立烏帽子山・池の段



立烏帽子山 1299m 池の段 1280m
難易度 ☆☆    登り116分 縦走19分 下り67分 その他9分  広島県
倉敷からの距離    138Km        登頂日 2024/05/14   ガイドブック  写真 動画

六ノ原7:37−8:08展望園地8:11−8:17合流−9:10立烏帽子駐車場9:12−9:38立烏帽子山9:39−9:51鞍部−9:58池の段10:00=10:04写真10:12=10:17池の段−10:35越原越−10:54_1.7Km−11:15合流−11:24六ノ原

登山 
 今日は立烏帽子山(たてえぼしやま1299m)から池の段(いけのだん1280m)を訪ねる 
 登山支度をして出発する 陽が射しまぶしいほど 周辺の緑が美しい 車で走ってきた方へ戻るようにして少し進み センターの左手からキャンプ場に向かう幅広のルートを行く 陽射しが心地よい 樹林の中に入ると 少し肌寒い 手袋を用意しているが風はなく、手袋はしないでも良さそうだクルマバソウが顔を見せてくれたが花は少ない 分岐を左に折れ 砂利道の幅広いルートを登って行く 

 ルートは樹林の中 白い花が陽射しを受けている オトコヨウゾメのようだ 少し登ると展望園地への分岐がある 今日も展望園地経由とする

 緩やかな登りのルート ツクバネソウ チゴユリ ユキザサ エンレイソウ*(*は実を意味する)が顔を見せる ヤマアジサイ コアジサイは花芽をつけていた 樹林から抜け 陽が射し込む 展望園地の斜面を左に巻くようにしてルートを行く 園地に出たところでギンリョウソウ チゴユリが迎えてくれた ここからは毛無山 伊良谷山 牛曳山と六の原を取り巻く山並みを展望出来る 雲一つない青空の下、前日の雨で装いを新たにした緑の衣に覆われた山並みは素晴らしい 遠望もきく 薄っすらと見えるのは大山のようだ

 展望を一望してルートを行く 少し下り 直登ルートとの合流点から立烏帽子駐車場へ向かう ここからはルート幅が狭くなり且つ土の道となる ほぼ平坦なルート 歩きを楽しむ ルートには陽が射し ルート脇の新緑を輝かせてくれる 緑のトンネルの中に包まれる時は実に爽やか 小鳥の声は 歓喜の声に聞こえる ルート脇にはチゴユリ ユキザサの顔を出す頻度が多い ツクバネソウも時々顔を見せる 何せ緑がいい 

 ブナの大きな樹のあるところに出る 見応えのあるブナの木が何本もあり楽しませてくれる ブナの大木を見上げる 葉と陽射しが構成してくれる緑のグラデーションが素晴らしい この辺りはユキザサが多い 次から次に顔を見せてくれる 陽射しを得られないところはまだ花芽のものも見られる やがてルートは鋭角に右にカーブする 見覚えのある雰囲気 ここを曲がるとあとは立烏帽子駐車場へ一直線 右手前方の樹間に立烏帽子山が見えてきて 立烏帽子駐車場広場に出る
 
 駐車場には車が二台駐車していた 駐車場に入ってすぐ右手に比婆山のブナ純林*1) と書いた説明板が設置されている 隣に大きな 古事記への路*2) とした案内図がある その奥に休憩小屋があるがロープが張り巡らされ利用出来ないようだった トイレも設置されている 麦茶で喉を潤し出発する
 
 休憩小屋の裏手のルートを行く 入ったところに 天然記念物 ブナ純林 と書いた案内がある 分岐を左にとりジグザグにルートを登って行く 山頂まで0.5kmとの事 足元にはここでもチゴユリ ユキザサが多く ツクバネソウ エンレイソウ*も顔を見せる 小さい白い花サワハコベを見つけた ダイセンキスミレ オオカメノキも咲いていた ルートにちょっとした岩の登りがある 足場を選び階段を登るようにして登って行く 山頂に出る手前に脇道がある 数メートル入ったところ そこからは竜王山の長い尾根を展望でき、毛無山から牛曳山に繋がる山並みも樹間に見る事が出来た ルート脇にマイヅルソウの葉がびっしり繁っている よく見ると花芽を覗かしていた そして山頂に出る

 山頂には標識があるだけで展望は得られない すぐに池の段を目指す 花はまだのようだ ミツバツツジが花の色を留めていたが勢いはない ルートからの眺望は良く 竜王山から福田頭 そして池の段への縦走路を伺う事が出来る おや! イワカガミだ ひと固まり咲いている 周辺を探したが広がりは認められなかった あとショウジョウバカマを見つけコルに出る

 コルにはウマノアシガタ ミツバツチグリが黄色い花を咲かせていた コルから池の段山頂へのルートも花の道ではあるがまだ少なく ダイセンキスミレ イワカガミを見つけるに留まる 男性の方とすれ違う いい天気ですねと挨拶を交わす そして山頂に出る 
 
 池の段山頂からは360度の景観を楽しめる 吾妻山 その先に猿政山 右に転じ比婆山 烏帽子山 毛無山 伊良谷山 牛曳山 立烏帽子山 竜王山 福田頭といずれも訪ねた事がある山並だ 立烏帽子山の左手には大山が肉眼でもうかがえる 雲一つなくこれほど遠望がきくのは珍しい
 
 イワカガミに出会った事から池の段の尾根を福田頭の方角に行き 花が咲いていないか探す 一か所で花芽を見つける事が出来た程度で広がりは認められなかった 立烏帽子山 池の段 そして大山を入れた記念写真を撮り 池の段に戻る

 下山は越原越を経由して六の原へ向かう 草原の斜面、岩がごろごろしている 足元に注意しながら降りる そして樹林に入る 樹林に入るとごろごろした岩は無くなり歩きやすくなる ルート脇を見るとマイヅルソウの葉がびっしり ルート両側を埋めている かなりの距離だ これは楽しみだ
 
 ルンルン気分でルートを降りて行く 越原越に出る すぐ先の分岐を公園センターに降りて行く ここは常緑樹の樹林だ 足元に水が出ているところもある 渓流を渡るところは前日の雨で水量が増えている 最後に渡るところでは水の中を歩かざるを得なかったがくるぶしを越えずにすんだ そして1.7km地点に出る
 
 ここからはルート幅が広くなる 草芝のところが多く 心地よい下りを楽しむ ウマノアシガタ セイヨウタンポポ カキドオシ タネツケバナなどを見つけながら草芝の広場に出る
 
 草芝の広場に出る直前に 鉄穴流しの洗場跡*3) と書いた案内板があり 草芝の広場に沿ったルートにも 六の原製鉄場跡*4) と書いた説明がある 更に 草芝の広場を過ぎ 六の原川を渡った公園センターの斜め前にも 比婆山周辺の文化財案内*5) が設置されていた

 この間ルートではムラサキサギゴケ ミツバツチグリ ミヤマヨメナ ナナカマドの花芽 ウワズミザクラ*などを見つけた 駐車場は6台車が増えていた 車載温度は19℃を示していた
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*1)国天然記念物 比婆山のブナ純林
昭和35年7月15日指定
庄原市天然記念物 比婆山のイチイ群
昭和43年6月10日指定
平成29年8月18日追加指定
 比婆山のブナ純林は下層植生にクロモジが密生するブナークロモジ型の森林です。
 日本のブナ林は下層植生の違いから日本海型と太平洋型の二つの型に分けることができますが、比婆山のブナ林はハウチワカエデ・エソユズリハ・ハイイヌガヤなどがよく見られる日本海型と、コハウチワカエデ・タンナサワフタギ・オオカメノキなどが多い太平洋型の植物が入り混じった珍しいブナ林です。日本列島のブナ林の性格を調べていく上で大変重要な森林です。

 イチイはイチイ科イチイ属の樹高15−20mに達する常緑の高木です。日本では北海道−九州に分布していますが、暑さに弱いことから西日本での分布は標高の高いところに限定されています。
 比婆山のイチイ群は伊邪那美命(いざなみのみこと)の御陵と伝承されている比婆山の峰に群生し、幹回り3m以上
のもの1本、lm以上のもの94本などがブナ林の中にあることが、平成28年度の調査で確認されています。また、比婆山の西城町側だけではなく、比和町側にもイチイ群の存在が確認されていることから、庄原市天然記念物として平成29年度にその範囲を追加指定しました。
令和2年10月 庄原市教育委員会
 

*2)全体案内図
古事記への路
「故(かれ)、其(そ)の神(かむ)避(さ)りましし伊邪那美神(いざなみのかみ)は、出雲國(いずものくに)と伯伎國(ははきのくに)との堺(さかい)の比婆之山(ひばのやま)に葬(はぶ)りき」
 日本最古の「古事記」に、国生みの神・伊邪那美命を葬ったと記されている比婆山は、古くから信仰の山として遠く島根県、鳥取県、岡山県などからも参拝者が訪れ、さまざまな産物や文かが往来した交流の地でもあります。
 県道比婆山公園線が通る熊野・比婆山一帯は、神眠る山にふさわしく、古事記にちなんだ伝説をはじめとする独特の文化や歴史が今も息づいています。
 古事記への路は、美しい自然の中でくつろぎながら日本文化の源流ともいえる神話の世界をたどる道。道沿いのサインを目印に、「古事記への路」を歩いてください。
 

*3)鉄穴流しの洗場跡
広島県史跡 六の原製鉄場跡
昭和46年7月30日指定
 この洗場跡は、鉄穴(かんな)流しの方法によって山砂鉄を採る作業工程の最後の作業場にあたるところで5つの池(砂鉄採取施設)で構成されています。これらの池が、2本の流れから成っているのは、交互に使ったり、また同時に使ってより多くの砂鉄を採ったためです。
平成2年3月
 

*4)広島県史跡 六の原製鉄場跡
指定年月日 昭和46年7月30日
所 在 地 庄原市西城町油木字川奥乙5156番2他
 比婆山連峰の周辺では、古来よりたたら製鉄が盛んに行われてきた。江戸時代には「当群第一の産業、諸民これによりて生活するもの甚だ多し」(『芸藩通志』・文政8年)というほどで、いつの頃からか「東城西城黒鉄(くろがね)ところ」と謳われてきた。
 ひろしま県民の森が造成されていた昭和45年、その工事中に発見されたのがこの遺跡である。砂鉄の採取から製鉄までの一連の遺構が残されており、なおかつ近世から近代にかけて操業していたことが分かる史料的裏付けのある製鉄遺跡として注目された。
 遺跡の大部分は保護のために埋め戻され、金屋子(かなやご)神社付近の芝生の地中にある。しかし、砂鉄採取の最終工程の施設である洗池(あらいけ)は保存状態が良かったこともあり、現在も砂鉄が採取可能な状態で保存整備されている。
平成30年3月 庄原市教育委員会
 

*5)比婆山周辺の文化財案内
 和銅5年(712)に記された日本最古の歴史書である古事記に「故(かれ)、其(そ)の神(かむ)避(さ)りましし伊邪那美神(いざなみのかみ)は、出雲國(いずものくに)と伯伎國(ははきのくに)との堺(さかい)の比婆之山(ひばのやま)に葬(はぶ)りき」とあります。ここに記された比婆山の所在地については諸説ありますが、当地の比婆山御陵も候補地のひとつであり、遥拝所である熊野神社とともに古くから篤い信仰を集めてきました。このような背景から、熊野神社から竜王山(りゅうおうざん)を経て御陵に至るまでの一帯が「比婆山伝説地」として昭和16年に広島県史跡に指定されました。・
 そして、岡辺には貴重な文化財が数多く所在じています。 県民の森の造成時に発見された、江戸時代終わり頃のたたら製鉄遺跡である「六の原製鉄場跡」は県史跡に指定され、その一部は実際に砂鉄が採取可能な状態で保存されています。また、中国山地西部の清冽な渓流にのみ生息するイワナの亜種『ゴギ』(県・市天然記念物)の姿も見ることができます。
 他にも、御陵山頂部を覆う豊かなづナの森は「比婆山の純林」として国の天然記念物に、そのプナ林内に点在するイチイは「比婆山のイチイ群」として庄原市の天然記念物にそれぞれ指定されています。また、熊野神社境内に林立する巨杉群は「熊野神社の老杉」とて県の天然記念物に指定されています。
 さらに、日本有数の巨樹である「熊野の大トチ」(国天然記念物)などもあります。
平成29年3月庄原市教育委員会


アプローチ
 薄っすらと明るくなる頃倉敷を出発 車載温度10℃ 今朝は放射冷却で気温が低い 酒津から高梁川に沿って走り川辺橋 総社大橋と抜ける 豪渓泰橋7℃ 180号へ左折し高梁川に沿って北上する 井倉7℃ 新見5℃ 新見市街地を抜け三叉路で180号と別れ182号へ左折し東条へ向かう 新見トンネルを抜ける 道の駅鯉ケ窪で小休憩 東条で314に乗り北上する 青空の下緑が美しい 美しい緑の山肌を見せる山並みを楽しみながら車を走らす 備後落合で183と合流 すぐに別れそのまま314を北上する 緑がぐっと近づく トンネルを二つ抜け比婆山温泉のところを県民の森の案内に従い左折 次のT字路を右折して道なりに走ると広島県民の森 六の原駐車場に出る ここに車を置かせて頂く 車載温度は7℃ 広い駐車場に車が一台も無い