情報あれこれ(コンピュータ関係)
ディスク内のデータの完全消去


お断り

 以下の記載内容はあくまで一個人がもっている知識,個人が出来る範囲で実験した結果であり,これにより記録されたデータの復元が完全に行えないことを保証するものではありません。
 また,実を言えば若干の消去漏れの危険性が原理上存在しています。従って,確実性を要求されるのであれば,究極の廃棄方法を実行される事をお勧めします。
 中古品として下取りに出す事を考えているのでその方法は採用できないと言う場合には,市販の消去ソフトの利用をお勧めします。費用を惜しむか,その費用で手間と安心を買うか,という感じかと思います。


なぜデータが完全消去されないのか

 ハードディスクに限った事ではありませんが,フロッピーディスクやMOなどの記録メディアは,その全領域を自由に記録に使えるわけではありません。
 領域の一部を管理用に割り当てることで,メディア全体の管理を容易にしています。
 この管理用の領域には,記録領域のうちどの部分が使用されている,どの部分が使用されていないというような情報と,ファイル(とサブフォルダ)名とその関連情報(作成日時,ファイルであればファイルサイズ,ファイル属性など)が記録されています。

 例えて言えば,1000ページもあるノートを使う場合を考えてみましょう。
 何も考えずに使っていると,どのページにどんな内容が書いてあるのかはすぐに分からなくなってしまいます。
 そこで,こんな工夫をしましょう。
 先頭の40ページを使って,残り960ページを管理する表を作ります(別に何ページ使ってもいいのですが)。
 表の一番左端の列を記録用ページの番号,その右にファイルの名前,作成日時などの情報を記入する欄を設けます。
 ↓こんな感じで。
ページ番号内容(ファイル名)ファイルサイズ作成日時 ・・・・
001index.htm25862007年 1月12日 
002index.bak22582007年 1月10日 
003    
 :     
959    
960    

 さて,このノート(ハードディスク)に記録されたデータを削除するときにはどのような処理が行われているのでしょうか(注:ごみ箱を使用せず,直接削除する場合を考えます)。
 上の例で,「002ページに記録されているindex.bak」を削除する場合,次の様な処理になります。

「管理用の表の,ファイル名の欄の先頭の1文字を空白に書き変える」

 なんと,たったこれだけです。

 上の表がどう変わったかと言うと ・・・・ ↓
ページ番号内容(ファイル名)ファイルサイズ作成日時 ・・・・
001index.htm25862007年 1月12日 
002 ndex.bak22582007年 1月10日 
003    
 :     
959    
960    

 つまり,実際に記録された領域には,消去の為の何の作業も行われていないのです。
 実は,これこそが「ハードディスク(などの記録メディア)から削除したはずのデータが復元できる理由」なのです。
 ここではなぜそんな仕組み(実際に記録された領域に,何の作業もしないのか)については深く立ち入る事はしません。


復元できなくするためには

 基本的な考え方は非常に簡単です。
 データが記録されていた領域のデータを削除する。というだけのことです。
 ただ,「削除」と言うよりも,実際に行われている処理は,「無価値なデータを上書きする」という事になります。
 手書きの文字で例えれば,消しゴムで消しただけでは跡が残っていて,その跡から判読される可能性があるので,無関係な文字を書いては消すことを何回も繰り返すようなものです。

 実は,市販されている「データを復元できなくするソフト」は,全てこれを自動的にやってくれているだけのことです。
 この作業の時に「どんなデータを何回書き込むのか」,「無条件でハードディスク全体を消去するのか,今現在使っているハードディスクの空き領域だけ消去するのか」,「メモリカード(USBメモリやSDカードなど)に対応しているのか」などが製品によって違っているだけです。

 とまぁ,作業の原理が分かってさえしまえば,手作業でもやってできないことはないでしょう。
 市販のソフトを購入せずに済ませる分,作業の手間が掛るのはしかたないという事で我慢してください(笑)


作業に使用するソフト

 実は ・・・・ なんでもOKです(笑)
 最近のWindowsPCに標準で入っているソフトから選べば ・・・・ Word,ExcelでもOKです。
 ハードディスクの容量とかかる手間の事を考えると,100MB級のファイルが扱えることが必要ではありますが,最近のソフトであればまず大丈夫でしょう。


作業手順

 一言でまとめれば,「ファイルサイズが巨大で内容が無価値なファイルを作成しては保存,削除を繰り返す」ということになります。
 この時,サイズが小さすぎると繰り返し書き込む回数が多く必要になります。
 逆にサイズが大きすぎてもデータが正常に上書きできなくなり,意味がありません。
 なので,せいぜい消去したい領域(空き容量)の10〜20%程度が適当かと思います。
 なお,最後に使用したデータを全て削除して完了です。

ワードプロセッサでの例

1:忘れがちな情報の削除
 ファイルに保存される補助情報(見出し,利用者氏名,作成者氏名,会社名など)のうち,個人情報など外部に漏らしたくないもの(氏名,会社名など)を削除して,ファイルを保存する。
 ファイルの保存先は言うまでもなく,データ消去を行うメディア。

2:上書き用,無価値データの作成
 無価値な文字列をある程度入力する。
 例えば,「0123456789」や「abcdefghijklmnopqrstuvwxyz」など。
 量はそれほど多くなくてよいので,とにかく内容が無価値なものになるように。
 入力後,次の操作を行う。
『編集メニュー → 全選択 → 編集メニュー → 複写(コピー) → 選択解除 → 編集メニュー → 貼り付け』
 10回繰り返すと,最初に入力したものの1024倍になります。
 ここで上書き保存をする。
 この時,「バックアップファイルを作成する」オプションをオンにしておくこと。Wordではデフォルトでオフになっているので,保存ダイアログボックスのツール → 全般オプションから指定しておく。

3:上書き作業1
 以下の作業を適当に行う。
・手順2の作業を1回実行,上書き保存を「空き領域が不足しているので保存できない」というエラーが出るまで繰り返す。

4:上書き作業2
 一度ファイルを全て削除し,手順2を繰り返して新たにデータを作成する。
 その上で,以下の作業を適当に繰り返す。
・何文字か文字適当な文字を追加,または削除して上書き保存。
・名前をつけて保存(別名保存)。
・ファイルを全て保存終了して,デフラグを実行する。

表計算ソフトでの例

1:忘れがちな情報の削除
 ファイルに保存される補助情報(見出し,利用者氏名,作成者氏名,会社名など)のうち,個人情報など外部に漏らしたくないもの(氏名,会社名など)を削除して,ファイルを保存する。
 ファイルの保存先は言うまでもなく,データ消去を行うメディア。

2:上書き用,無価値データの作成
 一番簡単な手法は,セルA1に適当な数値を入力後,Ctrl+C(セルA1をコピー) → Ctrl+A(全てのセルを選択) → Ctrl+V(クリップボードの中身を貼り付け)と実行する事。これだけでもかなりのファイルサイズになる。
 ここで上書き保存をする。
 この時,「バックアップファイルを作成する」オプションをオンにしておくこと。Wordではデフォルトでオフになっているので,保存ダイアログボックスのツール → 全般オプションから指定しておく。

3:上書き作業
 上記,ワープロの場合の手順4を適当に実行。

画像処理ソフト(ペイント系)での例

1:画像の新規作成
 ここで重要なのは,画像のサイズ。
 サイズ(縦横のピクセル数)がファイルサイズに直接作用しますので,その画像処理ソフトで扱える範囲内でほどよく大きめにしておくこと。
 ちなみに,サイズとファイルサイズの関係は次の通り。
[ファイルサイズ]=[横の画素数]×[縦の画素数]×3 + 53

 あれ?と思った方。理由は後述。

2:上書き用,無価値データの作成
 適当に何か描いて,保存します。
 この時,ファイル形式(保存形式)を BMP(ビットマップ)形式にするのがポイント。
 何故かと言うと,これ以外の形式(アプリケーション固有の形式,JPEG,GIFなど)では,データの圧縮が行われてファイルサイズがかなり小さくなるから。上書きに使用するデータのファイルサイズが小さいと回数が増える(手間が増える)のは前述の通り。

3:上書き作業
 適当に何かを追加で描く,または適当なフィルタを実行してから上書き保存。
 これを何度か繰り返す。
 途中,「名前をつけて保存(別名で保存)」を混ぜるのもよい。

その他のソフトの場合

 基本的な考え方は同じです。
 作業手順にまとめてあるように,「ファイルサイズが巨大で内容が無価値なファイルを作成しては保存,削除を繰り返す」ことが出来ればなんでもOKです。
 レコーディング(録音)の出来るソフトでメディアの容量限界までそこいらの雑音を録音させるとか,デジカメのメモリーカードならデジカメで無価値な写真(壁の表面とか)を容量一杯まで撮影するとか(笑)


市販ソフト利用の勧め

 この様な作業手順を繰り返すのが面倒臭い,本当に確実なのか疑問が残る,という方にはその手間に掛る時間を買う,安心を買うという意味でも市販ソフトの利用をお勧めします。

 パーティション全体消去やハードディスクドライブ全体の消去のみ行えます。ブータブルCDなので,Windowsがインストールされているシステムドライブ(通常Cドライブ)の情報も削除できます。
 ただし,システムドライブの消去を行った場合,OSの再セットアップを行わないとそのパソコンは使用できませんが(笑)
 こちらはもう少し細かい作業ができる製品です。
「現在使用していない領域(空き領域)の消去」という機能は意外と備えていない製品も多いので,その意味ではいいかも。
 消去作業はメディアの廃棄時だけなので,なくてもいいと言う気もしますが。
「現在使用していない領域(空き領域)の消去」をメインとした製品ですが,ドライブ全体,パーティション指定での消去も行えます。
 スケジューリングでの自動実行やログアウト時などのタイミングを指定しての自動実行など,うまく使うと便利そうです。
 また,各種メディア(ハードディスク以外のUSBメモリ,メモリカード,MOなど)の対応しているのはポイント高いです。対応していないソフトも結構ありますので。

 その他にも数多くのソフトがあります。
データ消去に関するソフト (Amazonでの検索結果)


安心はまだ早い

 と,市販ソフトを勧めておいてその舌の根も乾かぬうちになんですが,市販ソフトによる消去の場合であっても,実は完璧とは限らないことには是非注意してください。
 消去の手法には幾つかありますが,その中で一番単純な方法は「全ての記憶領域に”0”を記入する」というものです。これは非常に高速に処理が行えるのですが,以前記録されていた情報を完全に消去できない可能性があります。
 最近はほとんど聞きませんが,以前はこんな事がありました。ビデオテープや音楽テープに何かを録画(あるいは録音)し,その後にそのテープに別のものを録画(録音)したとします。その後,そのテープを再生すると,最初に記録されていた映像(音声)が微かにだぶって再生されるという現象がありました。
 ビデオテープ(音楽テープ)とハードディスクの共通点として,磁性体を磁化することでデータを記録しています。
 既に記録されている磁気情報を改めて記録し直す事でデータの上書きをしているわけですが,この時に以前記録されていた磁気の情報が僅かに残ってしまうという現象がおきます。
 この僅かに残った磁気の痕跡(残留磁気)を精密に検査する事で,消去作業が行われる前に記録されていたデータを復元する事が,原理上は可能です。

 ただ,その為にはより高度な施設,技術が必要になる上に,手間と費用が掛るため,誰でも手軽に出来るわけではありません。

 ちなみに対策は2つ。
 1つは復元ソフトで,「より確実な消去方法を実行する」こと。ただし,これはデータの上書き回数が増えるので,所要時間は遥かに長く必要です。
 もう1つは,次で述べる「究極の廃棄方法」を実践すること。
 中古に下取りに出したいような場合には2つ目は無理ですけどね(笑)


究極の廃棄方法

 ある意味で ・・・・ 非常に簡単な手段です。実は。
 但し,この手段を実行した場合,中古品取扱店などに下取りに出して,幾らかでも新製品購入の足しにするようなことは不可能になります(パソコン本体は別として)。

 では,その究極の廃棄方法(絶対にデータを取り出せない方法)とは何か。
 その答えは非常に簡単です。
 物理的に記録メディアを破壊する。これだけです。

 ハードディスクドライブをパソコン本体から取り出して,分解。中のディスク(狭義のハードディスク)を粉々に粉砕する。
 これでOKです。
 ディスクドライブの外側ケースを割っただけではダメですよ。重要なのはデータが記録されている中身のディスクですから。
 あるいは,分解なんて手間をかけずに,外から中のディスクごとドリルで穴を開けてしまうのも一つの手です。
 要するに「データが記録されている(記録されていた)ディスクを物理的に破壊する」のがポイントなんですから。

 後は地域のゴミの出し方に従って廃棄してください。

・補足(分解,ディスクの取り出しについて)
 ハードディスクドライブでは,一般的なプラス(やマイナス)のドライバーでは開けられない特殊な形状のネジが組み立てに使われている例が多くあります。例えば,ドライバーのはめ込み部分が * の形状であるとか。
 この場合,その形状に合致したドライバーを使って分解する必要があります。
 組み立てる必要がないので,ドリルでネジの頭の部分を削りとってしまうという荒技もありますが。


一応の検証

 手持ちのファイル復元用ソフトで,試しにやってみました。

検証に使用したソフト

「救出 ファイル復元」
 開発:株式会社マグノリア
 販売:ソースネクスト株式会社

主な特徴

・インストール不要(CD上の実行ファイルから直接起動できる)
・USBメモリ,フラッシュメモリ(SD,コンパクトフラッシュなど)にも対応
・対応OS:Windows98,Me,2000,XP
・FAT12/16/32,NTFS4.0/5.0/5.1に対応
・ファイル単位に復元の可否判定,復元指定可能

検証したメディア

・USBメモリ(128MB)

検証手順

1:ExcelデータファイルをUSBメモリ上に保存(内容が異なるものを3つ)。
2:ファイル削除。
3:テキストエディタ(MIFES)で書込み用無価値データを作成,書き込みを繰り返す。
4:途中,デフラグを1度実行。
5:検証用ソフト「救出 ファイル復元」を利用して検査。

結果

 Excelデータファイル,上書き用無価値データを含めて,ファイル名は全て検出された。
 Excelデータファイルを含め,幾つかのファイル(検出されたファイル総数の1/3程度)が「復元可能」として表示されるが,復元処理を実行してもデータは正常には復元されない。処理は正常に終了するが,復元されたExcelデータファイルを読み込むと,上書きした無価値データの文字列がそのまま読み込まれる(テキストファイルをExcelから開いた時の状態に近い)。
 また,消去の為に上書きした無価値データについてはほぼ間違いなく復元できる。これは,削除直後であるため回避は難しい(だからこそ,上書き用データは中身を無価値なものにしている)。

 と言う事で,データの痕跡は確かに消去出来たと言えなくはないのですが,ファイル名の痕跡までは消去できていません
 その意味では不十分とも言えます。
 それを理解した上でこの方法を採用するか,市販ソフトを利用するか,判断してください。


 最終更新日:2007年 3月10日

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