大山三鈷峰 振子山・野田ヶ山に降りる


標高 1516m    難易度 ☆☆    登り115分(宝珠越) 下り180分(川床へ) 道路30分   鳥取県
倉敷からの距離   148Km        登頂日 ’97/06/07   ガイドブック 

中ノ原スキー場10:10−ロープウエイ頂上10:30−宝珠山10:42−下宝珠越え合流点10:48−宝珠沢分岐11:38−ユートピア分岐11:55−12:03大山三鈷峰12:45−13:05ユートピア上分岐13:10−13:30振子山13:36−13:55親指ピーク14:00−野田ヶ山14:20−14:50大休峠14:55−川床15:53−中ノ原スキー場16:25

登山
 大山三鈷峰(だいせんさんこほう1516m)は三度目になる 今回は帰路振子山(ふりこやま1452m)野田ヶ山(のだがせん1344m)を越え大休峠〜川床のコースを歩いた 4月にはまだ残雪があり北壁の崩壊の音が不気味であったが 雪は無く山肌は緑の絨毯に覆われ精悍な顔から穏やかな顔への変身をとげていた 40日程度でこれほどの変化をとげる自然の力には実に驚かされる

 初めて大山三鈷峰を尋ね,大神山神社から下宝珠越え登山口のルートを間違えた時に中ノ原スキー場からの道を登れば分かり易いと教えてもらった事がある 今回はルートが難しくなければ大山三鈷峰から振子山〜野田ヶ山に行く予定である事から帰路にも都合の良い中ノ原を選んだ

 大山寺周辺と違って賑わいが無く 車も適当に駐車する

 中ノ原スキー場のリフト沿いにリフトの頂上まで登ってゆく 草原の中を歩くのは気持ちが良い レンゲの花が咲き乱れ白が基調だが所々赤い色のレンゲが咲いている 良く見て行けば色々な花が咲いているのであろうが グングン足を伸ばし高度をかせぐ 豪円山がどんどん低くなり 豪円山に隠れていた孝霊山751mも顔を出し 弓が浜の美しい曲線もくっきり見える 駐車位置が標高800m程度でリフトの頂上は丁度1000mに当たる

 リフトの頂上の構築物の右手に登山道がある 宝珠山を越えて大神山神社からの下宝珠越えルートに合流する 登山道は一本道であるが宝珠山山頂で分岐があるので右手に進む

 下宝珠越え登山道に合流して間もなく 大山三鈷峰がその堂々たる容姿を見せる また右手方面のブナの樹林の合間に大山北壁が顔を覗かす 北壁の落石音はしていない 北壁の岩峰には緑が生育し険しい北壁に生物が生育している状況を伺う事が出来る

 ユートピアのナンゴククガイソウの群落の写真があり 雪が溶けると急に草木が芽を伸ばし・・・と記載があり 期待していたが 花を咲かせるのは8月のようであり時期が早かったようだ 大山三鈷峰周辺を良く見ると結構色々な花が芽を出している 特にイワカガミが素晴らしい 森林公園ではとっくの昔に散ってしまっていたがここでは今を盛りに山頂周辺 や切り立った岩峰に花をつけている 宝珠越登山道でも良く見かけた 切り立った岩峰にイワカガミが咲いており大山北壁の背景と調和し目を楽しませてくれる 大山三鈷峰の切り立った岩峰の側壁を良く見ると 何とそこにもイワカガミが岩峰一面に咲いている イワとの調和を楽しむように 気が付いた時は声が出るような驚きを感じた 岩場の側壁に生育しているその生命力の力強さは何と表現したら良いのだろう

 マイヅルソウもあちこちで小さな可愛い花を咲かせており楽しませてくれる 余り沢山咲いており どこにでもある花かと思っていたが調べてみるとマイヅルソウである 撮影した写真が手ぶれしており残念であった ツガザクラも見つけた 小さな花を沢山つけており春をまちかねたように咲き乱れている ノビネチドリというラン科の花も咲き出していた ユートピア周辺は花はまだであったが生育している草木の勢いに圧倒される ここでナンゴククガイソウが咲くのかと思うと楽しみである

 三鈷峰山頂ではすでに数名登っている 話をすると米子からで毎月のように登っているとの由 7、8月頃が一番花が沢山あるとの事 前回私が挑戦した天狗峰はやはり怖くて登っていないとの事 振子山・野田ヶ山ルートはさほど難しい所は無い 親指ピークは結構切り立っているが心配する事は無いと教えてくれた

 大山三鈷峰で一息入れ 花や景色を写真に撮りユートピアを経由して振子山に向かう ユートピアから急な傾斜を下ってゆく これまで下に見えていた大山三鈷峰も次第に高度を得てくる 大山の景観も微妙に変化を遂げてくる 大山三鈷峰の東側の壁を見るのは今回が初めてであるが西側同様切り立っている 振子山の方から逆に登ってくるとこれらの景色が逆に流れ どんどん視野が広がってくる ユートピアに飛び出すと大山北壁が目前に聳えている状況を目の当たりにする事が出来るのできっと大きな感興を与えてくれるに違いないと頭の中で景色を逆回転させバーチャル登山を楽しみながら下る 下る途中で見つけたヤマシャクヤクやアカモノもめずらしい

 振子山山頂には小さな岩だ聳えており 大山と大山三鈷峰とを振り分けて見せてくれる これも見栄えのある景観である

 いよいよ話に聞いていた親指ピークである 小矢筈ヶ山のミニチュアの感じで 急な登りとそそりたつたピークは果たしてその上に立てるのだろうかと心配されたが 実際ピークに取り付けばさほど恐怖感は無い ピーク頂上で三脚を立てて写真を撮れる程の空間は無いが 足場を確保しながらピーク頂上に咲いているダイセンクワガタの写真を撮る 薄紫を基調にした小さな花である 矢筈ヶ山・甲ヶ山の連山がさらに近づき甲ヶ山の岩肌が見えてくる

 親指ピークを過ぎると樹林に囲まれて景観が得られなくなる 野田ヶ山山頂も樹林の中の一つのピークに過ぎない 山頂らしい印があるのでそうかと思う程度 道も平坦になり歩き易くなる そうこうするうちに大休峠に出る

 大休峠ではカッコーが鳴いているのを聞く事が出来た これまで鳥の声について触れていないが スキー場から宝珠山の登山道すべてにわたりいろいろな小鳥が途絶える事なく鳴いており これまた大きな楽しみである カッコーカッコーと低く鳴いている声を聞くのは今回が始めてであり大変うれしい 大休峠では外国人の二人連れが休んでいたので声をかけた 大山に行きたいとの事 尾根道は危険なので大山三鈷峰に行き 大山寺に降りたら良いと話をした こちらから登って行くのだから展開してくる景色にきっと喜んで貰えたものと思う ベルギーから来られ火山の研究で日本にいるとの事であった

 大休峠から川床に出る道は自然歩道であり平坦な道 ストライドを伸ばしスピードを上げる 川床から中の原スキー場は登りになるが自動車道でありこれまた時速6Kmの勢いでピッチを上げ駐車場に

  
アプローチ
 今日は朝から好天気である 梅雨時といえ透き通る青空に期待がふくらむ いつものように180号を行く 高梁の付近は相変わらず霧が出ており岡山自動車道の走行注意をラジオで放送している 高梁を過ぎればいつの間にか霧も消え青空が広がる

 大山は随分緑が増え 若返った様相 ラジオによれば今晩夏山開きの祭りが開催される由 大神山神社に向けてたいまつの行列が行くのだろう

 川床から歩いて戻る事を考え 中ノ原スキー場の空地に駐車