情報あれこれ(同人誌関係)
9.コピー誌の作成


 さて,[6]から[8]では,オフセット印刷の場合の話でしたが,今度はコピー誌です。
 やっぱり,手作りが醍醐味の同人誌にあっては,コピー誌を無視するわけにはいきません。

 まずは,(非常に)大ざっぱにですが,オフセット印刷との比較です。

メリットデメリット
オフセット  印刷がきれい。
 大量印刷が可能。
 単価が安い。
 費用がかかる。
 仕上がりは印刷所任せとなる(悪いと言うのではなく,自分でのこだわりが出しにくいと言うこと)。
 定型サイズ以外の本が(基本的に)創れない。
コピー  少ページ,少部数の発行に都合がよい。
 印刷(コピー)状態を確認しながら作業できる(場合によってはその場で修正可)。
 特殊な体裁であっても,用紙がコピー機を通れば作ることができる。
 大量発行には不向き。
 印刷,製本の作業量は意外と多い。
 コピー機の調子で仕上がり具合が左右される。

 大ざっぱに言えば上の様な感じではないでしょうか(注:主に私個人の経験によります)。
 要するに,片方のメリットはもう片方のデメリット,のような関係ですね。

 さて,ここでは「コピー誌」に焦点を当てているわけですから,特にそのメリットについてもうちょっと細かく話をしていきます。

少ページ,少部数の発行に都合がよい』と言うことは,言い方を変えれば,極少数をターゲットとした本の場合などにも使える,ということです。オフセットの場合,最小印刷部数が50冊か100冊というところがほとんどですが,それだけの部数を印刷するのはちょっと……という場合にはやはりコピーになります。
 また,少部数であることを逆手に取れば,1冊1冊に凝った装丁を施すことも可能になります。

 当たり前の事と言えば,当たり前のことですが,コピーの場合は目の前でコピーができてきますから,『印刷(コピー)状態を確認しながら作業できる』ということになります。
 最悪の場合,途中でコピーを中断して,原稿を修正することも可能です。
 さすがに,本文の修正はやったことがないですが,ちょっとした修正は何度か経験があります。

 それから,個人的にはコピー誌の醍醐味と思っているのが『特殊な体裁』の本が作れるということでしょう。
 以前,A4の用紙を使って,少々変わったサイズの本を作ったことがあります。
 このような場合,最大の問題は印刷用原版の作成で,かなり苦労した覚えがあります。もしかしたら,1回くらい作り直しをしていたかも……。


・綴じのこと

 要するに,製本の方法です。
 コピー誌の場合,「袋とじ」と「中とじ」のどちらかが一般的です。

・中とじ

 分かりやすく言えば週刊誌などの製本方法で,背表紙に当たる部分がないものです。
中とじのイメージ
 袋とじに比べると,本の厚みは半分ですみますが,両面コピーが必要なため,原版の作成時と,コピー時に少々慣れが必要です。また,手間が掛ります。
 特に,綴じる作業が……結構手間です。
 一番手軽な方法は,ホッチキスを使用することですが,上のイメージ図を見てもらえば分かりやすいと思いますが,ホッチキスの針を縦方向に合わせる必要があります。しかし……普通のホッチキスでは……手間です。ちょっと割高になりますが,閉じる部分の向き(要するに針の向き)を変えられるホッチキスがありますので,それを使うのが適当でしょう。
 ……ある程度大きな文房具店・ホームセンターでないとなかなか手に入りにくいとは思いますが……。

 次の点には注意が必要です。
・原理的に全体のページ数が4の倍数になる。
 本全体としての制約になります。調整は結構大変です。
・用紙があまり薄いと,裏側の内容が透けてしまう。
 普通,コンビニのコピー機に入っている用紙であれば,まず問題はないと思いますが,家庭用のコピー機で作業をするような場合には要チェックですね。
・両面印刷そのものができるかどうか。
 コピー機その物が両面印刷に対応しているのであればいいのですが,そうでない場合は難しいでしょう。
 機能として両面印刷に対応していない機種でも,片面をコピーした用紙を手差しなどでセットしなおして裏面をコピーすることは方法としては可能であっても,店の側がそれを許してくれるかどうかは別問題です。
 特に,裏面のコピーは用紙が詰まりやすいので,禁止している店もあります。


・袋とじ

 和本で一般的に用いられている方法です。
袋とじのイメージ
 一般に書店で販売されている本ではほとんど見掛けられません。しかし,作業そのものは割に簡単です。
 片面しか使わないので,裏写りの心配がないのもメリットです。
 また,総ページ数が偶数でありさえすればよいので,4の倍数にならなかった場合(例えば22ページ)でも,調整に頭を悩ませなくてもすみます。

 綴じは糸を使う他に,単純にホッチキスで綴じてもOKです。
 ただ,綴じの部分や背表紙の見栄えに関しては工夫が必要です。
 一番簡単なのは,この綴じの糸(やホッチキスの針)を隠すテープが販売されているので,それを使うことです。

 あるいは,本格的に糸や角布(すみぎれ)を使って和綴じに挑戦する。という選択肢もありますが。


・平とじ

 オフセット印刷では一般的な方法です。
平とじのイメージ
 ただ,コピー誌の場合,あまり見掛けません。
 図を見てもらえば分かるように,「表紙」,「背表紙」,「裏表紙」までが一体となるので,用紙が大きくなってしまうのが難点です。その為,例えばA5サイズの本なら,B4で作って余白を切り落す,というような工夫が必要になります。
 あるいは,背表紙の部分は,市販の製本テープなどで処理するというのもひとつの方法です。これなら,作業的にはさほど難しくもなりません。
 最近では,個人やオフィスでの使用を目的とした,簡易製本機が販売されていますので,それを利用して,と言うことになると思います。
 残念ながら,これについては使用経験がないので,これくらいで。

 この3つの綴じの方法そのものとしては,どれが優れていると言うものではないので,本全体の雰囲気と合わせて考えてみるのがよいでしょう。


←前のページに戻る    次のページに進む→
   目次(同人誌関係)ページへ   


はじめに 自己紹介 趣味の世界 お気に入り
ブログ
注:別サイトです
情報あれこれ いただきもの 更新履歴
リンク集 2次創作作品集 離れ(自作CG集)