情報あれこれ(コンピュータ関係)
ミス防止策としてのページファイルの分散
コンピュータに物理的に搭載されているメモリ容量よりも大量のメモリが存在しているかのように見せるための仕掛けである仮想記憶において,メモリの延長として使用するためにハードディスク上に作成されるファイルをスワップファイルとかページファイルと呼びます(以下はページファイルで統一)。
このページファイルの設定次第で,ある種の操作ミスを予防することができるようになります。
予防できるミスの種類
コンピュータに内蔵しているハードディスクの領域(パーティション)に対する初期化(フォーマット),領域解放。
ファイルを誤って削除してしまうミスに対しては,よほど大容量のファイルをまとめて削除したとかでもない限り,Windows標準機能の「ごみ箱」を使っていればそこから取り戻すことができます。また,削除時に専用のツールを使うなどの特殊な手段をとっていない限り,復元用のソフトを使えば削除直後であればかなりの確率で復元する事ができます。
しかし,ドライブ(というかパーティション)を初期化してしまったり,領域を解放してしまうと,標準機能だけでは復活は非常に難しくなります。
そこで,予防策として「ドライブ(領域)に対するこれらの操作をできないようにする」という手段を取ります。
予防策
マルチタスク系のOSの場合,当然のことながらハードディスクに対する操作に関しても常に監視が入ります。
例えば,ワープロで今現在編集しているファイルに対して,そのファイルを削除するような操作をすると,エラーメッセージが表示されます。もちろん,そのファイルは削除されません。
このことから考えると,保護したいドライブに存在するファイルを常に使用している状態にしておけば,そのドライブに対して初期化や領域解放の処理を行うことができなくなります。
Windowsが起動するたびにテキストエディタなどで全てのドライブから1つずつファイルを呼び出しておく。ということでも実現できますが,ユーザーが利用するソフトでは,そのアプリケーションを間違って終了してしまうことも考えられます。
そこで,Windowsそのものが,(保護対象の)ドライブのファイルを常に使用しているような状況を作り出せばよいということになります。
一番手軽に実現できるのが,このページのタイトルにもなっていますが「ページファイル」を利用する方法です。
ページファイルを全てのドライブに作成する
Windows9x系の場合,1つのドライブにしかページファイルを作ることはできませんでしたが,NT系の場合(WindowsNT以降の2000,XP,Vista),複数のドライブにページファイルを分散して作ることができます。
Windows2000の場合
1:マイコンピュータを右クリック → プロパティ
2:「詳細」タブ → パフォーマンス オプション(P)ボタン
3:仮想メモリ欄の変更(C)ボタン
4:作成するドライブを選択 → サイズ入力 → 設定(S)ボタン
・WindowsXPの場合
1:マイコンピュータを右クリック → プロパティ
または,コントロールパネル → システム
2:「詳細設定」タブ → パフォーマンス欄の設定(S)ボタン
3:「詳細設定」タブ → 仮想メモリ欄の変更(C)ボタン
4:作成するドライブを選択 → サイズ入力 → 設定(S)ボタン
ここで,全てのハードディスクドライブ(パーティション)にページファイルを作成しておくと完了です。
Windows Vistaの場合
1:コンピュータを右クリック → プロパティ
または,コントロールパネル → システム
2:左側のタスクペインから,システムの詳細設定(A)
3:「詳細設定」タブ → パフォーマンス欄の設定(S)ボタン
4:「詳細設定」タブ → 仮想メモリ欄の変更(C)ボタン
5:作成するドライブを選択 → サイズ入力 → 設定(S)ボタン
ここで,全てのハードディスクドライブ(パーティション)にページファイルを作成しておくと完了です。
共通する注意点
ページファイルのサイズは初期サイズと最大サイズを同じにしておくことをお勧めします。
理由はフラグメンテーション(断片化)の予防が一番です。後はシステムのパフォーマンスへの影響も多少。
細かいことを言うと,ページファイルがドライブの先頭の連続領域に配置されるようにした方がいいとかあるんですが手間がかなり増えるので省略します < マテ。
パフォーマンスの事を言うなら,システムドライブ(Windowsがインストールされているドライブ。通常Cドライブ)は除外してもいいと思います。
そうでなくてもシステムドライブはアクセスが激しいので,さらにページファイルまで配置するのは負荷が高いのも事実ですし。