおぼつかないところだ。買って絶対後悔しそうなものばかりなのである。
 そんなある日、フラリと立ち寄ったメガネ屋で見つけたのが『RUDY PROJECT』というメーカーのグラス。OAKLEYと並んでサイクル業界では定番中の定番なメーカーだ。定番というだけに機能的には申し分なく、スチャッとかけた瞬間「おお、とてもよく見える! しかも軽い! フィッティングぐんばつ(死語)!」。でしょーでしょー、と店員も揉み手でスリ寄ってくるほどの勢いがあるのだ。
 デザインはいわゆるスポーツグラスのそれだが、イタリアのメーカーだけあってとにかくイカす。コメントはイカしてないが、とにかくイカしてるのである。なにより機能的に優れているという点にぼくは強く心を動かされた。「防風/防塵/紫外線カット/良好な視界確保/軽量/ズレない」という機能的命題を全て満たしている。今回のような場合、やはり優先すべきは機能なのだとあらためて実感。やっぱり本物はいいものなのだ。
 しかし!
 ここでもぼくは心理的な抵抗を激しく感じてしまった。
 いくつか用意されているレンズの中で「これが一番見えやすいな」と“機能面で”筆頭に上がったのはレーシングレッドと呼ばれるレンズだった。つまり赤いのである。真っ赤なのである。スポーティーでイカしたデザインで、しかも真っ赤なレンズ。緑の中を走り抜けてく真っ赤なグラサン〜♪ はっきり言って「似合わない」というやつではないか、と思うわけである。そういえば試着したぼくを見て店員が「ハハ、ハ……」と乾いた笑いをもらしたのも気になるといえば気になる。
 さらに!
 こやつには1万6,000円という値札がついている。
 イチマンロクシェンエン。
 福沢諭吉、新渡戸稲造、夏目漱石、各1枚ずつというオールスターな値段である。
 たっけーよ!
 いや、OAKLEYのジュリエットとかロメオ(イチローがかけてるやつ)が諭吉3人がかりでも買えないことを考えれば、むしろかなりのコストパフォーマンスだといえよう。
 でも高い。やっぱ高い。
 ぼくの中で「サングラスに1万6,000円」という行為は明らかに許容範囲を越えている。
 しかも真っ赤なのである(まあ黒いレンズ選べばいいし、そもそもレンズはワンタッチ取替式なのだが)。
 ああ神様、ぼくにRUDY PROJECTを買う勇気を与えたまえ。


 なんかあれだね、こんだけネタがあれば『草の根MTB日記』書けそう。




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