烏帽子山〜比婆山縦走



比婆山 1256m 烏帽子山 1225m
難易度 ☆    登り102分 縦走29分 下り79分  広島県
倉敷からの距離    137Km        登頂日 2024/09/09    ガイドブック  写真 

六ノ原7:41−8:29出雲峠−9:23烏帽子山9:36−9:43コル−10:05比婆山10:06−10:11分岐−10:43スキー場−11:25六の原

登山 
 今日は烏帽子山(えぼしやま1225m)比婆山(ひばやま1264m)を訪ねる
 最近烏帽子山を訪ねていない 立烏帽子山から比婆山を縦走するコースを随分と歩いたが、比婆山に登るのがきつくなり越原越で下山している 過去の履歴を調べると烏帽子山を訪ねたのは2011年が最後のようである また 出雲峠から烏帽子山に登るのは2006年以来のようだ
 
 登山支度をして出発する 熊対策の鈴をセットし 虫よけネットはすぐ出せるようポケットに入れて 管理センターを向いて右手方向にルートをとる 正面には毛無山が伺える 橋を渡り左に折れると県民の森と書いた石碑が見え その先に緑の草芝が広がる その先に見える山が烏帽子山だ
 
 園地にはアキノタムラソウ ツユクサ イヌタデ ノブキ キンミズヒキ ヨモギ等が顔を見せてくれる 挨拶しながらルートを行く
 
 ルートはまず出雲峠を目指す 大きな案内板の先に案内標識があり出雲峠・毛無山の案内に従い 樹林帯に入って行く 緩やかな登りが続く 途中右手に毛無山と書いた分岐が数ケ所あるが いずれも出雲峠を目指す ルートに入ってすぐルート左手にヌスビトハギ ツリフネソウ ノブキの花と実 ヤマトウバナ ダイコンソウ ミズヒキ ヒヨドリバナ ゲンノショウコが顔を見せてくれた
 
 ルートはこれまで2車線程の広さがあったが1車線程度になり土の感触やルートを囲む樹林の雰囲気がいい 渓流を俯瞰できるところもある 木漏れ日が射し込み そこに何か花がスポットライトをあてたかのように輝いている 近づいてみると モミジガサだった キバナアキギリ ギンリョウソウモドキ キクバヤマボクチ ヤマアジサイ*(*は実を意味する) コアジサイ*などを見つけながらルートを行く
 
 出雲峠にはお花畑(マツムシソウやウメバチソウが群生していた)と称しているスポットがあったが 笹が茂ってしまい 楽しむ事が出来なくなり 最近は久しく訪ねていない どうなっているだろうか訪ねたいと思っていた
 
 ルートを行くと その広場にアプローチしていた懐かしい場所に出る ここを入って行けば行ける筈とルートに入ると 茂っている笹に露 これではずぶ濡れになってしまう 別のルートにしようと 戻ってルートを行く だがこの辺だと思うがルートの跡もわからない程笹が茂っている これではとても入って行く気がしない お花畑へのアプローチは諦める
 
 ルートを行く 右手にトイレがあるが周辺をトラロープで囲んでいる 登山ルートにもあったが 出雲峠のトイレは使用禁止になっている 
 
 トイレを右に見てルートを行く オオバギボウシ* ツルニンジン クロバナヒキオコシ ヤマトウバナを見つけ T字路に出る ここが出雲峠で 左は烏帽子山 右は毛無山に出る すなわち 烏帽子山と毛無山のコルの位置にあたる
 
 峠を左に折れ 烏帽子山へ向かう 峠は樹木に囲まれておらず明るいが向かうルートは薄暗い樹林帯 桧木の樹林帯のようだ 樹林に入ると樹林特有の雰囲気に囲まれる ルートを追って行く ユキザサ*を見つけた程度で花は少ない 10分程登ると 野生鳥獣生息数調査点第10号という標識があり いくらかルート幅が狭くなるが そう大きな変化はない
 
 標識から5,6分登ったところに渓流がありノアザミ サンインヒキオコシ ヒカゲミツバ* ミヤマカタバミ ミゾソバ オオカニコウモリなどを見つけた 樹林の中のルートは続く コアジサイ* アキチョウジ ガンクビソウ オオカニコウモリなど見つけながら登って行く 渓流から30分程登ると樹林から抜けたルートに出 タニウツギ* ミヤマガマズミ* ヌルデ*などを見つけながら行くと山頂広場に出る
 
 早速烏帽子岩に行く 山頂にある山座を示す案内の吾妻山の方角に進むと岩の所に出る ここで記念写真を撮る事に カメラをセットして自動シャッター 写ったのはお尻で間に合わなかった 仕方がない 下の段で間に合わせる 岩の傍に烏帽子岩*1)の説明板がある
 
 吾妻山や猿政山の景観を楽しみたいと思ったが見られない 烏帽子岩の右手方向に進んだところではどうかと思ったが ここも樹木が育ち伺えない 今度は条溝岩へ向かう 正面に比婆山が頭を出しているのを伺う事が出来る 条溝岩を見て回れるようルートがある 説明板があったように思うが見つからなかった
 
 山頂広場ではツリガネニンジンやマツムシソウを期待していたが見つからなかった 周囲の景観はこんなだったんだろうか? もっと周辺の山々を伺う事が出来たように思うが記憶が怪しい
 
 比婆山へ向かう 御陵への案内標識がありそれを追ってゆけば良い 二本あるルートの左側を降りて行く 5分程で合流点に出る 左へ折れて降りてゆくとすぐにコルに出る ここから公園センターに降りれるルートがあるがそちらには行かず 御陵へ登って行く ルートはいずれも樹林の中で景観は得られない 緩やかな傾斜である
 
 コルから20分程緩やかな登りを行くと 比婆山山頂に出る 山頂には御陵があり広島県史跡 比婆山伝説地*2)と書いた大きな説明板がある 近くにオオナルコユリ* オオバギボウシ*を見つけた
 
 山頂を後に ルートをそのまま進むと天然記念物であるイチイの木があるところに出る 近づくとイチイの木の周辺はトラロープで囲われ 近づかないようにしている 何故だろうと良く見ると イチイの木が折れたのか様子を異にしている イチイの木の傍に説明板があるが近づけないのでズームで撮る 以前撮った写真と見比べると以前撮った庄原市天然記念物 比婆山のイチイ群*3)と書いた説明板だった
 
 イチイのところからすぐ先に分岐があり ここから公園センターに降りれる 案内に従い左へ折れ ルートを降りて行く
 
 降り始めてすぐに左手先の樹間に山並みを伺う事が出来る 毛無山から牛曳山の山並み その先にも幾つもの山並みが伺える 道後山も見えているかも知れない やっと景観が得られたかと何故か安堵する
 
 緩やかな下りを行く サラシナショウマが幾つも白い花を咲かせていた マクロでも撮ったがいずれもピントが甘かった 近くにサンインヒキオコシも咲いていた 今度はユキザサ*先端の実だけが赤くなっていた ブナ樹林の中を降りてゆく 分岐があり公園センターに向けて降りてゆく 今度の分岐はスキー場経由公園センター1.6km 公園センター2.0kmとあるのでスキー場経由を行く
 
 このルートで良いのかなと思うようなところもあったが数分でスキー場に出る スキー場に出ると景観が開け 前面に毛無山から牛曳山の山並みが見える ハナニガナ ツユクサ ヒヨドリバナを見つけながらゲレンデを降りて行く ルートの両脇はススキが背丈以上に繁っており ススキの中に入らないようルートを降りて行くと公園センター1.3kmと書いたボードがあり その先にルートがあるのでそれに従う
 
 3分程ルートを降りて行くとまたゲレンデに出る 出たところには御陵と書いた標識があり 下から登ってきた方への案内標識となっているようだ ここからはゲレンデの中を降りて行く 車の走行もあるのだろう 轍を追ってゆく形になる 
 
 花が次々と顔を見せてくれる ゲンノショウコ(白花も赤花も) ブタナ イタドリ ウツボグサ ミヤコグサ ノアザミ メドハギ ヤマハギ ゴマナ ヤマトウバナ ツルニンジン アケボノソウ アメリカセンダングサ イヌタデ オオイヌタデ ベニイタドリ ツルボ ムラサキツメクサ カタバミなど アケボノソウに出会えたのは嬉しい ベニイタドリも初めて出会った 
 
 スキー場リフトの脇を抜け 越原越からの下山ルートと合流する すぐに草芝のルートに出る 草芝の広場に出る直前に 鉄穴流しの洗場跡*4) と書いた案内板があり 草芝の広場に沿ったルートにも 六の原製鉄場跡*5) と書いた説明がある 更に 草芝の広場を過ぎ 六の原川を渡った公園センターの斜め前にも 比婆山周辺の文化財案内*6) が設置されていた
 
 ルートではウツギ* ナナカマド* クリ*を見て六の原駐車場に戻る 朝駐車していた2台はおらず 5台程増えていた 車載温度27℃ 少し走ったら25℃まで下がった
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*1)烏帽子岩
 比婆山連峰には,烏帽子の形に似た巨石が神格化され,烏帽子岩と呼ばれるものがいくつかある。御陵の峰にある太鼓岩,その南方,立烏帽子山にある備後烏帽子に対し,島根県に接する烏帽子山の頂きにあるひときわ神秘的なこの石を出雲烏帽子岩と呼ぶ。
 

*2)広島県史跡 比婆山伝説地
指定年月日 昭和16年3月IO日
所任地 庄原市西城町熊野525番1
   庄原市比和町三河内3232番7他

 比婆山(1264m)の山頂は、古事記にいう伊邪那美命(いざなみのみこと)を葬った比婆山であるとして、古来より信仰の対象となってきたところである.南麓に遥拝所熊野神社があリ、山腹に那智の滝(古名、鳥(ちょう)の尾の滝)がある。神域の巨石及びイチイの老木は神籬盤境(ひもろぎいわさか)として伝承されている。
 古事記に「伊那那美神は出雲国と伯伎国との境の比婆の山に葬りき」とあり、いわゆる「御陵の峰」が神陵のある山である。この御陵を奥の院といい、南方約6kmの山麓にある比婆山大神(伊部那美神)を祀った熊野神社を本宮という。比婆山は別名「美古登山」ともいい、山上には3haにもわたる広大な平坦地がある。
 その中央部付近にある径15mの区域内は昔から神域として伝えられ、雨露に崩れて露出した巨石数個が重畳している.南側正面には一対のイチイ(門栂という)がおのおの巨石を抱いて茂り、伝承にある神域の門戸を形造っているようである.
 この栂(正しくはイチイ)は木の母の字意から神木と解し、東洋における最長寿木であり、古代の神殿の造営林として重用されたもので、「あららぎ」の古語がある。御陵の背後に烏帽子岩という大きな岩があり、叩けぱ太鼓のような音を発するので、太鼓岩とも呼んでいる。そしてその周辺にはそれぞれ巨石を抱<イチイの巨木があり、古来神域の象徴として崇められてきた。幕末以後、神陵参拝が盛んであったが、明治20(1887)年頃、比婆山を神陵として称することが禁じられたため、登拝は衰えていく。その後、地元出身の宮田武義、徳冨蘇峰らによって全国に知られるようになった.
平成22年3月 庄原市教育委員会
 

*3)庄原市天然記念物 比婆山のイチイ群
樹種 イチイ(イチイ科)
指定日 昭和43年6月10日
所在地 庄原市西城町熊野
 イチイは北海道・本州・四国・九州、千島・樺太・朝鮮・中国(東北)・シペリア東
部に分布する。常緑の高木で、高さ15−20mになる。樹皮は赤褐色で浅く
縦裂する。花は3−4月に開花し、種子はその年の10月ごろに成熟する。
 本樹群は伊邪那美命(いざなぎのみこと)の神跡と伝承される比婆山御陵の峰に群生し、いわ
ゆる「七本栂」をはじめ、根回り3m以上のもの2本、1m以上のもの92本な
どがプナ林の中にある。
 当初県の単独指定であったが、昭和27年プナ純林とあわせて文部省の
仮指定となり、37年プナ純林が国指定になった際、イチイもその中に含ま
れたというが明記なし、よってイチイの存在を明確にするため、昭和43年
に町指定とした
平成22年3月 庄原市教育委員会

*4)鉄穴流しの洗場跡
広島県史跡 六の原製鉄場跡
昭和46年7月30日指定
 この洗場跡は、鉄穴(かんな)流しの方法によって山砂鉄を採る作業工程の最後の作業場にあたるところで5つの池(砂鉄採取施設)で構成されています。これらの池が、2本の流れから成っているのは、交互に使ったり、また同時に使ってより多くの砂鉄を採ったためです。
平成2年3月
 

*5)広島県史跡 六の原製鉄場跡
指定年月日 昭和46年7月30日
所 在 地 庄原市西城町油木字川奥乙5156番2他
 比婆山連峰の周辺では、古来よりたたら製鉄が盛んに行われてきた。江戸時代には「当群第一の産業、諸民これによりて生活するもの甚だ多し」(『芸藩通志』・文政8年)というほどで、いつの頃からか「東城西城黒鉄(くろがね)ところ」と謳われてきた。
 ひろしま県民の森が造成されていた昭和45年、その工事中に発見されたのがこの遺跡である。砂鉄の採取から製鉄までの一連の遺構が残されており、なおかつ近世から近代にかけて操業していたことが分かる史料的裏付けのある製鉄遺跡として注目された。
 遺跡の大部分は保護のために埋め戻され、金屋子(かなやご)神社付近の芝生の地中にある。しかし、砂鉄採取の最終工程の施設である洗池(あらいけ)は保存状態が良かったこともあり、現在も砂鉄が採取可能な状態で保存整備されている。
平成30年3月 庄原市教育委員会
 

*6)比婆山周辺の文化財案内
 和銅5年(712)に記された日本最古の歴史書である古事記に「故(かれ)、其(そ)の神(かむ)避(さ)りましし伊邪那美神(いざなみのかみ)は、出雲國(いずものくに)と伯伎國(ははきのくに)との堺(さかい)の比婆之山(ひばのやま)に葬(はぶ)りき」とあります。ここに記された比婆山の所在地については諸説ありますが、当地の比婆山御陵も候補地のひとつであり、遥拝所である熊野神社とともに古くから篤い信仰を集めてきました。このような背景から、熊野神社から竜王山(りゅうおうざん)を経て御陵に至るまでの一帯が「比婆山伝説地」として昭和16年に広島県史跡に指定されました。・
 そして、岡辺には貴重な文化財が数多く所在じています。 県民の森の造成時に発見された、江戸時代終わり頃のたたら製鉄遺跡である「六の原製鉄場跡」は県史跡に指定され、その一部は実際に砂鉄が採取可能な状態で保存されています。また、中国山地西部の清冽な渓流にのみ生息するイワナの亜種『ゴギ』(県・市天然記念物)の姿も見ることができます。
 他にも、御陵山頂部を覆う豊かなづナの森は「比婆山の純林」として国の天然記念物に、そのプナ林内に点在するイチイは「比婆山のイチイ群」として庄原市の天然記念物にそれぞれ指定されています。また、熊野神社境内に林立する巨杉群は「熊野神社の老杉」とて県の天然記念物に指定されています。
 さらに、日本有数の巨樹である「熊野の大トチ」(国天然記念物)などもあります。
平成29年3月庄原市教育委員会


アプローチ
 まだ暗い時間に倉敷を出発 車載温度27℃ 酒津から高梁川に沿って走り川辺橋 総社大橋と抜ける 豪渓泰橋24℃ 180号へ左折し高梁川に沿って北上する 井倉23℃ 新見24℃ 市街地を抜け三叉路で180号と別れ182号へ左折し東条へ向かう 新見トンネルを抜ける 東条で314に乗り北上して行く 小奴可の猫山がくっきり見える 備後落合で183と合流 すぐに別れそのまま314を北上する トンネルを二つ抜け比婆山温泉のところを県民の森の案内に従い左折 次のT字路を右折して道なりに走ると広島県民の森 六の原駐車場に出る ここに車を置かせて頂く 車載温度は21℃ すでに2台駐車していた