阿瀬渓谷が素晴らしい 蘇武岳



標高 1074m    難易度 ☆☆    登り200分 下り140分  兵庫県

倉敷からの距離    208Km        登頂日 ’99/05/30    ガイドブック  


駐車場6:10−6:23案内板−6:31源太夫滝−6:36思案橋−6:39倒れ岩−6:42鉄橋−6:57龍王滝−7:06不動滝−7:25金山廃村−7:39ルートミス−7:52満願滝−8:17金山峠−8:51山頂見える−9:15林道展望台−9:28山頂9:45−9:58林道展望台−10:39金山峠−11:02満願滝−11:21金山廃村−11:35不動滝−11:57案内板−12:05駐車場 

登山
 蘇武岳(そぶだけ1074m) 登山GuideBook 中四国・兵庫の山百選に記載の山 兵庫県北部を南北に連なる但馬中央山脈の山 二つ星の山

 ガイドブックのコースタイムを見ると氷の山同様6時間の工程 昨日は6割程の所要時間でクリアー出来た 6時頃から登れば昼前には下山出来 もう一山登れると計算 山の近くに泊まると行動範囲が広くなり 日帰りに比べ片道の運転時間も登山に使え効率が良い

 今朝も好天に恵まれ気持ちが良い 6時から歩き始める 早朝の山歩きは気分が爽快である 阿瀬渓谷は阿瀬四十八滝として渓谷美をほこり兵庫県森林浴50選に選ばれている 水量が豊富でありどうどうと豪快な音を立て流れている 水の流れが岩に打ちあたり増幅器の役割を演じている 渓谷もきりたっている 渓流沿いを歩いたかと思うとかなり高い位置から渓流を見下ろすようになり実に変化に富んでいる

 源太夫滝から不動滝まで実に沢山の滝がある 少し落差があると***滝と名前がついておる 次から次ぎと現れると名前と現実との解離を感じ 少しうるさい感じがしないでもない 数を誇りたいのだろうか 滝として見るようにとさほど落差のないものにも名前がついている 自然の中で自らの感性にあう美を見つけ その美に出会った事を感謝すれば良いのでは無かろうか 見落としたところでどうと言う事はないのにと ああすればこう言うと 我ながら勝手なものと思う

 どうどうと流れる渓流の音にも負けずに小鳥達のさえずりがこだまする 早朝は小鳥達にも気持ちが良いのだろう絶え間なくまた全精力を傾けるかのように鳴いている 川があり新緑があり太陽が心地よい日射しを与えてくれる トンビがピーヒョロロと多くの小鳥の声に混ざって聞こえてくる トッキョキョカキョク(ホトトギス)も聞こえる ウグイスも負けじとホーホケキョケキョケキョケキョと主張する 小鳥の声を聞き分ける人にはさぞかし多くの小鳥を思い浮かべる事が出来よう

 タニウツギが咲いている 滝を背景に花の写真が撮れた どのような出来栄えとなるか期待している

 倒れ岩がある そこに倒れ岩の伝説が記載してある 昔は崖の上にあり下が空洞であった 徳川時代の12月24日に大音響と共に落ちた 当時この周辺は金銀の採掘でかなりの賑わいがあった地域 その日は昭和37年に廃村となるまで 休日として守り伝えてきた由 室町時代の最盛期には金山千軒と言われるほど賑わったとも記載がある

 そうか こうした時代背景があったのか きっと滝の名前一つにも思い入れがあり一つ一つに歴史があったものに違いない こうして山登りの記録を書く為 写真に撮った説明文を読み直し判ったもの そう言えば滝見小屋の近くに掲示板があり 投句が掲載されていた 歴史と景観とを重ね合わせる事により情感も高まり次々と句が生まれるように思う

 ルート脇にシャガが顔を出す このあたりにはめずらしい花があります 大切にしてください という意味の札が立っている 幾つか見覚えの無い花が現れる 写真に撮って調べているが名前がわからない 花の記憶も幾つかが混乱しゴチャゴチャになってしまっている 残念だが珍しい花が咲いていた事を紹介しておく

 不動滝を過ぎると比較的平坦なルートとなり 湿地を通ったり 渓流を渡ったりしながら登ってゆく コガクウツギ オオカメノキ タニウツギなど木に咲く花 ムラサキサギゴケ ホウチャクソウ フタリシズカ シャガ キケマン エビネなどの花が現れ 目を楽しませてくれる エビネは珍しい

 金山廃村には朽ちた小学校の校舎(ガイドブックに記載)がある このあたりでどうやって生活を営んでいたか 昭和37年と言えばまだ最近の事である 10戸がそれまで共同生活をしていたとの事

 渓流沿いのルートを行くとルートが怪しくなり ヤブ道となってきた 部分的にはこうしたヤブ道もしょうがないのかと思って進むがどんどんひどくなる これはどこかでルートを失ったと判断し戻る 石垣などがあったので この辺りにも住居がありその為のルートのようだ 戻って 探すと岩をとおり渓流を越えてゆくルートを見つける事ができた ここでは多くの人が迷ったに違いない

 渓流は水量が減ってきたとは言え そこそこ流れている 越えるのに足場が悪い ストックを持ってこなかったのが悔やまれる 身体のバランスを崩さないように注意し越えてゆく 丸太の橋が用意されているものの流され 橋として利用出来ない 靴を水中に入れ渡渉してゆく 幸い渡渉部分の水深が浅く 靴もゴアテックのもので問題が無く幸いした

 ホウチャクソウが群生している 杉の木立の下に一面に咲いている チゴユリも混ざっている フタリシズカも顔を出す 珍しいキヒトリシズカも見つけた 白い小さな花も咲いていた 杉の木立の下にこうした花が群生しているのを見た記憶が無い ホウチャクは仏具だそうだ 金山村の住民が祖先に思いを抱き育てたものではないかと推測するがどうだろう 厳粛な気持ちに引き込まれる

 足元に紫の花弁が散乱している 何の花かと周辺を見回すがそれらしい花は見当たらなかった フジの花弁のようだ

 思いがけずまた滝に出会う 満願滝と言う名前 ここまで来れば 願いが叶う意味なのだろうか 名前に込めた思いが重なる

 耳慣れた渓流の音が聞こえなくなる 不思議な静寂さだ 緊張していたものが弛緩するような感覚を覚える メモに滝音消8:10と記載している ここから金山峠までは近い

 金山峠に顔を出す そこは林道であり自動車が通れる まさに顔を出すと言う感じ林道を車で走り山頂のすぐそばまで登れる 峠の右手に地蔵様がありそこに蘇武岳登山道入口 但し熟知者に限る と記載がある 但し書きは何を意味しているのだろうか? PL問題でもあるのだろうか? この登山道を登る人は何らかの理由で熟知者と判断して登ったのだから問題を生じても登った人の責任と言いたいのか? 最近は熟知者の方が事故が多いのに・・・

 登山道に入る 少し急な登りがあるが それを越えると快適な樹林帯 但し書きに要求されるような熟練を要するものは何も無い 尤も車で来てハイヒールでは登れない 登山道に入ったら林道展望台まで1時間程歩く事は覚悟しないといけない

 急な登りを過ぎて平坦なルートになってきた所でレンゲツツジが大きな花を咲かせていた 花のピークが過ぎて落ちかけていた花弁もあり残念ではあったが 新緑の樹林の合間に彩りがあるのは良いものだ チゴユリがあちこちで咲いている 黄色の小さな花を見つけた キンランのようだ ヤマツツジ ミヤマガマズミが花を咲かせている ミヤマガマズミの白い花が太陽光線を受け輝いている 美しい ヤマフジが花を咲かせていた やはり先程の紫の花弁はフジの花弁だったようだ

 カッコーが鳴いている 渓流沿いに比べて小鳥の声は随分減った ルートは結構深い 樹林に囲まれており山頂が見えず距離感がなかなか掴めない 山頂と思われるピークがちらっと樹林の合間から覗けた 山頂が見えたら山頂が近いと書こうかと思ったがまだまだあり 山頂が見えたらルートの半分を過ぎたところ

 林道展望台が先方に見えてくる ルートも林道沿いとなる 林道を作る際に登山道を残してくれている 登山道を大事にしてくれている点うれしい やがて林道との接点に来る 林道展望台からの登山口である 登山口の登り口にスミレが咲いていた

 ここまで来ればもう一息である 目出度く山頂に 360度の眺望が迎えてくれる 360度の山座図がある 氷ノ山 鉢伏山 扇ノ山が西の方に 南に妙見山 北西に白山まで記載がある 遠望がきく時期では白山まで見通せるようだ 大山は記載が無い 山に隠れてしまっているのだろう

 ここまで3時間20分 随分と歩き甲斐があった

 帰路は同じルートを戻る 小鳥のさえずりは早朝とは違い随分と静かになっていた滝に花 小鳥のさえずりと密度の高い山歩きを楽しむ事が出来た



アプローチ
 氷ノ山と同じルートで姫路から生野を経由して和田山,八鹿と312を走り 日高から阿瀬渓谷の案内に従って進む ガイドブック記載の目的地の手前で落石につき通行止めの掲示があり 掲示場所(発電所入口)の近くの空地に駐車