情報あれこれ(雑学関係)
2.干支(えと)について
意外と身近なネタではあるんですが……この『意外と身近』というのが曲者なのでしょうか,私の回りでもそうですが,結構誤解している人は多いようです。
一番多いのは,(かつての私がそうだったように)『十二支(じゅうにし)』のことを『干支』と思いこんでしまっているというパターンではないでしょうか。
本来『干支』とは,『十干(じっかん)』と『十二支』を合わせたものです。
字を見れば分かりやすいと思います。
・十干とは
五行(ごぎょう)の構成要素である,「木(もく)」,「火(か)」,「土(ど)」,「金(ごん)」,「水(すい)」を,「兄(え)」と「弟(と)」の2つにそれぞれわけたものを言います。
順に並べると,
甲 | :木の兄(きのえ) |
乙 | :木の弟(きのと) |
丙 | :火の兄(ひのえ) |
丁 | :火の弟(ひのと) |
戊 | :土の兄(つちのえ) |
己 | :土の弟(つちのと) |
庚 | :金の兄(かのえ) |
辛 | :金の弟(かのと) |
壬 | :水の兄(みずのえ) |
癸 | :水の弟(みずのと) |
となります。
・十二支とは
こちらは言うまでもないですね。日常生活の中でも特に方角に関して使われています。
真北から時計回りに振り当てられていますね。北が子(ね),北東が艮(うしとら),という具合に。
地球の北極と難局を結ぶ線を子午線(しごせん)というのもそれに関連してますよね。北=子と,南=午を結ぶ線。というわけです。
まぁ,普段使わない文字が多いので,念の為。
子 | :ね(ねずみ) |
丑 | :うし(牛) |
寅 | :とら(虎) |
卯 | :う(うさぎ) |
辰 | :たつ(龍) |
巳 | :み(へび) |
午 | :うま(馬) |
未 | :ひつじ(羊) |
申 | :さる(猿) |
酉 | :とり(鶏) |
戌 | :いぬ(犬) |
亥 | :い(いのしし) |
・干支とは
さて,十干と十二支がわかったところで,いよいよ本題。
本来,『干支』とは,この十干と十二支をそれぞれ先頭から順に1つずつ組み合わせたものなのです。
十干の最初から「甲」,十二支の最初から「子」で,「甲子」
十干の2つ目の「乙」と十二支の2つ目の「丑」で,「乙丑」
:
以下同様
ただし,個数が10個と12個ですから,十干の方が先に終わってしまいます。
そのため,次は先に終わった十干の方は先頭に戻します。
つまり11番目については,
十干の最初である「甲」と十二支の11番目の「戌」で,「甲戌」
となります。
そして,十二支のほうについても,最後の「亥」まできたら,次は「子」に戻って続けていきます。
このようにして続けていくと,全部でいくつできるか。
というと,10×12で120……ではなくて,「10」と「12」の最小公倍数である60で最初の「甲子」に戻ります。
余談ですが,60歳を還暦(暦が還る)というのは,ここから−つまり,60年経つと,同じ干支が巡って来るというところから来ています。
これに限らず,年数の表記,特に年号の表記等でよく利用されています。
例えば,甲子園球場が,「甲子(かっし,きのえ ね」の年に完成したので,そう名付けられたというのは有名です。
あるいは,歴史上の出来事にしても「壬申の乱(じんしん,みずのえ さる)」とか「戊辰戦争(ぼしん,つちのえ たつ)」などもそうです。
さて,干支を順に全て並べるとこんな感じになります。
1 | 甲子 | きのえ ね |
21 | 甲申 | きのえ さる |
41 | 甲辰 | きのえ たつ |
2 | 乙丑 | きのと うし |
22 | 乙酉 | きのと とり |
42 | 乙巳 | きのと み |
3 | 丙寅 | ひのえ とら |
23 | 丙戌 | ひのえ いぬ |
43 | 丙午 | ひのえ うま |
4 | 丁卯 | ひのと う |
24 | 丁亥 | ひのと い |
44 | 丁未 | ひのと ひつじ |
5 | 戊辰 | つちのえ たつ |
25 | 戊子 | つちのえ ね |
45 | 戊申 | つちのえ さる |
6 | 己巳 | つちのと み |
26 | 己丑 | つちのと うし |
46 | 己酉 | つちのと とり |
7 | 庚午 | かのえ うま |
27 | 庚寅 | かのえ とら |
47 | 庚戌 | かのえ いぬ |
8 | 辛未 | かのと ひつじ |
28 | 辛卯 | かのと う |
48 | 辛亥 | かのと い |
9 | 壬申 | みずのえ さる |
29 | 壬辰 | みずのえ たつ |
49 | 壬子 | みずのえ ね |
10 | 癸酉 | みずのと とり |
30 | 癸巳 | みずのと み |
50 | 癸丑 | みずのと うし |
11 | 甲戌 | きのえ いぬ |
31 | 甲午 | きのえ うま |
51 | 甲寅 | きのえ とら |
12 | 乙亥 | きのと い |
32 | 乙未 | きのと ひつじ |
52 | 乙卯 | きのと う |
13 | 丙子 | ひのえ ね |
33 | 丙申 | ひのえ さる |
53 | 丙辰 | ひのえ たつ |
14 | 丁丑 | ひのと うし |
34 | 丁酉 | ひのと とり |
54 | 丁巳 | ひのと み |
15 | 戊寅 | つちのえ とら |
35 | 戊戌 | つちのえ いぬ |
55 | 戊午 | つちのえ うま |
16 | 己卯 | つちのと う |
36 | 己亥 | つちのと い |
56 | 己未 | つちのと ひつじ |
17 | 庚辰 | かのえ たつ |
37 | 庚子 | かのえ ね |
57 | 庚申 | かのえ さる |
18 | 辛巳 | かのと み |
38 | 辛丑 | かのと うし |
58 | 辛酉 | かのと とり |
19 | 壬午 | みずのえ うま |
39 | 壬寅 | みずのえ とら |
59 | 壬戌 | みずのえ いぬ |
20 | 癸未 | みずのと ひつじ |
40 | 癸卯 | みずのと う |
60 | 癸亥 | みずのと い |
とまぁ,本来は,これだけあるわけです。
が……どこでどうなったのかは分かりませんが,多分60も憶えるのが大変だっただけというような気はしないでもないのですが,何時の間にやら「干支」と「十二支」がイコールで結ばれてしまうような誤解だけが残ってしまった……というところでしょうか。
まぁ……多くの場合,十二支さえ分かっていればどうと言うことはないようですが……。
年賀状はそれでOKだし(笑)