情報あれこれ(コンピュータ関係)
PC−9821Nr300への
avast!4 Home Edition 導入記
お断り
PC−98シリーズが数多く存在した当時の日本で開発された製品ならともかく,今回扱っている「avast!4」はチェコ共和国で開発された製品です。従って,PC−98シリーズでの動作などは考慮されているはずはありません。
ですから,「動作しなくても,ある意味では当たり前」です。
そんな状況を承知の上で行っている,言わば「実験」です。
この記事を参考にして手元のPC−98シリーズに「avast!4」やフリーのウィルス対策ソフトを導入した結果,何かトラブルが発生したとしても,当方では責任を負いかねます。
現在市販されているセキュリティ関連製品(ウィルス対策,ファイヤウォールなど)の中にPC−98シリーズをサポートしているものが存在しないので,この辺りに頼るしかないっていうのも事実ですが。
そもそもの発端
と言う程のことでもありませんが,要は手元にあるPC−98シリーズの活用です。
特にノート(Nr300)の場合,無線LANカードと組み合わせれば,家の中からなら(電波が届きさえすれば)LANにアクセスできる,インターネットもできる,とメリットはかなりあります。
なのですが,スタンドアローンで使っているだけならともかく,インターネットを考えると……セキュリティ(特にウィルス対策)を考えないわけにはいきません。
Windowsも98 Second Editionだし。
ただ,PC−98シリーズの終焉に伴って,セキュリティ関連製品にしてもPC−98シリーズのサポートは軒並み終了しています。
いや,正式サポートが無くても,動作してくれればまだマシなのですが,製品によってはインストールプログラムがパソコン本体をチェックして,PC−98シリーズである事が検出されるとその時点でインストールせずに終了してしまう(つまり,インストールすらできない)というものもありました。
まぁ,アングラ系のページを渡り歩くつもりなんて勿論ありませんが,いつ,どこから入り込んで来るか分からないウィルス相手に,対策ソフトも無いままというのは非常に怖いので,人柱覚悟でフリーのウィルス対策ソフトを導入してみる事にしました。
……どう考えても「どるこむ」向きのネタですがね(笑)
いや,ある程度ちゃんとまとめてから向こうに報告かなぁと。
製品選択
手元にある雑誌(DOS/Vマガジンの2005年3月号)に,「無料ツールで愛機を守れ!」と題して,無料(無償)で利用できるスパイウェア対策やファイヤウォール,ウィルス対策ソフトの紹介記事があったので,そこで紹介されている製品から選択しました。
ちなみに,この記事で取り上げられていた製品は以下の通りです。
・AntiVir Personal Edition
・abast! 4 Home Edition
・AVG 7.0 Free Edition
・BitDefender Free Edition
・ClamWin Free Antivirus
いずれも,「非営利」の「個人」が利用するのであれば無料で利用できます(細かい条件はそれぞれで確認してください)。
この5つの製品の機能比較から,「リアルタイム検出」ができるもの,「日本語化」ができるものという点から考えて,「abast! 4 Home Edition」を選択しました。
チェコ共和国で開発された製品ですが,最初から日本語表示に対応しているので,インストールしてから日本語表示をさせるためのパッチを適用したりする必要が無いのが楽です。というか,それが決め手です。
いや,日本語化できなくても英和辞典片手にがんばるという手もあるんですけどね(笑)
スケジュールスキャンに対応していませんが,それが必要な使い方をしていないので大丈夫でしょう。
DOS/Vマガジンの評価によると,メインウィンドウがスキン対応になっているためか,他のソフトに比べると動作が重い,という記述があります。
使用するマシンがPC−9821Nr300(CPU:MMX−Pentium300MHz,メモリ:128MB)なので,多少懸念材料ではありますが,まぁ,使ってみてからの話としましょう。
補足
今回参考にした雑誌記事は前述してあるとおり2005年始めの物です。バージョンアップで細かい部分が改良されている可能性が高いので,あくまで参考程度でお願いします。
機能が追加されて,より重くなっている可能性もありますが。
ダウンロード 〜 セットアップ
Webサイトには日本語のページも用意されているので,さほど問題はないでしょう。
ページ上部のメニューから,ダウンロード → プログラムのダウンロード と進めばダウンロードページの一覧がありますから,そこで「 avast! 4 Home Edition 無料 ダウンロード」へ進みます。
そのままでも60日間の使用(というより試用)ができます。登録をすることで利用期間を延長することができます。
なお,今回の場合はまだ登録をしていません。
ある程度,動作を確認してから登録しようと思ってます。
セットアップはダウンロードした実行ファイルを起動するだけです。
インストール先フォルダの指定など,一般的なWindowsアプリケーションとそのあたりは変わりません。
なお,セットアップの段階で必要な機能を選択しておくこともできます。
環境設定
通知領域に表示されるアイコンは2つ。
1つは本体のもので,もう1つはVRDBジェネレータのものです。
環境設定は本体アイコン(青い球面に a の文字表記)を右クリック → プログラム設定から行います。
と言いつつ,デフォルトから何も変えてないんですが。
ウィルス発見時の警報音もここで変更できます。
実際は,コントロールパネルからサウンド設定を呼び出して,そちらで設定をやるわけですが(ただし,問題あり)。
それとは別にアイコンを右クリックした中に「オンアクセス保護の管理」という項目があります。
こちらは,Web閲覧やP2P,電子メールなどの特定部分を保護するサブシステムの設定を管理する機能で,制限のレベルや,サブシステム毎の調整などが行えます。
実際はこちらの調整の方が重要かと思います。
後,難点……と言うほどの事ではないかも知れませんが,これらのサブシステムのことを「プロバイダ」と表現しているので,最初は意味が分からずに混乱してしまいました。
追記
PCの利用状況とインストールしてあるアプリケーションの状況から考えて,明らかに必要ないプロバイダを停止状態に変更しました。
停止させたオンアクセス・スキャナは次の通りです。
Outlook/Exchange |
P2Pシールド |
インスタント・メッセージ |
インターネット・メール |
関連するソフトウェアをインストールしていないので。
これで,少しでも動作が軽くなってくれればなぁという思いもあるんですが,元が元だけに(MMX Pentium 300MHz,RAM:128MB)あんまり変わらないかも。
2007年12月26日 追記
ちょっと理由あって一度アンインストール,再インストールを実行するはめになりました。
その時にインストール段階で上記の4つのオンアクセス・スキャナをインストールしない設定にしたところ,後述の問題点(起動時の警告)が出なくなりました。
なので,不要と分かっているならインストール段階で設定しておくとラクかもしれません。
簡易検査(動作確認)
EICARテストファイルを利用して動作をチェックしてみました。
テキストエディタを起動し,EICARテストファイルの文字列を入力し,そのファイルを「eicar.com」というファイル名で保存。
以前テストしてみたNorton AntiVirus や,Kaspersky Internet Security は,この段階で警告が表示され,ファイルの保存そのものができませんでした。
が,avast!4 の場合,保存はできました。
とは言え,ファイルを実行するとさすがに警告が表示されます。
まず,「(パス名)eicar.com には EICAR Test-NOT virus!! が含まれています」という警告(黄色の地に赤文字)がタスクバー右端(通知領域)に表示され,直後に警報音が鳴ります。
この警報音,「いかにも」な警報音です。どこぞの特撮ヒーローものから取って来たのではないかと思うくらいにハマってます(笑)
そして,画面中央部にウィルスの名称,タイプなどの表示と,対処の選択を促すウィンドウが表示されます。
最初の警告表示から警報音,ウィンドウ表示までの間にはそれぞれ多少の間があります。恐らく,パソコンの処理能力によるものではないかと思います。
avast!4 ウィルス検出画面(一部加工済み)
今回表示された可能な対処(動作)は以下の4種類。
・移動/名称を変更
・削除
・修復
・チェストへ移動(専用フォルダへの隔離)
また,「何もしない」という選択肢もあります。
ただし,これは「保護をしない」という意味ではありません。ウィルスが検出されたプログラム(この場合,eicar.com)の動作は中断されます。その上で,ウィルスが検出されたファイルに対して,上記の4つの動作をしないという意味です。
VRDBについて
「Virus Recovery Database(ウィルス修復データベース)」の略称です。
要するに,ウィルスに感染(or破壊)されていない段階でファイルの実際の状態についての情報を保存しておくものです。万一,ウィルスに感染(あるいはウィルスの活動でファイル内容が破損)したときに,このデータベースを元にしてファイルを復元できるようにします。
まぁ……バックアップを自動的にとっておいてくれるようなもの,だと解釈しています。
このVRDBの作成はそれなりに時間が掛りますが,デフォルトではコンピュータがアイドル状態になったときに作成するようになっています。
また,スクリーンセーバーと連動して作成するような設定もできます。つまり,できるだけコンピュータ利用の妨げにならないようにできるわけです。
もちろん,VRDBの使用自体を中止することもできます。
標準状態では,メインのアイコンとは別に,VRDB作成用(VRDBジェネレータ)が表示されています(青い球面に i の文字表記)が,メイン・アイコンの内部へ統合することもできます。
現時点での問題点
2007年 3月30日現在
・サウンド設定上の問題
メインアイコン右クリック → プログラム設定 → サウンド → 設定(S)ボタン
通常はこれで,Windowsのサウンド設定(スタートボタン → 設定(S) → コントロールパネル → サウンド /Windows98の場合)が開くのだが,開くまでの時間が明らかに長い。
あるいは,「応答なし」となることも多い。
コントロールパネルから開く場合は問題ない。
avast!4 の問題よりも,PC−98シリーズで使うことによる問題の様な気もしますが。
・Windows起動時に,表示される警告について
このトラブルは解決されています。
Windows起動時(ログオン時)に,次の4つのプロトコルについて警告が表示されます。
NNTP,SMTP,POP3,IMAP
メッセージウィンドウは全て同じ書式で,メッセージは次の通り。
『avast!は ****を保護することができません(++++プロトコル)
エラー:10047』
↑エラー番号は全て同じ。
「****」と「++++」の対応は,まぁ,言わずもがなですが次の通りです。
ニュース:NNTP
送信メール:SMTP
受信メール:POP3
受信メール:IMAP
メール,ニュース関係のソフトを一切セットアップしていないので,サーバ名,ポート番号などの情報が取得できないことが原因ではないかとは思うものの,どうすればいいのか,現時点では皆目見当が付いていません。
・処理の負荷について
注:ベンチマークなどによる厳密なものではなく,あくまで体感的なものです。
PC−9821Nr300の利用頻度そのものが非常に少ないため,他の速いマシンの感覚に引き摺られている可能性が大いにあると思います。
それでも……分かる程度には反応が鈍くなっているように感じられます。
まぁ,どんなウィルス対策ソフトウェアでも多かれ少なかれ重くなるものではあるんですが。