石鎚山 紅葉真っ盛り


標高 1982m    難易度 ☆☆☆     登り120分 下り80分   愛媛県
アプローチ        登頂日 ’96/10/06   ガイドブック  

土小屋〜鎖場〜弥山〜天狗岳→150弥山→80土小屋

登山
 石鎚山1982mは中国四国地方の山の最高峰にあたり,私のデータベースの最上段に位置する 職場の旅行にて登山計画が立てられこの日を楽しみにしていた

 登山旅行は恒例になっている 私も今回で早や3度目になる 初回は三瓶山,二回目は久住山,そして今回の石鎚山である。初回は小雨が降る中での登山 そして私は初めての登山の為に何を用意したら良いかわからず,心配しながらの参加であった,二回目は前夜からの雨が降り続き登るか断念するか議論が行われた 結果的には登山口に着いたら雨があがり登頂した,また,4日後には久住山の一画である硫黄山の噴火があった事など思い出につきない

 今年は何が起きるのだろうか?

 最初はなだらかな登りとは言えぬ程度の道が続く 元気の良い声がゆきかい順調なピッチで進む リンドウが所々顔を出す 黄色のミヤマアキノキリンソウも時期を過ぎたのであろう色があせている フウロソウがわずか 花は少ない 登山道にかかる木々が登るにつれ少しづつ色付き 紅葉が期待される

 先頭を行く例の暴走族がまた飛び出したようだ 前を行く姿が見えない 少し道に傾斜が付いてくるとピッチが急に遅くなる 木々の紅葉も次第に美しくなってきた事からカメラマンとして前に出て 歩く様子を撮影すべく 通常のピッチに戻して先に出る 最後列の集団を撮影し,次いで少し行き次ぎの集団を撮る 数を数えると暴走族を含め2人いない 登山道は多くの人が行列をなして登っているがそれらの集団を次々と追い抜き暴走族を捕まえた 岩に腰掛け水を飲み休んでいた 休んでいる事を確認し,後続の撮影に戻る 9名が揃って登っている所を望遠でとらえ又出発する この当たりから山頂の紅葉が美しく見える 山頂への期待が高まる

 登山計画を知った時 面河渓にて昼食をとり ここで1時間の時間を見ていた 石鎚山の登山地図を見ると山頂から面河渓に降りるルートが紹介されている 時間があったら面河渓に降りたいとひそかに計画を立てていた しかし道を間違えて遅れた事 バスが倉敷に着いてから夜行で出張する人がいて面河渓での予定を大幅に圧縮しないといけない事となり 面河渓に降りる事は断念した 石鎚山の山頂は弥山とそこから天狗岳につながる 天狗岳が最高峰であると記載されている 久住山登頂の時も霧が出て 後続部隊は山頂への登頂を断念し下山した事がある 今回も弥山から天狗岳には時間的余裕が無いかも知れない では,勝手ながら先行させてもらい 到着するまでに天狗岳を往復して来ようと思い 暴走族グループと一緒に先を行く

 鎖場に着く 石鎚山の山頂が間近にせまり岩場の切り立った姿が紅葉に映えて美しい 鎖場も結構長い これまでも山登りで鎖場を経験したが 岡山の山ではこれほど長い鎖場は知らない 結構緊張する 鎖は4本下がっている どれに取り付いても良いとの事だが 途中での会話を聞くと左手が登り用に設計されており,右が降り用とか 前を行く人がハアハア言いながら汗をダラダラ流して登って行く 中高年の登山学で鎖の使い方の説明があった それを思い出しながら進むが足場の確保が難しい あれこれやっている内に鎖に上手く足を掛け登ってゆくと簡単に登れる事を見つけ登る 実に良い経験となった

 二の鎖,三の鎖を過ぎるともう山頂である 暴走族の姿が見えない 二の鎖を過ぎた所で休んでいるようだとの情報でおいてきぼりにする 

 弥山山頂はすごい人 狭い山頂が埋め尽くされている 祠の前で祈祷が行われておりグループで登山したのであろうか狭い祠の前をびっしり埋めつくしている その合間を抜けて弥山山頂に 

 天狗岳がすぐ前に見える 岩と紅葉が実に美しい ツツジの葉が真っ赤に紅葉している 早速そちらに向かう しかし天狗岳にゆくルートが険しく 行く人と戻る人の交互通行が困難でそこが渋滞している 戻る集団が通り過ぎるのを待って降りてゆく 岩場で鎖が欲しいような場所であるが鎖はない 一歩一歩慎重に降りる 数メートルではあるが慎重を要する 天狗岳へのルートも痩せ尾根を登る 甲ヶ山の岩石帯から比べるとまだ楽ではあるが 慎重を要する岩と紅葉 天狗岳のそそり立つ姿 実に美しい リンドウがここでも花を付けている 岩場の険しい所となると大抵リンドウが咲いており清楚な花であるのにそのたくましさに驚かされる 山頂で写真を撮ってもらい弥山に戻る

 戻ってしばらくウロウロしていたら見慣れた顔に出会う 13時前であったので約2時間30分要した 女性群も鎖場を登ってきた由 女性群がゆくのでしょうがなく鎖で来たなどと会話がはずむ しかし暴走族はどこに行ったのか現れない 心配すれど手の打ちようが無い 山頂での合流はあきらめて戻る事とした 案の定天狗岳には時間が無いから止めようという事になった 先に登った二人が代表して山頂に立った事となった(尤も以前登った経験がある人が結構いる由)

 お湯を沸かしコーヒーの支度をしていたが時間が心配な事もあり 一番遅く着いたX嬢を先にという事となった 道案内を兼ねて地図を持っている私と出張の予定があるH氏の3名が先発する(13:10) 行方不明の暴走族が山小屋の中で一人休んでいないかなどチェックしながら下山する 大勢の人が一列縦隊で降りてゆく 鎖場は迂回して降りる 鎖場を過ぎると道も広くなり それぞれのペースで歩き出す 心配していたX嬢はなんと降りの暴走族であった! 凄いこと凄いこと 前を行く人を次々と追い抜く それをサポータが一生懸命後を追う 少し登りになると急にエンジンの回転数が弱まり馬力の無い所が出るが 降りはニュートラルで坂を降りる勢いの如く進む 実に心強い 後続に追いつかれる事は無く山頂から80分で下山した 後続とは出発の差がどの程度か不明であるが20分余り差で皆バスに着いた

 バスには暴走族がアルコールに浸っていた 二の鎖を過ぎて休憩し次に取り付こうとしたら足がつり 安全をとって引き返した由 鎖場を迂回して下山している際 後続は鎖に取り付いており そこですれちがいになった由 ともあれ全員が無事バスに戻る事が出来面河渓の渓泉亭に向かう スカイラインを降りる途中で見た石鎚山の山頂はすでにガスがかかり一日のにぎわいに幕を降ろすかのようであった 快晴に恵まれ,紅葉の美しさを充分満喫出来た喜びは大きい


アプローチ
 秋雨前線が中休みし,両日とも快晴に恵まれた 最高のプレゼントである

 6時30分の朝食 こんなに早いお客様はいませんよとの事であったが山が待っている 一人を除いて集合 遅れた者もなんとか追いつき7時の目標に少々遅れての出発 あわてた一人は昨夜脱いだズボンとシャツを宿に忘れてきてしまい車のキーまでズボンに忘れてきて まいったまいったの連発 登山姿に着替えあわてた為、昨日着ていたものを忘れてしまった由

 石鎚スカイラインに向かう 学生時代に来た時に面河渓にも宿泊した 当時を思い出すと高知〜松山には夜行バスが走り そのバスも道が狭い為マイクロバスであった 松山〜面河渓の道も主要道路が砂利道ですれ違いもままならない道路であったから 面河渓にゆく道はおして知るべしである すごい道を走って行ったものだった バスの便も確か一日二本で夕方着いたら翌朝に立つ便しか無く それを逃すと昼過ぎであったように記憶する

 松山から国道33号経由で行くものと思っていたら,来た道を戻る 国道494号かと思っていたら何を間違えたかUターンし県道210号を行く さすがプロで近道を良く知っているのかと思っていると 道はどんどん細くなり舗装も切れ林道の様相を呈する 高度はぐんぐんあがりこのままスカイラインに繋がればと思っていたらどうも入る道を間違えたらしい 道を聞いた人もこの車で行くのか!とビックリした顔 道は険しくなり 道路が整備されていないから徐行運転でもバスは大きく揺れヒヤヒヤさせられる 引き返すにもUターン出来るような場所も無い 対向車が来たらどうするのか 自家用車でもとても走れる道ではない 時間はどんどん過ぎる 運転手の真剣な顔を見ると間違えを責めてもしょうがない こんな山道はこうしたチャンスでないとなかなか走れないと慰めながら,そして遅くなり登山する時間が無くならない事を願い運を天に任せる気持ちである

 そうこうしている内にやっと舗装道路に出 石鎚スカイラインの案内も出て来る これで山に登れる! 道を一本違えたとの事1時間余りはロスとなった 運転手曰く 四国遍路に行くとこうした道は多いので慣れている との事 しかし時間のロスは大きい 道を間違えた事については大きく反省してもらいたい なまじ林道を走る経験があるからこうした事になる 早く間違えに気づいて,修正作業をすれば怪我は少なくて済む プロに陥り易い過ちであり,過ちに気づいていない点も気になる(業務の目標を目的の場所に予定の時間に安全にとすれば半分の評価点しかあげられない)

 石鎚スカイラインは面河渓から土小屋を結ぶ山岳道路であるが2車線あり走り易い 昨年までは有料道路であった由 登るにつれ石鎚山が近くなる なかなか良い顔をしている あの山頂に立てるかと思うと嬉しくなる スカイラインは15Km余りの距離がある 直線ではさほどの距離では無いが,車が走れる道を付けるとなるとそれなりにルート選びが大変であり 距離も伸びる

 ともあれ3時間15分かかり目的地に着いた 登山口に当たる土小屋の駐車場は車車で大にぎわい 我々も準備を整え全員の写真を撮り10:30出発 12名の一個小隊である 


面河渓

 石鎚スカイラインの入口に渓泉亭のマイクロバスが迎えに来ていた 渓泉亭までバスで入ったらUターン出来ないといけないとの配慮の由 2回に分けて行くとの事で最初の便に乗る 渓流を見ると昔の記憶が少しづつ戻ってくる 道路やバス停周辺は大幅に開発され面影が無い 当時の写真が無いか調べてみたが見つからない 大体どこにゆくにもカメラを欠かした事が無いのに? 理由を考えている内に旅行の時、東京からの各駅停車の夜行列車の中で盗難にあった事を思い出した 一眼レフのカメラを持っており盗られた時のショックを思い出した

 それはさておき 自然は変わらない 澄み切った琥珀色の川は今も健在であった 特徴のある渓流の岩も記憶の糸に繋がった 学生時代に来た時も夕方着き,また早朝の出発で景色を観光する余裕が無かった 今回も急いで食事をし可急的速やかにバスに戻るとの指示 歴史は繰り返すようだ 渓泉亭のいわなの食事はなかなか美味であるが景色を早く見たい事から早々に席を立つ バスが駐車している所まで1Km程度で歩いて(走って)いっても良いとの許可をもらい健脚の連中約半数が歩き出す 素晴らしい渓流である 遊歩道と書いたガイドがありそこを進む 更に素晴らしい景観 思わず声が出る 遊歩道を歩いた(走った)のは私だけで勿体ない感じがする パチパチ写真を撮る